奥秩父/笛吹川東沢釜ノ沢西俣右沢 2008/11/1-2

タイム
11/1 西沢渓谷駐車場8:25~両門の滝13:05~1760m支沢出合BP15:00
11/2 BP7:15~2280m付近登山道10:00~甲武信小屋11:50-12:30~西沢渓谷駐車場15:20

人数:4人

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左:本流下部 右:千畳のナメ
会の企画「名山訪問」で甲武信ヶ岳を訪れた。沢に入るにはそろそろ寒さがきつくなってきたこの時期だが、折角の機会なので有名どころの沢を押さえたかった。笛吹川といえばやはり釜ノ沢だ。記録をいろいろ見る限り、東俣より西俣の方が面白そうなのでこちらにさせてもらった。遡行して振り返ってみれば、意外と行程が長く体力が必要なルートだった。ゴーロや倒木帯が長く退屈さを感じる部分がある反面、特徴的な地形もいくつかあって見所はある。釜のあるナメ滝を思い切って攻めようとするなら紅葉の時期より盛夏の方が楽しめるだろう。

アプローチは前泊となり、新潟から花園IC~雁坂トンネル経由で5時間弱かけて深夜に道の駅「みとみ」に到着、奥の方でテントを張って仮眠した。翌朝7時頃になるとクルマの出入りが頻繁になり、入り口では既に交通整理をやっている。あわてて西沢渓谷の駐車場に移動すると既に満杯状態だった。なんとかクルマをねじ込めるスペースを見つけて駐車する。8時前に高橋さんと合流できた。

紅葉見物の客に混じって渓谷沿いの道を歩く。東沢出合にかかる吊り橋を渡り、観光用の道と別れて河原に降りる。東沢を良く知る高橋さんにしばらくは先導していただく。ホラの貝ゴルジュの入り口で三脚にカメラを構えている男性一人とすれ違った。今回唯一、沢の中で出会った他人だった。

ホラの貝ゴルジュの内部を上から覗くと良く発達したゴルジュで面白そうだ。が、さすがに11月に入るのは無理というもの。左岸の踏み跡をしばらく行き、山の神で入渓した。しばらくは河原が続き平凡だが、河床の石が白く明るい雰囲気なのが良い。ナメ滝をかけて合流する支沢の景観も単調さを忘れさせる。特に東のナメ沢の壮大なスラブ状の滝は感嘆ものだ。
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信州谷を分けて右の釜ノ沢に入るとすぐに魚止の滝が現れる。といっても魚影はここまで見なかった。魚止滝は右岸を簡単に巻ける。ナメ滝を2つほど越すと釜ノ沢の見所の一つ「千畳のナメ」が現れる。両岸の樹の葉はあらかた落ち、ナメ床には陽が良く当たる。千畳という割にはさほど長くはないが綺麗なナメだった。釜のあるナメ滝が2つほど続き、滑りやすく結構いやらしい。
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7m曲り滝は昔は登れたらしいが、今は深い釜があって取り付くのも難しく右岸の巻き道を行く。そして予定より少し遅く両門の滝に着いた。西俣の滝は東俣の滝より傾斜が強い。右岸のガレたルンゼを登り、落ち口方向へ斜めにトラバースして小尾根を乗り越すと滝上に出られた。

西俣は序盤にナメと釜が連続し、部分的にちょっと難しい所がある。水際より水中の沢床の方が滑らないようだ。皆が巻いているナメ滝で調子に乗って遊んでいたら失敗して釜にドボーン。ウェットスーツ着用とはいえこの時期に水に漬かると震えがくる。核心を越えると倒木が目立つ殺伐としたゴーロ歩きになった。どこでもビバークできそうで良さそうな場所を探しながら歩く。いくつか候補はあったが快適というほどの場所は見つからない。1日目のBPと考えていた1760m付近の支沢出合の左岸に丁度良い台地があったのでテントを張った。地表は厚いコケのマットで柔らかく、その割に乾燥して快適な場所だった。周囲には倒木がやたらと多く薪には困らない。豪勢に燃え上がる炎は晩秋の夜には何よりのご馳走だ。濡れた衣類はたちまち乾いていった。高橋さんのエマアットに穴を開けるという不運もついてしまったが。
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2日目は相変わらず倒木の多いゴーロを乗り越えていく。1850m付近から滝場が現れ、左沢を分けてからの長いナメと滝の連続は楽しめる。滝場が終わると倒木が沢を埋め尽くし通れない。左岸を巻き気味に越えると上部の二俣(2050m付近)に着いた。この辺りはやろうと思えばビバークもできるだろう。登山道に近い方の左に入る。詰めまでは滝もなくいつしか水は消える。歩きやすいカラマツ林の源頭を抜け、ミズシから西寄りの登山道(2280m付近)に出た。

甲武信ヶ岳山頂は強風で記念撮影もそこそこに下り、甲武信小屋で休憩する。下山は徳ちゃん新道を使い3時間弱ほどの道のりだった。