御神楽岳 湯沢右俣【アルパインクライミング】

1.山域・メンバー

山域・山名 御神楽岳 湯沢右俣
山行内容 アルパインクライミング
メンバー L伊藤、太子
天候 曇りのち晴れ

2.行動記録

記録 伊藤芳浩
日程 2022年6月11日(土)

3.報告


今回は日帰りということもあり蝉ケ平登山口から湯沢右俣の入り高頭まで抜けるスラブ帯を選んだ。
事前に記録を確認したところ5月末頃から6月中頃まで残雪がありたいギリギリ行けるようなので選んだ。
しかしながら今年の山の雪は多く積もっているようだが温暖化のせいか雪解けが早いようで、もしかすると湯沢大滝辺りは残雪がないかもしれない不安があった。
太子さんにも事前に相談し、とりあえず行ってみてからの判断にすることにした。
朝5時半ごろに蝉ケ平登山口を出発し、広谷川沿いのへつり道を1時間ほど歩いて行く。
へつり道の左側は谷底になっており、人があまり入らないせいか登山道を覆いかぶさるように草が生えている。
おまけに前日雨が降ったのか、朝露なのか足元が濡れていて滑れば一瞬で谷底へ行ってしまうので足元をよく見ながら歩を進めていった。


湯沢の出合に着いたところで栄太郎新道の左へ降りて湯沢へ入る。
入ったばかりのところは残雪はなく軽い沢登りとなる。
湯沢の出合から出発して標高390mで残雪が見えた。
残雪の末端はかなり溶けスノーブリッジが薄く見える。
どこまで雪が薄いのかわからないので、ここからザイルを出して右岸をトラバースした。
残雪の末端より少し上のところで厚そうなところがあっが、乗った瞬間に崩れないか不安になりながらも乗ってみた。
思っていたよりも安定してまだそれほど薄くはないようだった。

そこから先は広いスプーンカットされた残雪になり、谷川一ノ倉沢に似たような景色に見える。


標高約450m辺りで大滝に着く。

はじめの想定では大滝を見上げているのだろうと思っていたが、大滝の上まで雪が付き真上を歩くことができた。
あっけなく大滝の上を歩いて通過していくが、まるで滝の上を空中で歩いているかのような不思議な感覚を感じた。


大滝を越えて右俣の取り付きへ向かう途中で太子さんが突然便意を催し、堂々と谷の真ん中で排泄したようだ。
他に誰もいないからこそなのか、師範レベルに達した方だからこそ出来る爽快な行為で成せる業であると思った。
ようやく標高550mのところでスラブ帯が出てきた。
正面に魅力的なスラブ帯であるダイヤモンドスラブが出てきた。
取り付こうと思ったが、取り付きの手前で雪が切れて取り付ける状態ではない。
仕方ないがその右の無名のスラブ帯を登ることとした。


自分がリードをしたいオーラを感じてか、太子さんがオールリードをいいと言ってくれた。
はじめの1Pはほぼ草付き、灌木で支点をを取って上がった。
2P、3P、4P目は岩と灌木のミックスで灌木や途中の岩のクラックにハーケンを打ちランニングで支点を取っていった。
2P目では太子さんが無線を取り出し、松原さんの無線に呼びかけを行った。しかし、反応はなし。
3P目で無線で呼びかけたところでようやく繋がった。サポート隊の楡井さん、松原さんも順調に上がってきていることが確認できた。
お互いの姿は確認できないが仲間の声が聞けて少し安心感が出た。


5P目は岩尾根と岩尾根の間を通過するところで5mほどの垂直の壁が出てくる。
はじめは右から上がり残置ハーケンがあったのでそのまま直上に登ろうとしたが、岩が濡れた上に逆層になって登ることができなかった。
そのためルートを変えて左の階段状に見える岩から登ることにした。
高度感があり落下の恐怖があったがなんとか登ることができた。

垂直の岩が終わり、最後はなだらかなスラブ帯になっているため、お互いにザイルは付け続けて同時登攀することにした。
スラブ帯を登っている途中でどこからか『おーい』と声が聞こえてきた。
おそらく楡井さんの声だと思うがこちらも『おーい』と返事をする。
スラブ帯から草付きに変わるあたりの小さなテラスに上がったところで、楡井さんと松原さんの姿が見えたので『おーい』と声を張った。
はじめは2人とも別のスラブに顔を向けて探しているようだが、何度か声を出したらようやくこちらに気づいて互いに手を振り合った。
最後の詰め上がりはもう少しで登山道に出るであろうルートを行くが一向に登山道に出ない。
見かねた太子さんがトラバースすれば道に出るてばと言い、最後の詰め上がりは太子さんの跡についていき早く登山道に出ることができた。
その後、太子さんはサポート隊に合流するように下りて行き、自分は高頭まで登ってからサポート隊と合流し登山道を下りて行った。


登山口には吉川さんが宣言通り待っていてくれて甘酸っぱい夏ミカンとそれぞれの好みの飲み物の差し入れを用意してくれていた。
夏ミカンの甘酸っぱさが体に染み渡りうまいと感じる。


谷川岳の一ノ倉沢の岩稜に感動していたが、御神楽岳もそれに近い感覚があった。
太子さんから御神楽岳にも未踏の岩がまだあることを教えてもらい未踏という言葉に好奇心が駆られてくる。
もひ機会があれば挑戦したいと思います!
この山行に参加してくださった太子さんや楡井さん、松原さん、吉川さんのサポート隊には感謝です!