内の倉川七滝沢 2008/9/27-28

内の倉ダム7:40~七滝沢出合8:30~960m付近BP17:40
BP8:20~二王子小屋13:40-14:30~二王子神社16:40

何度も計画しながら雨や急用に祟られてきた七滝沢を数年ぶりに訪れた。前回は「連れて行ってもらった」遡行なので細部の記憶はあいまいである。あの時のリーダーはもういない。今回はリーダーとして遡行の責任を負うことになった。立場が変われば意識も変わる。今回は増水した沢でヒヤリとする場面がいくつかあり、疲れたというより「大変だった」というのが率直な感想だ。

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一日目 増水の沢で苦労する
出発地点の内の倉ダムに着き出発の準備をしていると、同じく七滝沢に入る沢屋がやってきた。後で聞くとさがみ山友会だった。前日からの降雨で増水しているだろう内の倉川を渡渉すらできずに終わる可能性もあるというのに、よく遠くからやってくるものだ。七滝沢出合の下流に降りると、巨岩の間を溢れんばかりに水が暴れうねる。飛び石伝いに行ったとして、万一滑り落ちたらダムまでノンストップで流される勢いだ。道に戻って少し上流の平瀬に降り、スクラムを組んで腿程度の渡渉で通過できた。

七滝沢出合からはゴーロが続く。巨岩の乗り越しはさほどの労力ではないが、増水した沢の渡渉やへつりで神経をつかう。途中のゴルジュは左岸の踏み跡をたどった。巨岩が積み重なった5mの滝は右壁沿いのチョックストンが挟まったチムニーをA0で登ったが、後続で少し苦労する。沢が左に曲がる地点の6m滝を越えると七滝は近い。左岸の巻き道に入って支沢2本を渡る。樹木越しにみる七滝は圧倒的な水量で白い水を叩き落している。支尾根からトラバースルートに移ってしばらく歩くと七滝沢に戻れた。

滝上は登れる小滝がいくつか続く。ナメ状の小滝の落ち口を渡渉する時、前方から声が上がった。見るとu山さんが流されかかっていた。とっさにつかもうとするが抑えきれるものではなく、結局u山さんはズルズル落ちて釜に入ってしまう。幸い左壁沿いに手ごろなチムニーがあって事なきを得る。

こんな具合で滝よりも水量に悩まされながらなんとか7段130m滝の下に着いた。当然高巻きとなり、右岸のヤブに入る。4段60m滝は前回は登った覚えがあるが、今日の水量では沢床に戻る気にならず延々と高巻きが続く。途中から踏み跡もなくなり本格的なヤブ漕ぎになった。
七滝沢七滝沢
1時間半ほどの高巻きの末に沢床に戻るとすぐに連瀑帯最後の20m滝が現れた。右岸の巻きとなり、ちょっと悪かった記憶があるのでロープを出すことにする。途中でロープが足りなくなりピッチを切って後続を待っていると下で声がする。タイミングが悪いことにさがみのパーティーが追い着いてきたようだ。再度ロープを伸ばして尾根に上がり、ロープをフィックスしてu山さんにユマールで登ってもらうが、尾根直下の急斜面で手こずっている。さがみパーティーはしばらく待った後に別ルートから高巻いて抜いていった。結局この巻きで2時間近くを費やしてしまう。沢に戻った頃には既に17時近くで陽は落ちつつあった。休んでいる暇もなく半ば駆け足でテン場へ急ぐ。目当ての場所に着いたのは17:40頃で、ヘッデン一歩手前の薄暗がりだった。

薪は集めたものの、ガスで暖まったテントに潜り込むと外に出る気もなくなってしまった。空腹を満たすとたちまち睡魔に襲われていった。夜間から早朝にかけて時折雨が天井を叩く。シュラフカバーだけでは少々寒かった。
七滝沢七滝沢
二日目 ナメと小滝の源流部を詰める
翌日、小雨が落ちるなか嫌々の撤収作業が始まった。水の濁りはない。歩き出すと雨は収まり、多少は雲も薄くなったようだ。序盤で釣り師のパーティーを追い越す。七滝沢の上流部は緩やかな谷筋にナメ滝と釜を断続的に連ねて美しい渓相だ。天気に恵まれないのがつくづく惜しい。途中の三ツ釜の滝や17m滝は見所だし、残置スリングをつかんでバックアンドフットで登ったりする所は面白い。枝沢をいくつも分けて水はどんどん細くなる。源流部6mの滝を左岸のヒドから巻くところで、ヤブに引っかかっていたバイルをt貝さんが見つけたので拾っていく。

支沢をよく観察しながら目的の二王子小屋へ上がる沢へ入る。小滝群を次々越え、両岸のヤブを押しのけながらヒドを詰めていくとほとんどヤブ漕ぎもなく登山道に出られた。相変わらずの曇り空で寒いので小屋に入って温かいものを食べて落ち着く。二王子神社までの登山道は誰にも合わず2時間ちょっとの行程だった。降りるとさがみのパーティーがクルマの回収待ちでたむろしていた。沢の途中で拾ったバイルを見せると、案の定彼らのメンバーが落としたものだった。

感想
今回は渡渉やへつりで苦労したこと、また高巻きが長時間になったために体力的な消耗があって女性2人にはきついものがあったようだ。u山さんは高巻きで苦戦する場面が何度かあった。弱点は仕方がないとしても、それを補うためにスパイクとか軽アイゼンを使ってみたらどうだろうか。フィックスロープ時のプルージック登攀も。t貝さんは後半調子を上げていき、主に先頭を行ってもらってルートを見たりu山さんの助けをしてもらった。私一人では見過ごしがちな細かい点まで気づいてフォローしてもらえたのはありがたかった。2日の日程で終始天気が悪く、正直なところ楽しむより苦労の方が大きかった今回の七滝沢だったが、ともかく一つの節目の山行を完了できた。次は天気の良い時を狙って入りたい。