1. 山域・メンバー
山域・山名 | 吾妻・吾妻小富士周辺 |
ルート | 女沼~塩ノ川渡渉点からクラゲ滝上まで遡行して往復 |
地図 | 土湯温泉(1/25000) |
山行内容 | 沢登り |
メンバー | (L)都丸、中山(峡彩山岳会) |
2. 行動記録
記録 | 都丸 | |
日程 | 2009/8/3 曇り | |
タイム | 8/3 | 女沼8:50~入渓10:30~クラゲ滝上14:00~女沼15:40 |
報告
【総評】今回は雨で出発が遅くなり、下部核心のクラゲ滝まで遡行して打ち切った。日帰りで最後まで行くのは時間的に厳しそうだ。序盤はゴルジュが続き、最初の2段15m滝が難しく人工登攀になる(カムが有効。ないとかなり厳しい)。滝の直登にこだわれば上級者向けということになるのだろう。最初の滝は手前から高巻くのもたぶん可能だ。
ばたばたしつつも入渓まで
前日夜につつじ山公園の駐車場でテントを張る。雨は小降りになって降り続けていた。周囲のガスが濃く薄気味悪いが、テントに入ってランタンの下で乾杯すれば快適な宿というものだ。朝5時起床、相変わらず雨がフライをぽつぽつと叩く。雨模様でゴルジュの沢に入るわけにもいかず、今日は温泉にでも入って帰ろうかなどと話して二度寝した。7時に起きて食事を済ませ、外に出ると雨は止んで晴れ間も見える。出発するには遅すぎるが、登山道が近い1050m付近までの遡行ならなんとかなりそうだ。女沼ほとりの広場に車を置いてまずは「思いの滝」を見に行く。増水はしていないようなので戻って支度し、8:50に出発した。
女沼のほとりで。右は遊歩道
尾根伝いの道を登るつもりだったが道がわかりにくい。所々の赤テープは古く、歩く人はほとんどいないのだろう。下草やブッシュが薄く歩きやすいのが救いだ。それでも793mピークを過ぎる辺りで道を見失う。暑さでへろへろになっていたため、もう帰ってもいいやなどと考え始めた。しかしこんな所で引き返しては最悪のグダグダ山行というもの。パートナーの手前、気弱な言葉は飲み込んだ。少し戻って落ち着いて探すと男沼から合流する道が見つかり、沢へ降りるへつり道に入れた。
ゴルジュに挑む
10:30にようやく入渓した。安直なもので、水に足を浸して歩き始めると体力が回復してくるのを感じる。穏やかなナメの小滝と釜を過ぎるといよいよ核心のゴルジュ帯が見えてくる。
前衛の4m滝は中山さんは左の大岩のスラブを登っていったが悪そうだ。私は少し戻り、釜の淵をへつって水流の中を登る。沢が右に曲がって5m滝が掛かる。両岸からのしかかる壁は人の侵入を拒絶するかのようだ。ここは右のカンテを登る。続いて2段15m滝(手前の5mと合わせて20mとすべきか?)。序盤の核心と言える滝だ。1段目は右壁に取り付く。3mほど斜上し、上部のクラックに手を伸ばしてカムをセット。フリーでは登れそうにない垂壁なので潔くA0で乗り越える。続く2段目は中山さんがリードする。滝はトイ状から圧縮された水流を噴出し水線通しに行くのはちょっと無理だ。右壁のクラックを利用し、カムを使ってのアブミ登攀になる。時折あふれ出した水が頭からもろにかかって辛そうだ。2個、3個とカムをセットしてあと一歩というところまで来て限界に達したのか「選手交代!」と降りてくる。代わって登ればやはり水飛沫がかかり、じっくり構えてはいられない。中段へはスタンスがなく、不安定な体勢から上部のホールドにぶらさがって強引に体重移動して抜ける。落ち口へは慎重に水流をまたいで越えた。中山さんはこの滝の水浴びで相当体力消耗した様子だった。
この沢の青白く濁った水は特徴的だ。美しいというか不気味というか。釜は深さもわからない。ゴルジュの中の釜と小滝を越えていくと10mのナメ状の斜瀑がかかる。なんとなく左壁の残置ハーケンに導かれて一段上がってみたところ、そこから左壁にとりつくのは難しかった。右岸のヤブに逃げて落ち口へクライムダウンする。
大釜のある10m滝は釜を泳いで左壁にとりつく。傾斜が立ってくる辺りのポットホールが格好のガバホールドとして使えるが若干遠い。身長の低い人だと厳しいだろう。170cmの私でギリギリというところだった。スタンスも細かく緊張するところだ。ともかくポットホールに手がかかれば腕力で強引に体を引き上げた。中段で安定したスタンスに立てたのでハーケン2枚を左側壁に打ち込む。上部は側壁のホールドを使い(ワンポイントのA0)水流に足を置いて慎重かつ速やかに通過する。
ゴルジュがやや後退すると巨岩のゴーロ帯となり、その乗り越しに体力を使う。5m位のCS滝が二つ続く区間は手前のトロを泳いでも取り付くのが難しそうだ。左岸を簡単に巻けるので巻く。