東北南部/飯豊本山 [山スキー/歩き]

 

1. 山域・メンバー

山域・山名 東北南部/飯豊本山
ルート 大日杉~地蔵岳~切合せ小屋(ベース)、ビンカガクチ沢滑走、ほか
地図 飯豊山・岩倉(1/25000)
山行内容 山スキー/歩き
メンバー (L)渡辺・小畑(スキー)、成海(歩き)、(峡彩山岳会)

2. 行動記録

記録 渡辺
日程 2010/05/02~04 晴れ、4日は曇
タイム 5/02 大日杉7:40~地蔵岳10:45~切合せ小屋13:10(設営~泊)
5/03 切合せ小屋7:05~飯豊本山9:35~滑走開始11:05~1230m付近11:35~草履塚15:00~切合せ小屋15:35(泊)
5/04 切合せ小屋6:50~地蔵岳~大日杉

報告

GWは飯豊連峰でと参加者を募り、スキー2名と歩き1名の混成パーティーが出来上がった。今回はスキーが多数と云う事で、ベースを標高の低い切合せ小屋と云う事で快諾を貰う。本山小屋や御西小屋の泊りも魅力だが、高所で泊ってもスキーの場合、朝一番は何も出来ないからである。

2日は3人でベースまで移動して、3日は成海さんが大日岳往復、スキー組は駒形山から前川の源流部を滑り、夕方に1泊2の楡井さんも合流した。最終日は早朝からガスで撤収するだけであったが、騙し地蔵で木村さんの出迎えと労いを頂戴して、下山後に白川温泉で汗を流して今春のGWは終わった。

大日杉~地蔵岳~切合せ小屋

連休直前に開通した林道を通り、大日杉小屋に着く。まだ雪は豊富と、一登りすれば雪上を歩けそうな雰囲気は嬉しい。車は既に15~20台くらいで駐車スペースは一杯だった。林道の開通見込みが遅かったので、せいぜい4~5台くらいではないかと思っていたのだが大盛況である。

小屋前の橋から雪が繋がり、大勢のトレースを辿っていく。ザンゲ坂は固雪だが、ステップが有るので問題は無い。長之助清水も御田も、まだ雪の下。細尾根を過ぎて広くなったのでスキーを履く。泊荷物だったが順調に地蔵へ到着して、飯豊本山とご対面した。


地蔵岳から飯豊本山

 このアングルから本山東面の本社ノ沢は素晴らしく、いつかは滑りたいコースでもある。まだ時期が早いので真っ白、沢底までデブリも全く出ていなかった。

地蔵岳から御坪まで上下を繰り返しながら緩く登り、先行者はこのコースの達人らしくて、トレースはどのピークも迂回して付いていた。昨年に行った御秘所沢を見たり、七森方面の雪量に感心したりと飽きない歩きが続く。御坪まで来れば切合せは指呼の間で、御沢を渡って中間尾根から小屋に上がった。


中間尾根、最上部が小屋

 テントを設営して、時間が早いので切合せから上追流沢を滑る。小畑君が久し振りだったので明日に備えて腕試しの意味が大きかったが、想像以上のコンディションは快適で、登返して2本滑った。


上追流沢

切合せ~飯豊本山~駒形山~前川・ビンカガクチ沢~草履塚~切合せ

2日目はスキーと歩きで別行動である。成海さんが大日岳に出掛けて行き、スキー組は1.5時間遅れで本山を目指した。この時は駒形山まで進んで、檜山沢の源頭部を滑ろうかと考えていたのだが、最終的には現場状況で決める事していた。

草履塚を降り姥権現で手を合わせる。御秘所を過ぎて御前坂の登りに掛る所で一本として、前川側から上がって来る支沢を観察した。帰路に前川・ビンカガクチ沢に降りてここを登返すコースも有力である。風がやや強くてスキーが煽られる登りが続く。一王子で急登は終わり、本山小屋を過ぎて頂上へ着いた。小畑君は胎内川も遡行しているのであるが、飯豊の主稜線は夏季~積雪期を通して初めてとの事で少し驚いた。


駒形山から飯豊本山

 本山から檜山沢へ滑るコースは雪が付いていなく、駒形山へと進むが、予定していたコースは傾斜が緩くて食指が湧かない。昨日の上追流沢が良かったので、今日はそれ以上の期待をしてしまうのである。御西方面には良さげな斜面がズラリとあるが、切合せベースでは帰りが大変で、相談の末に前川に降りてあわよくば上追流沢を登返す事にした。出合は1100mくらいなので沢が割れている可能性はあるが、上部の雪の付き方から見てどこでも登返せると判断した訳である。


ビンカガクチ沢

 小畑君に「本山からの滑走にこだわるか?」と聞くと「こだわらない」と云う返事で、駒形山から滑り込んだ。既に気温が上がっており、快適ザラメは楽しい滑りだった。沢底に降りても適度な勾配が続き、余韻のクルージングに浸るも徐々に水線の凹みが現れてくる。

草履塚からの尾根が落ち込む1230m辺りで滝らしき地形となり、クラックの入った雪壁が出た。おそらく行ける、とは思う。前方には、まだ雪でたっぷり埋まった沢が見えており、ベースの切合せへ直接に登返す誘惑は捨てがたい。しかし今年は色々と有り、別の意味で最後までシーズンを無事に終える事が目標でもある。時間も充分で、このまま滑り続ける必然は無く、ここで終了と決めた。

草履塚まで概ね650mの登り、支沢と云っても小さいので上部の雪が切れると厄介であったが、登りで見た様子では大丈夫と思っていた。4月に降ったので、残っているのであろう。


本社ノ沢 中部

 成海さんと無線が出来たので安心、最初はシールで登って坪足になり、最後はストックで雪を抜く様になったので尾根筋へ上がって草履塚に出た。本山に目を向けると駒形山からのシュプールも見える、最後は微妙な判断で登返し、ラインの完成度は今一つだがフルに行動できた良い一日だった。テントでは成海さんが待っている、さあ帰ろう。

ところが草履塚からの滑りは3時を過ぎて雪が締まったのか、切合せよりも150mほど余計に登返したご褒美か、最高に「良し」であった。


草履塚からの帰路

 成海さんに無線のお礼を言いテントに入ると、今日のコースをトレースできた喜びが湧いてくる。夕刻に楡井さんが到着して、談笑が続いた。

切合せ~地蔵岳~大日杉

最終日は生憎の曇り空であった。出発前にあわよくば本山から本社ノ沢を、草履塚に上がってどこか1本、などとも思っていたが、昨日で満足とならば即撤収となる。地蔵岳で本山をお別れ、ガスで頂上は見えなかったが次回は本社ノ沢を目指したい。


騙し地蔵から地蔵岳 また来よう

 騙し地蔵で木村さんと合流して、お互いの健闘を称えた。労いを頂戴して大日杉に下山、白川温泉で汗を流して帰路に就いた。

  • 好天に恵まれた山行でした。飯豊奥部を滑れて満足です。
  • もっと荷物を軽くする工夫が必要と感じました。スキーでは、軽量化も安全対策と思います。