飯豊前衛/加治川ウジノ沢 [沢登り]

 

飯豊前衛/加治川ウジノ沢 [沢登り] 2009/11/8

1. 山域・メンバー

山域・山名 飯豊前衛・焼峰山
ルート 飯豊川第一ダム~ウジノ沢(氏ノ沢)を遡行して焼峰山~加治川治水ダム
地図 東赤谷(1/25000)
山行内容 沢登り
メンバー (L)都丸(峡彩山岳会、単独)

2. 行動記録

記録 都丸
日程 2009/11/8 晴れ
タイム 11/8 飯豊川第一ダム7:05~540m二俣10:15~950m付近登山道12:15~焼峰山12:40-13:15~加治川治水ダム14:50
ルート図

報告

【総評】序盤から源頭近くまで断続的に滝が現れ、中には工夫が必要なものもあり楽しめる。高巻きは長い所で30分ほどだった。隣の袖ノ沢と比べるとスケール・困難度は一段落ちるが、遡行の楽しさはウジノ沢が上だ。詰めは本流から外れた感があるものの、これはこれで内容があった。飯豊に連なる沢らしく草付や泥壁が嫌らしい所、また直登か巻きか微妙な判断を迫られる場面がある。今回は単独行でロープも使わなかったため、タイムは短時間だと思う。複数人ならプラス1~2時間は必要になるだろう。

自転車を加治川治水ダムにデポし、車を飯豊川第一ダムの近くに停める。土木業界では知られたダムらしい。越流している堤頂部を歩いて対岸に渡る。ダムは結構な落差で、下流は激流が暴れている。落ちれば助かりそうもない。両岸のコンクリ壁に梯子がついているので、水に浸からずウジノ沢の出合まで行ける。


飯豊川第一ダム


見下ろすと吸い込まれそう

 出合に着くと、谷の大きさの割に水量は少ない印象だ。少し歩くと早速のゴルジュが始まる。最初の5m滝は釜を持ち深い。朝から水に入りたくないので側壁をトラバースできないかと頑張ってみたが駄目。諦めて胸まで浸かってしまえばさほどの冷たさではない。滝に取り付き、コケが着いて滑りやすい岩肌を慎重に乗り越える。


最初の5m滝

 5m滝をもう一つ越えると逆くの字型の2段12m滝が現れる。下段は問題なく、中間部はホールド乏しく際どいフリクション登攀を強いられる。水線沿いに直上はできないので左壁のバンドに乗り、ブッシュを使って壁を乗り越える。この滝は初心者同行ならロープは必須だろう。


2段12m滝

 釜を2つほど越えると狭まった廊下の奥に12m滝が掛かる。直登も不可能ではないだろうが、泳ぎとシャワーのコンボをこなさなければならない上に、取り付きはかなり難しそうだ。少し戻り右岸を高巻く。


12m滝は巻いた

 滝上は谷が開けて明るい雰囲気になった。ゴーロの中に釜を持った4~5m程度の滝が断続的に現れて楽しく登っていける。魚影は濃い。釜ごとに複数匹のイワナが水中を滑走し、時に跳ねる。


面白い形の滝


ナメ滝


ナメ滝


この滝は巻いた

 1:5の支沢を分けると短いゴルジュになり、2段8m滝、6mナメ滝が連続して掛かる。8m滝の右壁に取りついて簡単に登り、すぐ上の6mナメ滝は巻き気味に越える。間隔を置いてホラ貝状の4m滝はちょっと考えさせられるところだ。右壁のバンドを登り、途中からヌルヌルの水流に足を置いて変則的なステミングで乗り越えた。


2段8m滝


4m滝はステミングで越える

 左岸から支沢が入り、本流はゴルジュの奥に小滝2つを掛けている。最初の4mCS滝は右側がルートになりそうだが厳しい。パートナーがいればショルダーでも試してみたいところだ。ハーケンを打ちスリングをかけてアブミにして上がってみたものの、落ち口への一歩が出ず退却。支沢の出合まで戻り、中間のリッジから30分近い高巻きになった。


ゴルジュ内は通過できず高巻く


2段10m滝

 540mの二俣に着いた。水量比はだいたい1:1で、焼峰山の直下に出る右俣がどちらかといえば本流になるのだろう。左俣は出合に6mの滝を掛け、陽が当たって暖かそうだ。右俣は相変わらのず日陰でぱっとしない。というわけで光彩に誘われるように左俣に入っていく。滝はつるつるで手がかりがないので、脇の草とブッシュを使いながら巻き気味に越える。


左俣の滝

 上部はこの沢の核心というところか。ナメ滝が連続する美しい区間に入る。中でも15mのナメ滝は白眉としたい。傾斜は緩いが滑りやすいので、コケを落としながら慎重に直登した。6mの滝は登れず右岸を巻いていくとさらに大滝が見えた。いったん沢に降りると二俣で、左右いずれも20mほどの滝を掛けている。当初は右俣を考えていたが直登はできそうになく巻きも大変なので左俣に入ることにした。大滝は下部はスラブ状、上部はトイ状だ。右壁に取り付いてみると思ったより傾斜がきつく、フリクションを効かせてというわけにはいかない。結局直登は諦め左岸の草付きからブッシュに入り巻く。ナメと小滝を越えると10m滝が掛かり、左岸のガレ沢から簡単に巻いた。


トイ状のナメ滝は巻いた


15mナメ滝


20mの大滝


10m滝

 滝上は源頭の雰囲気で、ヤブ沢を詰めて左寄りに進み、遡行5時間ほどで登山道に出た。焼峰山の山頂で休む。11月でもこの日は気温が上がり、沢中でも寒さを感じなかった。稜線では上着を脱いでアンダーだけになってしまう。焼峰ノ頭経由で加治川治水ダムへと下山した。