2008.08.09~10折立~黒部五郎

1 山域 メンバー
北アルプス 単独

 

gps2008080910
2 行動記録
8月9日
07:10折立(1350)~08:27ピーク(1869.8)~08:41~48ピーク北(1920)~10:19~31太郎平小屋(2330)~12:13神岡新道分岐(2620)~12:24~30北の俣岳(2651.2)~13:00赤木岳付近(2622)~13:49中俣乗越(2450)~15:28黒部五郎の肩(2760)~15:47~16:21黒部五郎(2839.6)~16:42カール壁降口(2760)~18:04黒部五郎小屋(2340)
8月10日
04:11黒部五郎小屋(2340)~05:11尾根を抜ける(2520)~05:31小沢を渡る(2590)~06:05カール壁降口(2760)~06:13黒部五郎の肩(2760)~06:27~07:10黒部五郎(2839.6)~07:31黒部五郎の肩(2760)~08:38中俣乗越(2450)~10:18~28北の俣岳(2651.2)~11:57太郎平小屋(2330)~13:27~34ピーク(1869.8)~14:28折立(1350)

3 報告
2006年8月にも行ったが、展望がないのが心残りだったので、又来た。
8月9日
折立は路駐の列で、8分位下がったところに停める。登山口で、手拭いを水に濡らし頭に巻く。人が多くピーク(1869.8)まで40人位抜く。ここは、小さいアブが多く、1934ピーク北で食事する。展望が開け緩やかな木道となる。北に剱が青く見える。尾根上部では、薬師岳の山肌の質感に圧倒される。太郎平小屋で水を汲み、頭の手拭いにも水を補給する。靴擦れが始まり、バンドエイドを小屋から分けて貰う。ありがとうございます。
この先、緩やかな木道から気持ちよい草原の歩きになる。ここまで晴れていたが、西側から小さい雲が来たと思うと、11:30頃から雨が降り出す。雨は次第に激しくなり、北の俣岳山頂ではどしゃ降り。けれど赤牛岳の方には青空が見え、局地的な雨とわかる。更に雷鳴が薬師岳の方からして、コンタクトレンズ大の扁平な雹が降り出す。この後、雨は弱まり、13:00赤木岳付近で雨具を脱いだ。赤木岳の東面を巻く所は、岩が堆積している。青空が戻り、赤牛、水晶などの稜線を見ながら安心して歩く。中俣乗越からピークを越えた先にも小さなピークがあり、鞍部が二つある感覚だ。この先、黒部五郎の肩までの登りは、飯豊の御前坂を思い出す。ここまで青空だったが、登るうち、黒部五郎に西からガスが掛かる。黒部五郎の肩に上がりカールをのぞき込むと、黒部源流の生い立ちがビオトープのように見え、歓声を上げる。黒部五郎まで上がるが、所々ガスに覆われている。
実は、ここで大展望が見れたら、ヘッデン+1時間で太郎平まで戻るつもりだった。でも中途半端な見え方なので、会にメールを打ち、17時まで粘ることにした。ガスの切れ間を見て目視で黒部五郎小屋にコンパスを合わせた。何か大気が、熱を持っている。ガスってるのに、おかしな感じだった。ガスも新たな物が湧いてきたので、16:21に降りはじめた。
この先、カール壁からジグザグに降り、小沢を渡り、カールをしばらく歩き、尾根を二つ越えて、黒部五郎小屋に至る訳だが、その一つ目の尾根の途中で再び雨が降り始めた。しばらくは雲の平の上に稲光が見えたが、すぐに黒部五郎の東尾根に雷が落ち始めた。ドンガドンガ10発位落ちただろうか。樹林帯に入っていたのが、幸いしたが、近くに落ちた物もあった。その後、雷鳴は三俣蓮華の方に遠ざかっていった。そして今度は砲弾型の小さな雹が降ってきた。その後、雨が大降りになった。今日の靴は沢用の下山靴、体重増を打ち消そうと、軽い物を選んだが、防水性は全くなく、裏目に出てびしょびしょになった。でもこのとき自分は、太郎平にバックを掛けなくて、本当に良かったと、ツイてると思いながら、歩いていた。
そういうわけで、ドブネズミのようになって小屋に入った。それで好奇の視線を浴びながら濡れ物を始末していると、田中さんという人が何かと面倒を見てくれた。ご飯の後でお礼を言うと、明日高天原に入るのだと言った。自分が折立に戻る、月曜休みだけどというと、周回しないのかと驚いたようだった。
それで、その夜はなかなか寝付けなかった。というのは、周回しようという考えに取り付かれたから。
①黒部五郎の展望が見たいので、予定通り往路を戻る。
②黒部五郎に上がり、三俣蓮華から雲の平を通り、折立に戻る。
③黒部五郎に上がらず、全速で、三俣蓮華から雲の平を通り、折立に戻る。
このうち②は、自分の力では無理なので諦めた。③と①で迷ったが、③も全力プランなので、今日のように、大気の状態が不安定な可能性が高いことを考慮して諦めた。そしてぐっすり寝た。
8月10日
周りの早出の人に押し出されるように小屋を出る。尾根を抜ける手前で明るくなる。朝日は鷲羽とワリモの間に出た。小沢を渡るとき手拭いを濡らし頭に巻く。カール壁に取り付くと、槍と穂高が少しずつ出てくる。06:27~07:10黒部五郎。時計回りに、北の俣岳,太郎平,鍬崎山,薬師岳,剱,室堂平,立山,五竜,鹿島槍,赤牛,水晶,ワリモ,鷲羽,黒部源流,三俣蓮華,双六,弓折,笠,乗鞍,御岳などが雲の平とカールを抱き抱えるように、広がっていた。それらの山々を興奮しながら山座同定するのは、楽しかった。一つ感じたのは、黒部五郎は、高い山でないと言うことだ。いや高い山だが、秩父における両神山のように、絶対的な高さがないため、景観に、周りの山に抱かれるような滋味が加わるのだと思う。それから、槍穂高と黒部五郎は異質な山塊だと感じた。景観を見ていて三俣蓮華を境にこっちと向こうと、羽衣のような柔らかさと、黒い鏃のような峻烈さを感じた。槍穂高の見え方は、双六山頂からのそれとよく似ていた。鹿島槍を目を細めて見つめ、白山が見えないのを惜しんだ。黒部五郎の肩まで降りると槍穂高が脇に退き、鷲羽、三俣蓮華と黒部源流を中心とした、落ち着きのある景観となった。別れを惜しみ北を向くと、中俣乗越から北の俣岳の山々が北股から見た門内のようにどっしりと見えた。北の俣岳の北尾根が北東に流れている所も門内に似ていた。中俣乗越への下りは、北側の踏跡を使った。赤木岳、北の俣と戻る内、行きは気づかなかったが、気持ちよい草原がビロードのように広がり、赤木平が夢のように見えた。大きな北の俣岳のピークを越え、ハクサンイチゲとチングルマの広大なお花畑の中を太郎平に降りた。小屋に挨拶して振り返ると黒部源流の山々はガスに覆われはじめていた。それを一瞥して暑い道を下りはじめた。   20080810桃パパ

4.感想
大切にしたい山です。景観に滋味があります。