1. 山域・メンバー
山域・山名 | 北信・頸城/焼山 |
ルート | 笹倉温泉~焼山北面台地~外輪山~焼山山頂、往復 |
地図 | 湯河内(1/25000) |
山行内容 | 山スキー |
メンバー | (L)渡辺 (峡彩山岳会) |
2. 行動記録
記録 | 渡辺 | |
日程 | 2010/04/04 晴れ | |
タイム | 4/4 | 笹倉温泉5:35~北面台地入口8:00~外輪山12:30~焼山山頂13:00~笹倉温泉16:40 |
報告
今週は日曜日と好天が重なる模様、3月の計画で行けなかった焼山を目指す事にした。この時期、山頂付近はまだアイスバーンで風も強く、私の技量と経歴を超える方でさえ何度かのトライで山頂に立っている記録が多い。最初の訪問で山頂に立つと云うのは厳しい様だが、今日の天気なら可能性が有るかも知れない。
笹倉温泉~北面台地~山頂
笹倉温泉で車を止めると、稜友会の皆さんが出発の準備をしているところだった。先日の講習会のお礼を言って、自分も準備に取り掛かる。初めての山域なので取付けが判らないかも、とも思っていたが、トレースがふんだんに有り気も少し楽になる。
最初は林道を行き、火打山川の橋を渡ると九十九折の登りが始まる。適当にカットしながら進むと最後は急で、降雪直後では泣きが入ると思う。登り上げてからは焼山川の右岸をへつる様に進む。川底からは150mくらい有ると思われ、道形がハッキリしているので問題は無いが、帰路は疲れているので注意が要る。
一休みしていると、ネットの山スキー記録でお見かけする見覚えの有る方が追い付き、もしやと思い声を掛けると、EVA父さんだった。毎週、コンスタントに記録を出されており、しかもUPされるのが早い。その場所の雪の状態が最速で判るので、行先を決めるのに専ら参考にさせて貰っている。行先も割と似ているので、実はこれまでお会いしなかったのが不思議なくらいであった。いつも記録を参考にしているので、お礼が言えて良かった。
やがて地形は緩いアップダウンを繰返し、単独だと地形図を繰り返して見る所だろうが、今日は大勢の人とトレースに導かれて進む。アマナ平は平坦地で、右手に高松山が白々しい。ここから焼山川を離れて左の高みに取付く。固雪に踝程度の新雪と、ズレまくっての厳しい登りで、這い上がった所が北面台地の入口だった。
北面台地からの焼山は、どの記録にも有るお馴染みの写真でもある。実際に来てみると、左手の火打から焼山を正面に高松山と格別の眺めで、早朝の好天に映える山容は実に清々しい。緩登のトレースを追って台地を進む。焼山が近付き噴煙が判る様になるが、標高差はまだ800mもあり、左手の火打山を見ながら緩々と高度を上げる。
2260m岩峰の基部が見える頃になるとシールはそろそろ限界で、アイゼンを付けるタイミングを見計らっていた。先行者は岩峰の基部の直登と斜面を右上する二手に分かれた模様である。クトーは無いのでどうせアイゼンを履くならばと直登を選んだ。
アイゼンを付けてスキーを担ぎ、藪混じりのルンゼを登る。先行者のステップは大いに助かった。本来、自分の技量で有ればスキーはデポすべき所で有ったが、誰もそうしていないのでそのまま担いでしまったのは好天に惑わされたか、反省である。
緊張していたのか、風もスキーの重さも気にならなかったのは意外だった。藪が見えているのも安心、ただ慣れないキックステップは脹脛がパンパンで、もう少し風が有ったらキワドイ状況だったのではないか。登り上げて外輪山と思っていたが、それはまだ100mも上でガッカリ。岩峰を乗越して30m程下り、外輪山へ向かう。この下りはフリーで充分だったが、スキーを引掛けたりしないようにと時間が掛かった。
外輪山に出て本峰とご対面、お釜の対岸に数人が休んでいる。お釜を右から廻り、雪壁を越して先の休憩地点へ行くと、稜友会の2人が滑走準備中だった。2人を見送って山頂へ向かう。
見送り場所からは15分程、初見で立てた頂上は、見事な眺めが待っていた。
山頂~北面台地~笹倉温泉
先日の乙妻山も見える。あの時は詰めを間違えて180°の展望だったが、やはり山頂は良く、今日は360°の眺めだった。休憩場所に戻るとEVA父さん達も到着、山頂へと向かって行った。一寸栓抜き1人で乾杯をするも、風で舞う雪が器に入り飲みづらい。
山頂から戻ったEVA父さんと山スキーの話をさせていただく。風も出てきたので一足先に出発して、お釜に入り外輪山へ出る。そこからはカチカチの斜面で、ターンをしても踏ん張れず、登りのコースとは違うので先が判らずコケたら終わり。ハッキリ言って「お呼びじゃない」状況、ひたすら横滑りであった。
高度が下がるとバーンの上に幾分かの雪が乗って来たのでスキーを廻してみるも、相変わらず厳しい。固い斜面から受ける圧力に、足が耐えられないのである。つまらん、実につまらん。このまま横滑りで降りても今日は何をしに来たのか判らない。
新雪が出てきたので再びターンすると、3回くらい廻った所でコケた。落ちる、滑る、頭が下、今度は上になった。下は谷、岩らしい物は無い。どこで止まるのか、まだ止まりはしないがもう加速もしない。浅い吹き溜まりで一瞬止まった様に思えたが、体勢を入替ようと体を回したらまた滑り始めてしまった。自分のバカ。藪が見えたので手を伸ばすも、先っぽだけで千切られてしまう。ここで体勢を崩し、また頭が上に下に。
止まった。何でここで止まったのか判らんがとにかく止まった。まだまだ斜面は同じ傾斜で続くのに。片方のスキーが無いので下方を見るが、何も無い。立ち上がってアイゼンを履き、ストックを拾って斜面を歩き降りる。スキー1本を背負って斜面を降りる姿は、おそらく落武者の様であったと思う。
幸いに少し脇腹が痛いだけで歩行に支障は無かった。残りのスキーの回収が問題だが、上方に登り返す気力は無いので谷底まで行って無ければそれで終わり、坪足で降るのみである。おお、そう割り切ってしまえば、遥か谷底に黒点の様な物が見えるではないか。
スキーは100mも降ると有った。人間と同様、この傾斜で何で底まで落ちていかないのか不思議だったが、とにかく有った。これで明るい内に帰れると一安心。
この辺は吹き溜まりも出てきて安心なのだが、もうビビっているのでアイゼンで降りる。トラバースは隠れクラックが有ったりと厭らしい。有る意味スキーの方が安心なのだが、この時は履く気にならなかった。北面台地に入ってスキーに履替え、やっと今回のお楽しみなのだが気分は萎え萎えなのは仕方がないだろう。
既に午後のピークを過ぎて重雪の斜面も、傾斜・ロケーションが見事で気分も張りが戻った。台地入口で稜友会のお二方と再会したところ、1時間前は良雪だったとの事。う~む、それは残念だったが今日はあの滑落で無事だった事だけでも感謝せねばなるまい。
意外な事にここからアマナ平までの雪が走り、快適な林間スキーだった。微妙なアップダウンも下りのスピードを生かせば登り返しも僅かで、往路で必要以上に手間を掛けるのは余り効果が無いと思った。九十九折の手前トラバースを慎重に行き、斜面を駆け降りて火打山川の橋に出た。
- 長い登路も然ることながら、登頂・滑落・北面台地・稜友会さんとの談義と、充実した山行でした。「EVA父さん」にもお会い出来て、楽しかったです。
- 初回のトライで山頂に立てて嬉しい、大展望です。1800mを超す昼闇山も眼下なんて、感激です。
- 相変わらずの滑りは、まだまだ修行が必要。スキーのデポも考えるべきであった。