1.山域・メンバー
山域・山名 | 八ヶ岳連峰 阿弥陀岳・北陵 |
山行内容 | アルパインクライミング |
メンバー |
峡彩山岳会:伊藤芳、吉川 他:笹川 |
天候 | 快晴 |
2.行動記録
記録 | 吉川 |
日程 | 2019年12月8日(日) 0700 赤岳鉱泉 – 0900 ジャンクションピーク – 1130 阿弥陀岳山頂 – 中岳沢 – 1400 赤岳鉱泉 – 美濃戸登山口 1600 |
3.報告
戸貝さんのお誘いで、八ヶ岳で冬山デビューをしてきました。これまで冬山らしきものはワカンで五泉の大蔵山を登った程度で、アイゼンもピッケルも未経験。そういう状況なので、「硫黄岳くらいでお願いします」と話していたはずが、いつの間にやら行き先は阿弥陀岳、山行内容はアルパイン???「はじめてのゆきやま☺️」気分が「阿弥陀岳北陵冬季登攀💀」になり、ビビり倒しながら眠れぬ 楽しみでウキウキの1週間を過ごしました。
前日は裏同心ルンゼでアイスクライミングをしたのち、赤岳鉱泉でテント泊しました(戸貝さんの報告)。当日は戸貝さんが北西陵に行くことになったので、残った新潟組の伊藤さん、笹川さん、私で北陵へ行くことになりました。4時起床、東京組にスパイスの効いた美味しい朝食を振舞っていただき、北西稜行きの2人を見送った後、のんびり準備をして7時に赤岳鉱泉を出発しました。行者小屋では水を補給し(この時期でも勢いよく湧いていました)、まずは文三郎道沿いを行きジャンクションピークへの取り付きを探します。ところが今年は例年になく雪が少ないそうで、これまで何度も足を運んでいる笹川さんも「こんなに歩きにくかったっけ?」と首をかしげながらしばらく彷徨。結局中岳のコルに向かう登山道を途中まで登り、そこから斜面を登って阿弥陀岳北陵とジャンクションピークの鞍部に乗りました。
北陵の序盤は笹の生えたゆるい尾根道で、途中から傾斜の強い潅木帯になります。ここは笹川さんフリー、伊藤さんと私がコンテで通過。凍った土にアックスがよく効いて気持ち良く登れました。50〜60mほど登るといよいよ本ルートの核心部となる岩峰が現れます。全3ピッチ(※)の朝日がよく当たる暖かいルートで、要所要所にペツルのハンガーボルトが打ち込まれていました。全ピッチ伊藤さんリード・吉川フォロー、笹川さんは3ピッチ目以外フリーで登りました。
※ 他の山行記録を見ていると、今回の1・2ピッチ目をつなげて全2ピッチとする場合も多いようです。
最初のピッチは岩の左手の凹角から登り、凹角を登りきったところで終了。ホールドが豊富なのであまり難しくは感じませんでしたが、初めてのアイゼン登攀なので足の取り回しにやや気を使いました。2ピッチ目は少し薄暗い草付きの岩を右側から登りました。伊藤さんがピナクルで取ったランナーを回収しつつ、平坦なテラス状のところで終了。3ピッチ目の出だしはフェースを登りますが、足の置き場が小さく、手のホールドも凍ってツルツルなので、リードの伊藤さんはかなり緊張したとのこと。フェースを登り切ると幅30センチ・距離3mほどのナイフリッジが現れ、通過すればもう阿弥陀岳の山頂直下でした。実際に取り付く直前まではビビりまくっていたのですが、いざ終わってみると「えっもう終わり?」という感じで呆気なく終わってしまったのでした(もちろん伊藤さん・笹川さんの手厚い技術的・精神的サポートがあってのことです!)。
阿弥陀岳の山頂は快晴無風で360度のパノラマが広がっていました。新潟からはなかなか拝めない富士山や南アルプスも目の前にバッチリ。うっすら雪化粧した赤岳・横岳の稜線も格好良かったです。眺望を楽しんでいると間もなく北西稜チームも無事に到着。記念写真を撮った後、5名で下山しました。
以下、初めての冬山&アルパインクライミングで気づいた点です。次回に活かしたいと思います。
・靴はシュラフに入れる他、枕にして凍結を防ぐという手段もある
・気温が低いと喉の渇きに気づきにくいため、こまめな水分補給を心がける
・アルパインでは状況に応じて必要十分な確保方法を考える
・本当に恐ろしいのは阿弥陀北陵ではなく、イチから冬山道具を揃えた翌月のクレジットカードの明細だった