2008.09.10~13 親不知~猿倉

1.山域メンバー 白馬 単独
2.行動記録
9月10日 05:47親不知観光ホテル(60)~07:09~18入道山(430)~07:33二本松峠(360)~07:55林道(470)~08:52~09:00尻高山(677)~09:36~49坂田峠(600)~11:02金時坂の頭(920)~11:14シキ割の水場(930)~12:21山姥の平(1171)~12:38踏跡(1210)~12:57~13:20白鳥山(1286)~14:45下駒ヶ岳(1241)~15:32菊石山(1209)~15:56~16:19黄蓮の水場分岐(1160)~16:45黄蓮山(1291)~18:18栂海山荘(1550)
9月11日 05:53栂海山荘(1550)~06:06犬が岳(1593)~06:49~07:07北又の水場分岐(1480)~07:51~57サワガニ山(1612)~09:27~47黒岩山(1623)~10:01~08水場~10:32黒岩平(1680)~11:09~37休憩(1800)~12:46~13:01アヤメ平(2020)~14:45吹上のコル(2240)~15:47朝日岳(2418)~16:47朝日小屋(2140)
9月12日 05:28朝日小屋(2140)~06:49尾根道と合わさる(2040)~10:11~22雪倉岳(2610)~10:51~11:10雪倉岳避難小屋(2390)~12:03鉱山道分岐(2490)~13:07~15三国境(2720)~13:59白馬岳(2932)~15:34杓子トラバースの始まり(2710)~17:45天狗山荘(2720)
9月13日 06:00天狗山荘(2720)~06:19尾根に乗る(2790)~06:34尾根を外れる(2740)~08:17鑓温泉(2010)~10:39小日向のコル(1820)~12:11道合わさる(1310)~12:29猿倉(1240)

1gps2008091013

 

3.報告
9月9日
北陸道を南下する。ずっと前から栂海新道を考えていた。胎内で家族の機嫌を取ったのも、計画を立てるため、8月の終わりに親不知に行ったのも、登山道の下見と、下山後の車の回収の打合せのためだ。今日は、親不知観光ホテルに泊まる。月明かりに浮かぶ山肌に、気が高ぶる。「力を抜け」と自分に言い聞かせ眠りに着く。
9月10日
親不知観光ホテル(60)から国道を渡り、杉林を登る。前回の下見で、楽をして登れる所でないとわかったので、重登山靴だ。それから虫が多いので、黄色の虫除けバンドをしている。振り向くと樹間から青い海が見える。杉林が尽きるとリョウブなどの低灌木となる。送電鉄塔を二本潜り、280m位で斜度が落ち、そこからが長い。416ピークも430ピークも皆入道山に思えた。入道山(430)は藪っぽいピークで、パンとリンゴを食べる。長い登路なのでリンゴを6個持ってきたが、少し重くしすぎた。二本松峠(360)付近は、少し杉がある。その先林道(470)と交わるところで林道を北東に歩き10分位ロスする。道は尾根を通っているはずと引き返すと、すぐ向かいの尾根に赤い階段がつけられていた。この階段に見られるように、栂海新道は、良く整備されている。長いけれど難しいところはない。尻高山(677)の石仏は、いい表情をしている。少し先で樹幹から左手に海が見え、坂田峠の方から「コーンコーン」と杭打ちの音が聞こえる。その音の方に降りて行く。坂田峠(600)まで旧北陸道山廻りの道だ。海が荒れたときの迂回路で石仏とかがいっぱいある。それにしても疲れた。暑いときに低山を長時間這い回るのは消耗する。
金時坂で斜度が出て、やっと山道らしくなる。急登一段落で金時坂の頭(920)の標識がある。歩いていくと右手に幕営跡があり、その先右手から入る沢の木に、クマスズメバチ注意という黄色い札が下げてある。これがシキ割の水場(930)でスズメバチが一匹飛んでいた。居なくなるのを待ち、赤い缶の注ぎ口から水を汲んだ。冷たくてうまい水だった。虫除けバンドは良く効いている。少し沢筋を歩き、東側の斜面を登ると尾根道になった。斜度が緩んだところに山姥の平(1171)の札が下がり、行く手の道の隙間から白鳥山が小さく見えた。遠いなと思いながら近づくと、行く手と、右手にそれぞれピンクのテープが下がる分岐があった(1210)。右手の踏み跡は鳥居杉に向かっているように思えた。白鳥山(1286)では、小屋入口の日陰でチーズとリンゴを食べる。塩気と甘みが良く合う。それにしても疲れた。弱気な自分を青梅黒姫山が励ましてくれる。小屋の裏手に回り登路を確認する。南に大きな山が二つ見える。あの右手が犬ヶ岳としたら相当きつそうだ。と思ってコンパスを出すと、初雪山だった。このとき犬ヶ岳の上はガスに隠れていた。下駒ヶ岳までは実景での距離を感じた。事前準備で、地形図よりエアリアを見る時間が長かったため、5万分の1スケールが頭に刷り込まれたようだ。下駒ヶ岳南側の崩壊地が見える辺りで、犬ヶ岳のガスが取れ台形のピークがはっきりと見えた。下駒ヶ岳(1241)先の下りはかなり急だった。登り返しになると足が吊りそうになった。下駒ヶ岳前後が今日の苦しい時間帯だった。菊石山(1209)の先は、立派なブナ林になった。ただ、鞍部を過ぎても水場の標識がないので、通り過ぎたかと心配になった。その時右手にテン場跡が見えた。ブルーシートが畳まれていた。水場も近くにあるはずと、キョロキョロすると、すぐ上の左手に黄蓮の水場(1160)の看板があった。5分程降りるとしっかり出ていた。少し温いけど、助かった。分岐に戻りゆっくり休んだ。この分岐のすぐ上に、花の終わったキヌガサソウが一杯あった。展望が開けると北に青梅黒姫山が現れ、それに励まされた。振り返ると白鳥山からの山波が幾重にも重なっていた。黄蓮山(1291)では時間がなくなり、写真を撮らず進んだ。この先は大したアップダウンもなく楽になった。18:00過ぎに日没を右手に見る。栂海山荘(1550)には下り3人グループが2組居た。時間も遅かったので、一階で生タマネギをサラミで巻いて角の水割りを飲み、リンゴを食べた。それにしても疲れた。今日1日でリンゴ5個食べ、水を7L飲んだ。小屋利用料1000円と毛布利用料200円を箱に入れ、暖かい毛布にくるまって寝た。その夜は8時間位寝た。
9月11日
漬け物とシーチキンとタマネギを入れた雑炊を食べて栂海山荘(1550)を出る。犬が岳(1593)からは、白鳥山が柔らかい稜線を見せている。西に初雪山がどっしり。南は黒岩山までアップダウン。そこから吹上のコルまで広い地形が広がり、右手奥に白馬が特徴ある稜線を見せている。少し痩せ尾根の後、緩やかに下り始め小ピークを越え降りていくと06:49~07:07北又の水場分岐(1480)。看板が草の中に倒れているので、犬ヶ岳側から来るとわかりにくいかもしれない。右手の踏み跡を降りていく。冷たくて良く出ている。手拭いを濡らし頭に巻く。サワガニ山(1612)を越えると湿原に降りていく。右手に文子の池がある。黒岩山(1623)辺りから、行く手は少しずつガスが掛かってくる。草原に降りて沢に交わったところが水場(1600)だ。黒岩平(1680)はガスの中。この後バテてしまい休憩(1800)して麻婆春雨を食べる。アヤメ平(2020)でも腰を下ろす。この辺りカライトソウが多い。長栂山の東側位で元気を回復する。吹上のコル(2240)から、ガスの中、朝日小屋に予約の電話をする。不思議とここから元気が回復する。だましピークを越える辺りからガスが切れ始める。鈍足が幸いするかもと思う。朝日岳(2418)で白馬連山の大展望を楽しむ。海抜60mからなので嬉しさもひとしおだ。南西に剱が魔神のように整った姿で浮かぶ。それを見て下り始める。朝日小屋(2140)の夕食は、牛肉野菜炒めがおいしい。洗濯機があったので、下着と靴下を脇で水洗いして脱水だけ使わせて貰う。既に腹一杯なのだが荷を軽くするため、ペペロンチーノを作り、角の水割りで一杯。食堂に置いてあったPCでkennrokuさんの掲示板に書き込む。今日の鈍足は靴下を2日連続で履いた事による靴下擦れのせいもあるので、靴下を脱いで寝る。
9月12日
05:00に朝食を食べる。小屋番のゆかりさんにテープと絆創膏をお借りして、足のメンテをすると痛くなくなった。05:28朝日小屋(2140)を出る。ゆかりさんが「雲が上がってきたな」と言った。いい小屋だった。水平道を廻り池の側を通ると程なく、尾根道と合わさる(2040)。赤男山も西面に巻道が付けられており、昨日に比べると大分楽だ。崩壊地を過ぎると赤男山南の水場に出た。ここはチョロチョロで、シェラカップで掬ってペットボトルに移した。その先鞍部から南東に尾根を越えて行く。その主尾根に乗る辺りから頸城三山を中心としたジオラマのような光景が広がった。とりわけ美しいのが火打岳で、それを取り囲むように、青梅黒姫山、明星山、鉾ヶ岳、焼山、金山、雨飾山、妙高山が広がっていた。標高を上げると戸隠山が出て、最後には苗場山、四阿山、浅間山まで見えた。雪倉岳の登りは風が強く雨具を着た。雪倉岳(2610)で、晴天を幸いと半乾きの下着と靴下を取り出し、ザックにつける。そのまま裸の大将のように歩き出す。雪倉岳避難小屋(2390)で朝日小屋の弁当を食べる。この付近だけ地面の色が紫色だ。その後鉢ヶ岳のトラバースでは一カ所セロリの香りがした。鉱山道分岐(2490)を過ぎると砂礫の登りになった。風も止み日射しが照りつけ手がひりひりした。三国境(2720)で洗濯物が乾いたのでザックにしまった。そろそろ人も増えてきた。一時ガスがかかったが白馬岳(2932)で再びガスが晴れた。居合わせた登山者に剱と鹿島槍をバックに写真を撮って貰う。杓子岳の南側鞍部に天狗山荘があると思い違いをして、少し休んでしまった。白馬鑓の南側気づき、急ぎ始めた。なんで天狗山荘かというと、扇沢まで抜けるつもりだったから。明日キレット小屋、明後日扇沢のためには、最低限天狗山荘が必要だった。村営宿舎を過ぎた辺りで再びガスに包まれた。15:34杓子トラバースの始まり(2710)、その先白馬鑓の登りは本日最後にふさわしい手応えがあった。山頂も近い頃ブロッケンが出た。山に白馬を歩いたと認められたようで嬉しかった。ピークから山荘を見下ろすとかなり距離があった。今回は最後まで5万分の1のスケール感覚が抜けなかった。小屋の人が見ているのがわかったので、ストックを振ってゆっくり下った。17:45天狗山荘(2720)。夕食の水炊きは、おいしく驚いた。寝る前に考えた。①好天が続いたけどそろそろ崩れる。②今の自分では明日キレット小屋は難しい。③そして崩れたときキレット小屋に閉じこめられるのは嫌だ。④予備日は1日残しておきたい。⑤でももう少し歩きたい。それで、①明日白岳から五竜を往復し明後日八方尾根を降りる。②調子が良ければキレット小屋まで頑張る。③明日悪天なら鑓温泉経由で猿倉に降りる、ことにした。
9月13日
朝起きるとガスに包まれ雨が降っていた。ツキが終わった気がしたので、天狗山荘(2720)を出て鑓温泉にした。06:19尾根に乗る(2790)あたりが一番風雨が強まった。尾根を外れる(2740)と風が少しずつ落ちていった。途中鎖場があった。鑓温泉(2010)で小屋の弁当を食べる。山菜おこわの上にカシワの照り焼きが載った物で駅弁よりおいしい。その先杓子沢の手前落石沢でルートの崩落があり10m位上にルートが付け替えられていた。杓子沢でスライドした二人にそのことを告げ、1856の尾根まで来たとき、「ゴロゴロガガガガ」という崩落音がして振り返ると先ほどの夫婦連れが渡る所だった。奥さんが時間が掛かっているようでしばらく見ていたが、無事渡り終えた。この先登ってくる人が多くなった。10:39小日向のコル(1820)を過ぎると雨も上がり晴れ間も見えてきた。登ってくる人に良かったですねといいながら降りてくると大雪渓からの道が合わさった(1310)。後は林を抜けて12:29猿倉(1240)。後は大糸線~北陸線を乗り継いで親不知観光ホテルの尾崎さんに親不知駅まで迎えに来て貰った。その夜の海の幸の料理は、安価でおいしかった。
4.感想
朝日小屋まで1日で行くのは難しいけど、栂海山荘から白馬頂上宿舎まで1日は、工夫すれば出来る。そこら辺が短期で抜けるポイントで、それができなかった以上、撤退は無難だったと思う。 20080916桃パパ