雪山講習会 守門黒姫エリア

1.山域・メンバー

山域・山名 越後山脈 守門 黒姫
山行内容 雪山講習会
メンバー L太子、SL木村、戸貝、伊藤(実)、近、遠藤 日帰り 成海、吉川
天候  

2.行動記録

記録 木村
日程 2021年2月20日(土)~21日(日)

3.報告

 昨年末の例会において、新人を対象に(会員の再確認も含めた)雪山における講習会をやろうという話になり、年間計画として今回の開催となった。

場所は、守門黒姫へのアプローチエリアとし、車からも近いタモ沢下流の右岸の平地にテン場を設営して、楽しみながら雪上生活を学ぼうという趣旨で行った。

 

20日の7時に黒埼Pに集合し3台に分乗して現地を目指す。

天候は快晴! 明日もなんとか持ちそうとの予報。高速を中之島見附ICで降り、栃尾に出ると雪がたんまりと積もっており、現地に向かうにつれて徐々に高さを増してゆく。

浅草大橋を過ぎて道路沿いに駐車する。我々の向かう先は県内ナンバーが1台だが、その先には、浅草岳への登山者の車が10台以上停まっており、県外車も多く全国区の人気の山となっている。

太子・伊藤はスキー、木村・戸貝・近はワカン、遠藤・成海・吉川はスノーシューで準備に取り掛かる。今回はテントも基本各自なので荷物も嵩張る上に、リーダー太子さんの熱望により薪と炭も持ち込んでいる。

木村は記録者を理由に、薪・炭・宴会用ジャンボテントは他に譲り、伊藤・吉川・遠藤さん達のボッカ訓練に協力することとした。戸貝さんが子供用のソリを持ってきたので、そこにも共同装備のおすそ分けをする。

9時半に出発しスキー・スノーシュー・ワカンの順で進むが、それでもワカンは沈み込む。リーダーより5か所のポイントが記された地図が配られ、テン場とするポイントAは緯度・経度がヒントとして記されている。パーティーをA班(木村・戸貝・吉川・遠藤)B班(太子・伊藤・成海・近)に分かれて読図しながらテン場を目指す。

B班は林道沿いだが、A班は手前の斜面を乗っ越すルートに向かう。吉川・遠藤がスノーシューでラッセル開始。泊まり装備のザックを背負ってのラッセルは「ばか難儀」なもので、特に遠藤さんは初めての経験である。日頃ランニングやマラソンにも出ているタフガイなのだが、勝手が違うせいか踏み込むと雪が崩れて思うように上がれない。

一方、吉川さんは出だしに足を捻って心配していたが、ものともせずにワッシワッシとロングストライドを活かして上がってゆく。これも平成生まれという若さの差か?

大汗をかきながら11時前にテン場とする標高540mのポイントAに到着し一息。

平地の中心を宴会用広場とし、周囲に4張りの個人テントとジャンボ1張りを設営。行動食を摂ってから、対岸の浅草岳の見晴らしが良いタモ沢右岸側の820mのポイントCまでポイントBを経由して辿り着くという読図訓練を開始。成海さんはテントキーパーとしてお留守番をお願いする。

 1月末にリーダーの太子さんが下見を行い、各ポイントに赤布を着けてきたのでそれを見つけながら行動するという手の込んだ訓練であった・・・ハズが、出発時に上部より先行者がスキーで降りて来た。太子さんが言葉を交わし、途中で赤布があったでしょ?と尋ねると、「ええ、あったので外して来ました」と、これには太子さんも「講習会のために着けたんだけど・・・」と力なく答えるのが精一杯。トホホな気持ちを振り払い、登高を開始する。

 

 天気は快晴、心地良い風を受けながら樹林帯を進んでゆく。昔と違い、今は携帯の地図機能やGPS機能により簡単に現在地を特定出来るようになったが、実際に地形を見ての判断や、地図から最適かつ安全なルートを読む等、今回の様な体験を重ねながら体得する事が重要である。リーダーから「地図をよ~く見れよ!」との声が掛かる。各自の携帯のGPS機能も標高は15m位のバラツキがあり、ガスっている時の下降では注意が必要と感じた。

 ここでも時おり交替しながらも吉川さんがワッシワッシと先頭を進む。空身ではあるが汗を拭き拭き820mのポイントCの平坦部に到着。対岸の浅草岳から鬼が面山が綺麗に見渡せ、一同満足そうにしばしの休憩タイム。

 14時に下降を開始し、スキーの太子・伊藤組はさっそうとターンを刻みシユプールを残して行く。アッと言う間にテン場に到着し、続いてビーコン訓練を開始する。

 まずは木村を遭難者に見立てて送信モードに、他は受信モードに切り替えてどれ位の距離から電波を捕まえられるか?ビーコン近くに携帯がある場合と携帯が離れている場合との違いを検証。文献ではかなりの差が出るとの事であったが、今回はそれ程の差はつかなかった。続いて、受信モードを雪に埋めての捜索訓練を実施。ビーコンの効率的な捜索方法は座学だけでは難しく良い訓練になったと思うが、継続的に実践して体得する必要があると感じた。

 テン場に戻り、ツェルトを使った竪穴雪洞の作り方を行った後、日帰り組の成海・吉川さんとお別れ。まだ日も明るいうちから待望の宴会第1部に突入する。
 太子さんが焚火台をザックから取り出し、薪と炭のファイヤータイムが始まる。各自持参のツマミを取り出し、ビール・酒・ワインと進む進む♪♪♪
 太子さんは厚めのベーコンを炙り美味そうに頬張る。日も暮れなずんで来ると、炎の心地好さが身体を包む。ボッカ訓練と称して運んでくれた方々に感謝感謝!
 日も落ちて冷えて来たのでジャンボテントに移動して第2部の幕開け。残りのアルコールを片付けながら成海さんからの差し入れの豚しゃぶを有り難く頂く。
 スタートが早かったので8時過ぎにお開きとして、テントに潜り込む。夜半に雨音で眼が覚めたが快適な一夜を過ごす。

 翌朝5時半に起床しテントから出ると、昨夜の雨で踏み固めた雪面がズブズブになっており、歩き難いことこの上ない。ゆっくりと朝食を摂り8時過ぎに2日目の訓練を行った。

 2日目のコースは、タモ沢左岸側の750m地点のポイントDまでの登高で、天候も引き続き晴天の中で開始。林道沿いに進んで何処から登りにとっつくか?地図と実際の地形を見較べて判断する必要がある。 新人を先頭にしてルートを選んでゆくが、尾根への取り付きではリーダーから「そこじゃねぇてば!」と指導が入り、安全なルートで尾根を登り始める。

 ラッセルも新人訓練とタカをくくっていたら、最後尾の戸貝さんから「ラッセルは交代するもんだからね!」との声が掛かり、近・遠藤に続きなんと木村まで回ってきた。

 見た目は大したことなさそうに装い750mを過ぎ780mまで頑張り登高を終了。日差しが眩しいが吹き渡る風が心地良い。後は撤収して温泉と栃尾の油揚げを買わねばと思い、下降を開始、スキー組も快適に下ってゆく。 途中の750m地点で太子さんが1月末に着けた赤布を発見。その時は身長より上に着けたのだが、今回は雪面の所に顔を覗かせていた。前回より2mも積雪が増えていたという事である。

 テン場に戻り、昼食後に再び泊まり装備のザックを肩に通す。スキー組はさっさと消えて行った。スノーシューの遠藤さんはそれ程潜らないが、ワカン組は夜の雨のせいでトレースを辿ってもズブズブに!

 大汗をかきながら車に戻り、栃尾の温泉で汗を流してサッパリとし、晩げの酒のツマミの油揚げを買って一路新潟市へ。天候に恵まれ、有意義な雪山講習会であった。