飯豊川支流北股川鮎倉沢

日程   2002年9月19日~9月21日

メンバー 本間(F)(43) 楡井(48)

ルート図1 / ルート図2

九月の晴れ間を選んで、念願の北股川(飯豊川支流)を遡行した。私にはもうチャンスは訪れないと思っていたのだがパートナーは同行してもいいと言う。今、行かないと本当に行けないだろう。ここは無理に休みを取ってでも実行しようと思った。

秋の穏やかな陽だまりの中をジャブジャブと歩けば、赤とんぼが岩の上で力尽きていたり、もう紅葉の始まった樹木があって移りゆく季節が感じられる。

やがて様相は一変し、深いゴルジュの底に滝と淵の連なる「これぞ飯豊の川」といったところだ。美しさと凄みに圧倒されそうだ。夏に比べ水量は少なく不安定な雪渓は崩壊しているものの、水の冷たさにどこまで耐えて遡行意欲を維持できるかが問われる。

一日目は想定していたよりも先へ進む事が出来たが下部核心部のゴルジュの中の泳ぎが続くと身体がガタガタと震え出して止まらない。このまま低体温症になってどうにかなってしまうのではないかと思うほどだった。ルンゼを這い上がった所の斜面を今日の泊まり場とする。

二日目は通称、彦兵衛前滝(これが彦兵衛滝だという人もいる。)の高捲きに約四時間を要した。ロープの多用も時間をとった原因であるが、握力が低下してきた私には仕方無かった。やぶの中でも急峻なところではスリップした場合、握力が効かなかったら止める術がないのだ。やっとの事で細尾根に出て息を呑んだ。目の前には地蔵カルと言われる二〇〇メートルの岩壁が聳え立つ。なんとかうまく沢に降りてその壁の対岸の砂地で泊まることとした。この沢ではここだけと言える平坦地だ。乾いた流木はすぐに燃え上がり、酒を酌み交わせば消耗し切った体にすぐに染みわたる。そして来て良かった・・・・としみじみ思うのだ。

三日目。夕べはとても気持よく眠れた。今日も頑張ろう。ガレ場を暫く行くとゴルジュの奥にチムニー滝が立ち塞がっている。「またか」。左岸のルンゼからの捲きを終え懸垂支点を得ようとするとなんと足元に古いスリングが残されていた。久しぶりの人工物がなつかしい気持になる。三ピッチの懸垂下降で沢床に降り立つと目安としていた鮎倉沢は目と鼻の先であった。 日程の関係で最後まで本流を詰めることは出来なかったが、自分の課題を見つけ、また自信をもって良いところが明らかになった山行となった。やり残した鮎倉沢より上部をどうするか?まだ決めていない。

楡井