月 日:2004年1月1日(木)~1月3日(土)
山 名:飯豊連峰 木八差岳 東俣林道から往復
メンバー:L.伊藤 佐藤 南山 渡辺 内山
行 程:1月1日 新潟→大石ダム→東俣林道→カモス峰→千本峰(泊)
2日 千本峰→前木八差岳→木八差岳→前木八差岳→千本峰(泊)
3日 千本峰→カモス峰→東俣林道→大石ダム→新潟
報告(内山)
1月1日
1日の新潟の天気予報は曇り。6:00メンバー5人が南山さん宅に集合した時には、空に星が瞬いていた。1台の車で関川に向うが、道路脇の田んぼに雪が全然無い。道の駅でD隊と対面。井出さん、込山さん、谷中さんというそうそうたるメンバーが私達のサポートをして下さる。高橋賢吉さん宅へ挨拶後、大石ダムへ車を進める。東俣林道の雪の状態が大きなポイントで、今回は林道歩き用に皆スキーを用意してきた。が、林道のゲートの先にほとんど雪が無い。林道途中で雪崩回避のエスケープルートを確認する。再び車を進めていくとうっすら雪は積もり始め、車のわだちも無くなったが、南山さんのデリカは止まる所を知らずぐんぐん進んでいく。「どこでスキー使うの?」8:00なんと初日の泊り場予定の林道終点に来てしまった。1日分の短縮。サポート隊は林道のサポートのつもりが山に登れて嬉しそう。晴れて初日の出も見る。8:30、1号橋出発。積雪は10センチ。枯葉の上の少量の雪が足を滑らせる。1号橋と2号橋の間のへつりを嫌ってピークまで出てから9:20、2号橋に降りた。ここから一気に登り。体が慣れずヨロヨロ。2回の休憩を入れ、11:30カモス峰。積雪1メートル弱。サポート隊の皆さんは最後50メートル空身になって行く。ずっと先頭を切ってくれたがここでお別れ。「あれほど豪華な支援は無い」荷上げ品回収するも降雪を予想して木の上3メートル以上の所にくくり付けていたので下ろすのに上げるのと同じ位手間がかかった。ワカンを着け、大休止。12:15カモス峰出発。半クラスト状態。権内の峰の手前が垂直な雪の壁になっていて苦労する。下りが心配。13:00権内の峰。下方の尾根にカモシカ2頭発見。日向ぼっこか動かない。千本峰までの尾根の雪庇を確認。2~3メートルか。14:30千本峰。木々の枝には氷がついている。周辺偵察後、ここで泊りとする。天気が良いのでのんびり設営。フライはかけない。16時に入室完了。定時交信は菊谷さんにつながり、A隊も大分進んだ様子。食担は渡辺さんで正月らしい豪華なものだった。暗くなってから風が出始めテントがバタバタいう。強風波浪注意報が出ている。22:00「地面が揺れた感じがする」人もいたが、ぐっすり眠った。
1月2日
5:30起床。外は曇り。新たな積雪20センチ。前木八差岳は見えるか見えないか。定時交信で小山さんに今日山頂アタックの旨伝える。7:40アタック装備で出発。風有り、沈み込み少し。役割分担は伊藤リーダーが方角指示、渡辺さんトップ、南山さん確保体勢、佐藤さん、内山でルート旗打ち。出発後1時間、視界は30メートル、風やや強し、条件が悪くなる前にロープを準備しておく。9:40前木八差岳。鞍部通過後、渡辺さんがゴムボールに紐を付けた新兵器を投げながら雪庇注意点を渡る。やや小高いピークに立つとそこから360度まっ平らな世界でびっくり。「さあどっちに行く?」長者平の池塘がある所だ。90度近く方向を変える場所、ルート旗を2本門構えにする。傾斜は緩く、どこへ行っても迷いそうだ。11:05山頂。視界20メートル。夏ならすぐ下に見える小屋が全然見えない。白鳥の羽のようなシュカブラが無数に有り、その間を縫って下っていくと小屋の正面に出た。扉の上下左右と入り口の吹き溜まりの雪を除くこと数分、11:30に木八差小屋に入れた。渡辺さんが外から窓の雪や氷を落としてくれたので中が明るくなった。小屋からは菊谷さんに無線が通じた。乾杯後、お正月なのでお汁粉をいただく。うまーい!行動中はちっとも寒くなかったが小屋の中が一番寒かった。13:00下山開始。なんと気温は0℃。登りは横風でたまに追い風も吹いたが、下山はもろ正面から地吹雪を受けて、雪の粒が目に入って痛く、目が開けていられなかった。ルート旗より雪庇側を歩かないように言われたのに、飛ばした赤布を追いかけて飛び出し、しかられた。怖い所は全く無く、気持ちよい傾斜の所は走って下りた。さっき立てたルート旗にもうエビの尻尾が付いていたのには驚いた。13:45前木八差岳。乾燥した細かい雪が降ってくる。しばし雪の結晶の観察。リーダーは大地に大の字。14:30千本峰。テントの通気穴から雪が吹き込み、中が雪だらけ。夜は登頂祝で盛り上がる。皆いわく、「今日の風はそよ風だった。」22:00就寝。
1月3日
5:00起床。1日早く下山出来て嬉しい。定時交信でA隊は吹雪で様子見とのこと。テント撤収後、風の強い中7:30出発。出発後3分で先頭を行く渡辺さんが雪庇から落ちた。ストック1本折れただけで済んで良かったが本人はショックの模様。昨日より今日の方が核心部か。登りより雪庇の張り出しが進んだようで、樹林の中をヤブ漕ぎし、下山する。登りで付けた赤布のルートは悪くなっていた。急な個所がいくつか有り、ストックよりピッケルが有効(特に内山)。9:00権内の峰。視界が良くなる。9:50カモス峰。ここで荷上げ品の残りの回収と休憩。やっと風が収まった。10:20カモス峰出発。明らかに登りの時より雪が少ない。地面の露出もある。昨日気温が高く雨だったようだ。程なくワカンを外す。あとは急な個所を滑る木の根に注意して歩く。冬山とは思えない。2号橋を過ぎてから大雨に降られるが、先が見えているので苦にならず。12:20、1号橋着。出迎えに松原さんと川口さんが車で乗り入れていた。東俣林道に雪は無しとのこと。雨がざんざん降りの中タープの下でビールと熱いうどんをご馳走になった。13:40車で出発。高橋賢吉さん宅に下山報告後帰路につく。
感 想
地球の温暖化について考えさせられた山行だった。思いがけず冬の木八差岳登頂最短時間を記録してしまった。冬山は天気に大きく左右されるが、「運も実力のうち」だそうで素直に登頂を喜ぶことにしよう。