巻機山・米子沢 冬山教室[尾根・山スキー]

1. 山域・メンバー

山域・山名 上越線沿線/巻機山
ルート 清水~井戸尾根~巻機山~井戸尾根(歩き)・米子沢(スキー)
地図 巻機山(1/25000)
山行内容 尾根・山スキー
メンバー (L)楡井・太子・高橋・小畑・戸貝・目黒・渡辺(スキー)/成海・武者(歩き)(峡彩山岳会)

2. 行動記録

記録 渡辺
日程 2008/3/16 ・ 一日中晴れ時々曇り
タイム 3/16 清水7:00~桜坂7:45~1128m8:45~稜線12:20-12:50~避難小屋12:55-13:45~大滝下14:55~清水15:25

報告

巻機山の米子沢は当会でも数十回以上の遡行経験があるが、スキーで滑った人はいない。今回は年間計画とも重なり大人数の編成となったが、リーダー&メンバーシップで米子沢の当会初トレースをする事ができた。あまりの好天により滑走こそ物足りなかったが、この名渓で夏季の遡行と積雪期のスキーの両方ができた事には、十分満足している。

1128mまで

新潟~三条とメンバーを拾って、成海号で清水に向かう。川口付近は深霧だったが、好天時はいつもこうなるのだと、良いほうに解釈した。六日町I.Cを降りる頃にはすっかり晴れ上がり、ビールを買うべく自販機に向かうと免許証を読み取ってくれない。この天気なのにビールが無いとは一大事であったが、「稜線は風があり、ビールはさほど旨くない」と解釈し、気持ちを取り直した。

清水の「やまご」で前泊の3人と合流して出発にかかる。道路脇からスキーが使えるのは嬉しい。あちこちにトレースが有り、一番明瞭なトレースを拾いながら桜坂に向かう。凍みてはいたがシールが滑る程ではなく歩き易い、と云うことは帰りはグサグサ雪が想像できた。好天だからグサグサ雪は仕方が無いと思うが、モナカだけは勘弁して欲しいと願う。桜坂の手前で沢の様子が見えた。雪量は申し分ない、デブリもこれからの様子である。金~土曜日にかけて上部は降雪になっていたと思うがこれだけが心配、今日はほぼ米子沢を滑れそうである。


米子沢が見えた

 入山者は40人以上、スキーが8割を超すようだ。7~8人の大人数のパーティーが目に付く。我々もそうだが初心者~ベテランまで、混成でも計画を立案し易い山だと思う。登高を始めるとまもなく台地状となり、割引沢が良く見える。幾分デブリが出ている様子であった。傾斜が徐々に増すと井戸の壁と呼ばれる登りに差し掛かかり、良くしたもので疎林になってくる。視界不良ならば、こちらの滑りも充分に楽しめる。


井戸の壁の登り

 清水の集落も眼下になるとジグを切り始め、壁を登りあげたら米子沢の核心部が見えた。問題の大滝は、上からの新しいデブリで埋まっている。上部は見えなく、中流部に目立った悪場・デブリは無い模様である。これなら大丈夫そう、米子沢スキーが現実味を増してきた。


米子沢、最下部が大滝

稜線まで

標高1500m付近は緩い登り、樹木は無くなり春の日差しが照りつける。展望が良く、谷川連峰~苗場~魚沼山塊と見渡せた。


1500m付近、谷川連峰をバックに

 1600mを過ぎるとニセ巻機山も近付き、もう一登りである。1時間も掛からない登りだが、心情的にはここが踏張り所であった。


ニセ巻機山を目指す

 ニセ巻機山に上り、米子沢の源頭部~割引岳を望む。足元を掬うと新設数センチが確認できたがもう湿雪で、表層雪崩の心配は無いと思えた。避難小屋までシールで降るが、案の定、転倒した。守門の保久礼小屋と同じパターンを繰り返してしまった訳である。


米子沢源頭部。左は割引岳

 避難小屋は完全に埋もれていた。全員が集まるまでテーブルを作ったり、ゾンデが初めての人も居たので雪面に刺したりする。ゾンデは全部埋まったので、積雪は3m以上である。

掘り下げたテーブルの断面を見たら、50センチくらいまでの間に氷結した層が5層あり、70センチでこしまり雪が出てきた。ここは鞍部なので滑走面と状況は違うが、全体的に安全と判断した。全員揃ったが時間が迫っており、急いで登りに取り掛かる。フィルムクラストであった。


最後の登り。中央はニセ巻機山岳

 稜線から歩きの2人は山頂に向かったが、お疲れモードのスキー組はここまでとする。ここからは越後三山の眺めが抜群であった。乾杯(仮)をして、お楽しみの滑りに掛かる。


本日最高点、越後三山が隠れてしまった

稜線~米子沢~桜坂

少し引っ掛かり気味ではあったが楽しい滑り、あっという間に宴会場に着いた。今日は9人なので宴も盛り上がる。小畑君のキムチ/豚肉/餅煮込み鍋は味もさることながら、なんとこれが全員に行き渡る量があり驚いた。ここから歩きの2人とは一時の別れ、さあ、あとは滑るだけだ。


二股

 源頭部に降り二股までは緩やかな下りである。この時点でもう雪はグサグサ、残念ながらこれから先の滑りはもう期待できないが、何回となく通った二股も降りは始めてとあって感慨深い物があった。本流に入ると景観が広がり、右岸からの崩落に注意をしながらターンを刻む。


米子沢本流の滑降

 幸か不幸か滑落の危険は100%無く、超重雪の米子沢を滑り降りるが、次第に足が重くなる。


楡井


戸貝


高橋師匠


小畑


目黒


中流部、足がくたくた

 谷は満遍なく日が当たり重雪で、中流部を過ぎるとお腹一杯である。総じてデブリは右岸からで、左岸は比較的安全に感じた。やがて谷底全部を埋めるデブリに達すると、大滝も間近になる。左岸からデブリを横断して右岸に渡り、中央を埋めたデブリの右脇を降りた。あの滝がここまで埋まってしまうとはと、改めて驚いた。


大滝を通過した

 後は夏場のゴーロだ。間違っても水流は無く、これで安全地帯に入った。失速をしないように河原を進み、堰堤を一つ登り返した。


また来よう

 桜坂で歩きの2人と合流した。2人の方が先に着いていたのは、今日の雪の状態を表していると思う。リーダー初め皆さん、お疲れ様でした。