剱岳・八ッ峰ルート [春山合宿・雪稜]

1. 山域・メンバー

山域・山名 剱岳
ルート 八ッ峰
山行内容 雪稜
山行種別 会山行
メンバー 大江、楡井、戸貝(峡彩山岳会)

2. 行動記録

日程 2006年 5月 4日THU~ 2006年 5月 6日SAT
タイム 4日晴れ 三条燕4:20~立山駅7:40-9:30~直通バス~室堂10:40-11:00~雷鳥沢キャンプ場     11:35-11:50 ~剱御前小屋13:25-14:05~剱沢野営場B.C14:20
5日晴れ B.C4:30~長十郎谷出合5:00~I II峰コルのルンゼ出合5:45~II峰先7:30~V峰9:10~V VI峰のコル10:00~VII峰12:15~八ッ峰の頭13:10~剱山頂14:10-14:45~別山尾根~B.C17:00
6日晴れ B.C7:50~剱御前小屋8:30-8:50~室堂10:40

報告(大江)


IV峰の登り


VI峰背景V峰にて


V VIのコルからV峰


VII峰懸垂


剱山頂直下

剱沢野営場B.C2,510mhから長十郎谷の出合1,900mhまで約600m下る。途中、昨年登った源治郎尾根を左に見て歩く。既に10人前後が取り付いていた。
長十郎谷はここから間近い。長十郎谷にも既に数組が取り付いていた。ここで装備を再確認していよいよアタックだ。

長十郎雪渓の登り始めは緩い。右手に岩場を見上げながら、I II峰コルのルンゼをめざす。

2,100mh位だったろうか、天気が良かったしI峰が顕著なので、ルンゼは直ぐにわかった。右手の岩塊も目印になる。

B.Cから見たときは壁の様に見えたが、下から見上げればフリーで問題なさそうだった。しかし、途中までリードしていた楡井が、確保してもらうつもりで「ロープを出そう」という。そこまでの傾斜でも無さそうなので、タイトビレイにしてリードを交代する。

I IIのコルとII峰を割愛して、II峰を降りたところへ抜ける。八ッ峰の脊梁稜線である。

一息入れ、コンテニュアンスに組み換えてIII峰の登りにかかる。結構急な登りだが、この後これ以上の雪壁が何度も現れることになる。

III峰、IV峰共ナイフリッジになっていた。どちらも下りは慎重を期して、コンテからスタンディングアックス(以下SAB)にスイッチして確保する。

V峰へは更に細いナイフリッジで、長十郎谷側、三ノ窓雪渓側ともスッパリ切れていて、落ちることは許されない。 V峰に着くと前の2人パーティーがまだ懸垂中であった。後立山連峰の眺めがいい。隣の源治郎尾根の様子が手に取るように伺える。

V峰は長十郎側を2ピッチ、60m懸垂下降する。1ピッチ目は雪壁。2ピッチ目は岩場を下る。

VVIのコルは結構広く、テントの後と立派な横穴雪洞が残っていた。振り返るとVI峰がまるで壁のように立ちふさがっている。バケツ化したトレースに脛をねじり込みながら登る。

VI峰の下りも三ノ窓側をSABでクライムダウンするが、長いので最後の楡井のために途中ランニングにスノーバーを1本入れた。

VII峰の下りは三ノ窓側の岩場を45m懸垂下降する。コルに出ると、ここは八ッ峰を登る人と三ノ窓雪渓、長十郎谷をスキー・スノボーで滑り降りる人の交差点になっていた。ここもまたビバーグポイントになる。

VIII峰の登りは短いが、VI峰より更に急な壁である。足元をしっかり固めて慎重に登る。右隣のチンネには2人組が取り付いていた。この時期、何を穿いて登っているのだろうか。

八ッ峰の頭から池谷乗越と、左俣のコルを2度登り返すと、そこは山頂である。

感想

昨年、最初の剱を源治郎尾根からアタックし、今回ようやく八ッ峰にたどり着いた。メンバーには戸貝も参加を希望して打診してきた。今までのキャリアから「行ける」と信じOKした。

10:00までにVVIのコルを抜けられなかったら「長十郎を降りる」と宣言していたが、9:56に着いてくれた。気が張っているのか、朝の米飯のお蔭か、戸貝がいつもより調子がいい。B.Cを守る渡辺に「計画通り」を無線で告げた。

八ッ峰。このルートは山頂まで気を抜けるところがなかった。下山後の楡井の言葉を借りると「これからは剱とゆっくり向き合える」。