柴倉川中流部ゴルジュ帯~柴倉沢(会越)[沢登り]

1. 山域・メンバー

山域・山名 会越国境
ルート 柴倉川中流部ゴルジュ帯~柴倉沢
地図 安座(1/25000)
山行内容 沢登り
メンバー 都丸(L)、渡辺国、内山、大江(峡彩山岳会)

2. 行動記録

日程 2006/7/30(日)晴れ時々曇り
タイム ふれあいの森駐車場8:30~柴倉沢出合11:30~柴倉集落16:20

報告(都丸)

支沢や上流部を含めて柴倉川流域には何度も入渓してきた。中流部は去年単独で途中まで遡行して内容は分かっている。峡彩ではあまりやらない泳ぎのある沢登りをやってみようということで、今回再び柴倉川を訪れることにした。クルマは2台使い、柴倉集落奥の林道車止めと入渓点のふれあいの森とに分散しておく。


(1)入渓点の暗峡(橋上から)


(2)2番目にロープを出した箇所


(3)つま先立ち


(4)代表的な渓相

緑色の太い流れを歩く

ふれあいの森にかかる橋を渡って川に降りる(1)。入渓地点はのすぐ上流で右岸から大滝がかかっている。7月末という時期のせいかアブはいない。その代わり真夏の暑さはまだない。行く手は両岸から黒い岩壁が覆い被さる暗峡だ。静かに水をたたえる大きな黒い淵は、底に何か棲んでいそうな不気味さを覚える。前回は10m程度の泳ぎで済んだこの淵は、流路が変わったせいか今回は30mの泳ぎを必要とした。PFDに保温効果があるとはいえ、体が温まっていない朝一番に水につかるのは少々つらい。後続のためにロープを引き、途中で岩にしがみついて休みながら泳ぎきった。
暗さを感じるのは最初だけで、序盤は開けた谷と豊富な水量を楽しみながら歩いていく。独特の緑色の水は晴天の下でよく映える。水量は去年と比べても多いように感じられた。ちょうど梅雨明け前後にあたり、前前日までは雨がちの天気だったせいだろう。淵では小型のイワナが群れて泳ぐ。
胸まで水につかったりワンポイントで泳ぎながら快適に遡行する。途中の流れの速い場所で大江さんがリードでロープを引いた(2)。穏やかで豊かな流れが陽光にきらめいている(3)(4)。


(5)核心部入り口


(6)左岸にとりついてへつる


(7)廊下


(8)激流を越える


(9)後続はロープで楽々


(10)流木の挟まった小滝


(11)今度は泳ぎ


(12)そしてへつり

核心部

棒目木集落のあたりから両岸狭まるゴルジュの核心部となる(5)(6)。入り口のトロは左岸をへつって飛び込んで右岸へ移り、沢床に挟まった流木を使って再び左岸からへつる。ここは去年と同様だ。続く廊下は流れが速くなり慎重に前進する(7)。再狭部は泡立つ激流となって行く手をはばむ。左右岸から突破を試みるが流れに押し流されて失敗。渡辺さんが空身になって右壁のわずかなフィンガーホールドだけを頼りにきわどく突破し、後続はロープに引かれて続いた(8)(9)。すぐ上流の左岸から鍬沢が勢い良く合流している。続く3m滝は右壁をトラバースするのも可能だろうが、安全策を取って水流づたいに行く。チョックストーン状に挟まった流木を利用して登れた(10)。滝上はいったん穏やかな流れになるが、相変わらず両岸ゴルジュで水深は深い。右に左にルートを選び、時に泳ぎながら通過する(11)(12)。
柴倉沢出合で本流には釜のある4m滝がかかる(13)。去年断念した滝で、今回はなんとか登りたいと思っていた。堰堤状のその滝は姿が一変し、真ん中が開いてチムニー状になってしまっていた。少々拍子抜けしたものの、ともかく右から釜を泳いでとりつく。下部はステミングで、落ち口付近はフリクションを効かせて一気に越える。滝上は水量が減って多少は楽になるかと期待したが、さっそく2mの釜滝が現れ、その先も廊下が続いている(14)。釜滝は右岸の壁を一段上がると、まるで人為的にステップを切ったかのような穴が開いていて足場にできる。思い切って滝の上に飛び降りた。続く廊下の先にある滝が越えられるかどうか不明だったので、とりあえず大江さんに来てもらって確保を受ける。水圧に抗いながら少しづつ前進し、滝直下までたどり着く。落差1m程度のナメ滝というより落ち込みだが水勢強く釜の下は足がつかず、両岸にも手がかりはなし。身長分の突っ張りで突破を試みるが、全身に川の水をまるごと受けてドボン。


(13)チムニー状4m滝


(14)落ち込みと釜の連続


(15)ゴルジュ内の5m滝

支沢柴倉沢を詰める

巻くのも大変なので、懸垂で下降して支流柴倉沢を詰めることにする。出合い直後の5m滝は、出口の強烈なジェット水流をかわしながら取り付いて突っ張りで登る。その後はこれといって滝はないが、まだまだ水量の多いゴルジュなので手ごたえはある。函状の5m滝(15)はやはり登れず、左岸のヒドから巻き上がる。30分の高巻き後、20mの懸垂で渓に戻る。標高380mで右岸から入る支沢に入り、柴倉集落付近に詰め上がった。 課題にしていた柴倉沢出合の滝は登れたが、その後すぐに新しい課題ができてしまった。水量が少ない時期を狙っていずれ行こうと思う。