日 程 平成14年2月10日(日)~2月11日(月)
山 名 二王子岳(1421メートル)
メンバー L丸山 SL太子 戸貝 内山 坂井厚 本望 松原 阿達 十三子 菊谷 伊藤(M) 矢尾板 亮 (日帰り)南山克巳
報告
峡彩山岳会恒例の冬山教室は二王子岳で行われた。女性は三人、男性は八人で参加者は計十一人となる。年齢構成は73歳から23歳とまるで三世代の家族構成と峡彩らしい山行となった。
午前8時に南股集落にそれぞれの車に便乗して集合、早々支度を整えているうちに共同装備は各自のザックに入り73歳の坂井さんと本望62歳は何も入れる物もなくなった。丸山リーダーの訓示とストレッチ運動で体をほぐして8時40分出発となる。積雪は例年よりも少なく坪足で良さそうだ。雨具の下は履いて上の雨具は着ないでの出発。
天候は高曇りで時折青空も見える。歩き始めて約15分頃、雪で足が取られるので小休止もかねてワカンを履く。昔ながらの一本締めのヒモは坂井厚さんと本望の二人だけ、他はバンド式で新旧入り混じっての光景だ。途中地図上で現在位置をお互いに確認しながら10時50分快い汗が出る頃、二王子神社に着く。一息入れて出発。積雪は杉林の中は約1mはあろうか、登るにつれ積雪も多くなり御子石は右下に見て尾根を進み一王子の小屋は寄らないでそのまま前進。ブナ林の雪面にはウサギの足跡が交互に入り乱れる。天候は曇りで雪も降ることも無く風は微風だ。交替でラッセルを繰り返しながら緩斜面あり急斜面あり、先頭は何れも労力を強いられるが天候の良いのが慰めとなる。丸山リーダーの計らいで坂井厚さん本望の二人は後方よりトレースを利用してのんびりと歩を進める。独標に着けば既に竪穴雪洞は構築の最中で時間は午後2時20分だ。休む間もなく早々に竪穴雪洞の作業に参加する。天候は曇りとなり時折小雪も降る中に立ち木やピッケルなどに細ヒモを利用してタープを張れば11人全員が入れる今夜の大ホールが完成、すぐ脇に小さな竪穴雪洞も同時に完成する。天気はいつの間にやら青空となり振り仰ぐ油コボシの白い峰が美しい。カメラは茜色に光り輝く峰の連写と眼下の新発田市街を撮りまくる。時間は4時10分だ。独標のポールにカメラを縛り付け11人全員で記念撮影して、それぞれに出来上がった雪洞にザックを横抱きに抱えて入りこむ。5時銀マットに全員座り込めば待ちどおしい乾杯で一息着く。各々持ち寄りのつまみが並べば楽しい談笑の花が咲く。無線で7時の定時交信を終え丸山リーダーより明日の起床時間などの説明。やがて宴たけなわとなる頃、天井のタープより雪の重みでたるみ水滴が滴り落ちてきた。いつの間にやら外は雪降りのようだ。それも相当の積雪のようだ。外に出た坂井さんによると気温はマイナス11度だ。それに比べると雪洞内は寒さは全く感じられない。9時、既に決められた消灯時間となる。女性3人は別室の雪洞で泊まるため涙のお別れとなる。
2月11日(月)建国記念の日
6時、深い眠りより目覚める。コンロに火を点火すれば冷えきった雪洞内は暖かくなる。昨夜積もった天井のタープより雪が解けて水滴が滴り落ちるがさして気にすることも無い。7時、小山氏と定時交信。朝食後は慌しくパッキングを済ませ雪洞を出れば天井のタープは新雪に覆われて全く見えず積雪は30cmはあろうか。昨日と全く様子は変り視界は悪く、小雪が舞っている。8時すぎ吹雪模様の中を山頂を目指して出発、交互にラッセルを体験しながら進む。油コボシの急斜面は積雪多く足元は崩れやすく難儀をしいられる。途中、前日頂上小屋に泊まった3人とすれ違う。互いに健闘を称え合う。標高1300mを過ぎれば風も強くなりフードを被る。寒気厳しくオーバー手袋でストックを持つ手も寒さで感覚が薄れてくる。視界は5メートル先の雪の吹きだまりが雪庇などあり得ない場所なのだが現実に視界が悪いと不安で前進できない。このような事態を想定して当初よりの計画どおりの研修を行う。視界がきかない中、トップはザイルをつなぎサル回しのごとく確保されながら、ストックで前方の雪庇を叩き確認したり、細ヒモにカラビナを付け前方に投げ付け落ちて姿が見えなければ雪庇がある。雪面に落ちて肉眼で確認できれば大丈夫などを各自現場で研修を体験する。標高は1350メートルまで前進。相変わらず視界はきかない5~6メートルと悪い。各自、現場は三王子と確認する。持参の赤布付きの数十本のポールは残り少なくなった。丸山リーダーより今回は登頂が目的で無いので山頂手前だがここより引き返し下山と決定。時間は11時10分。全員満ち足りた気分で帰路を急ぐ。油コボシを下ればウソのように風も無くなる。12時20分、泊まり場の雪洞に着く。ゆっくりとお湯を沸かしてお茶を楽しむ。天気はウソのように晴れ上がり青空も見え、眼下の新発田市の町並みがよく見える。ほどなく南山会員がビール2ケース持参で駆けつけてくれた。もちろん全員の歓迎を受けたことは言うまでもない。歓談後パッキングを済ませ思いでの雪洞を後にする。今回の費用は戸貝食料担当より一人700円で車代は各自と発表あり。
記 本望