1. 山域・メンバー
山域・山名 | 二王子岳 |
ルート | 南俣~神社~山頂往復 |
地図 | 上赤谷(1/25000) |
山行内容 | 山スキー |
メンバー | (L)渡辺 (峡彩山岳会) |
2. 行動記録
記録 | 渡辺 | |
日程 | 2008/2/17 | |
タイム | 2/17 | 南俣7:05~二王子神7:55~独標10:00~山頂小屋11:50~12:50~二王子神社14:05~南俣14:35 |
報告
幾つか候補が有ったのだが何処も大雪の模様、単独ゆえ初見のコースは諦めて、経験のある二王子か守門かで迷った。アメダスを見ると入広瀬の24時間降雪が40センチを越えている、これで守門は却下、今週は二王子岳と決めた。天気図はバッチリ冬型であり、油こぼしまで行って2~3本も滑れれば御の字と考え出かけたが、結果は如何に?
独標まで
新発田のすき屋に寄り、南俣に向かう。車は2台、除雪が広くなっており、先々週より駐車スペースが広い。出発準備をしていた3人パーティーと話をしていると、登場人物が知り合いのそのまた知り合いくらいの輪の中にみんな収まるようである。確かにこの時期に登る人は限られているだろうから、きっとそんな物だと、この世界も狭いと思った。
林道は1箇所だけ水流で雪が切れていた。シールを濡らすとゲタの原因になるので、面倒だけどここだけはスキーを外して渡る。毎回最後に左腿付け根が痛くなるので、オーバーペースにならぬよう、足を持上げずに送るよう、歩くように心掛けた。
林道の途中から尾根を越すと旧登拝路、ここから橋までは緩い下りとなる。この道は地形の弱点を実に巧みに突いており、上手いところに道を付けるなぁと毎回感心する。行きは一休みが出来る、帰りはここを登れば残りは滑るだけ、と云う、短いながらも私がコース全体で最も好きな区間でもある。神社で一服、炊事場は水が出ていなかった。
杉林を過ぎ、登りにかかると先行者、スキー1人+わかん3人であった。ラッセルの御礼を言い、先頭に出る。雪は膝下、斜面で膝であるが、下が締まっており積雪の深さよりも歩き易い。早めかと思ったが右手の尾根に上がり、一王子を目指すと風も出てきて雪も激しくなってきた、気温が低いのでこの辺を滑るだけでも楽しめるだろう、でも独標までは行っておくか、などとこの時は考えていた。
先頭を交替していただき、一服して後を付いた。コース取りが先々週と微妙に違い絶妙、藪が少ないルートでありスキーの私は帰り道が大いに助かる。なかなか追い付けない事と合い余って、先頭は強者パーティーと想像した。前回は藪に入ってしまいロスをした独標手前のピークのラッセルも、難なくクリヤして1つ借りを返した気分になり嬉しい。ただ、この辺ではもう樹氷で雪面も若干固い、前夜まで風が有った事は明らかであり、今日は頂上には届かないと思っていた。ただ、今は風が無いのが不思議であった。
独標~油こぼし
独標は積雪4.1m、2週前より60センチ積もった。風は弱いので前進を続け、右にカーブして1190mへの登りになる。やっと開放斜面、ここならやめても2~3本は滑りを楽しめる。 ここを登り上げたが、まだ風は弱い。スキーの人はここまでの様子だが、歩きの3人は先々週に私が頂上に達した事を知っていて、今日はどこまで?と促されてしまう。
頂上までは1.5時間位であろうが殆ど無風、ここで止める理由は無い。油こぼしを滑れればより満足だし、山屋の端くれなので少しでも高みを目指し、ルート旗を出して前進を続けた。
私は2週前の記憶が残っていて殆ど旗を打たないのだが、3人パーティーはビシバシ打って行く。自分で打とうとすると、「これを使えばいい、スキーは早いから自分たちが回収する」と言ってくれる程で、有り難くお世話になり、自分で打つ旗は要所だけとした。ルートファインディングを4人で出来た甲斐もあって、2週前と比較してフラットに油こぼしに到着できた。
油こぼし~山頂
一瞬、油こぼし全体が見えたが、視界は50m。まだフードが要らないほどであるが、さすがに上は風が有るだろうとゴーグルを出す。頂上までは往復2時間、天気は回復もしないだろうが急速に悪化もしないだろう。充分にアタックできると考えた。この間に3人は先行して、私はタバコを吸ったのであるが、帰りに油こぼしを滑ろうと思ったのにも関わらずピットを掘り弱層をチェックしなかったのは反省点である。どんな場合でも手抜きをしてはいけないのであった。
油こぼしの上で下降点に旗を打ち3人に追い付く。クラストでシュカブラも出てきて厳冬期の山の模様となる。視界30~50m程で、左にカーブして主稜になると風速が段々と強まり目出帽を降ろす。3人のチームワークは見事で、主稜に出る所をトラバース気味に進むあたりなどは自分なら高み通しで行ってしまい、地形を熟知していないと出来ない事だと感じた。
ここまで竹製のポールが2本、倒れて・破損しているのを見る。風の所為なのか、気温でやられるのかは判らない。奥の院の登りに差し掛かる。もう風上には顔を向けられず、ゴーグルを着ける。だが2週前の記憶は鮮明で、ルートの不安はない。クラストで帰りは全く滑れないだろうが、厳冬期の山の風は心地よい。3人は、トップ・旗打ち・コンパスと相変わらず見事なチームワーク、私も前方に専念させていただいて、やがて二王子小屋の扉が視界に飛び込んだ。
山頂~南俣
ドアの除雪、窓の明かり撮り、4人だと早い。行動中は寒くは無いが、小屋に入ると震えだすのは毎度の事である。お互いの健闘を称え、今日の登頂を祝う。初めて会った方々なのに、話が尽きない。所属こそ違うが同じ山仲間の、それも実力者の話を聞けるのは嬉しかった。ああ、今晩ここで泊れたらと思うが時間切れ、帰りの準備にかかる。
明るいが風は変わらずで視界は20m、ルート旗に導かれて来た道を戻る。油こぼしでバックルを締め直し斜面を下った。パウダーではあるが視界が無く傾斜が全く判らない、最後に大転倒。勿体無かったが、それもまた楽しい。登り返しで離れるが直ぐに追い付く、やはりスキーは早い(実は待っていてくれたのかも知れません)。ルート旗のお礼を言い1190mで、3人と分かれる。トレースも残り、もう安全地帯であった。
シュプールが3本、我々以外はここで引き返した様子、ここからはいよいよ二王子核心部の藪スキーだ。雪量が増えたせいなのか、気温が低い為なのか、はたまた腕が上がったのか、前回より調子が良い。登り返しが難儀ではなかったので、雪質による所が大きかったのではなかったかと思うが、転倒回数が前回の半分以下で滑って来れた。
独標からは右向き気味のシュプールを追う。なるほど、こちらだと藪が少ない、ここにも熟達者がいる者だと感心する。一王子でも雪質は落ちず、楽しいスキーであった。今日は転びが前回の半分、雪の状態が良く、悪天候も捨てた物ではないと思った。
神社を過ぎて最後の林道、まだ日中なので雪面が柔らかく、あの腿にくるガタガタがない。今日はこれが一番有り難かった。悪天候が予想された中、3人パーティーのおかげもあり頂上まで達して、今日も満足できました。