(2001.9.22~24)
第27回 奈良&峡彩交歓登山概要
実行委員総リーダー 楡井・サブリーダー成海・戸貝・本間(F)・小山・佐藤(Y)
奈良山岳会窓口:伊藤(梅屋)
1日目参加者: 29名
2日目参加者: 36名 (のべ65名)
打上げ参加者: 36名
やまご泊まり: 31名
奈良山岳会参加者:福本・西田・高平・内炭・中久保・清岡・吉田・池田・伊藤・中迫
峡彩山岳会参加者:阿達 井出 伊藤(M) 内山 大江 大科 川口 菊谷 小山 坂井 佐藤(Y) 高橋(S) 太子 玉木 戸貝 成海 楡井 本間(F) 本望 町屋 松原 谷中 与口 渡辺(K) 都丸 小野塚(やまご御主人)
はじめに
30数年に及ぶ長い歴史を持つ奈良山岳会との交歓登山にまた新しいページを一枚加えることができました。一昨年は新潟で開催する番でしたが、大型で強い台風が接近し急遽中止、昨年は当会の夏山合宿での事故の直後のため無理をお願いして更に今年に延期させていただきましたので、「3度目の正直」で今年は何としても充実した内容で奈良山岳会の方々をお迎えしたいという思いが一層強くありました。
交歓登山の山域は、一昨年からの計画と同じく、谷川岳と巻機山の岩、沢、尾根ルートを組み合わせることにしました。昨年までの計画はかなり盛りだくさんでしたので、真夜中に長距離を運転して参加する奈良山岳会の方々の負担等も考慮して、日程を縮め全体に多少余裕を持たせることにしました。
この山域で交歓登山を行うという計画は、楡井副会長の大変熱心な提案によるもので、特に谷川岳での岩ルートを含めたことは、今までの長い交歓登山の歴史の中で初めてのことかもしれません。奈良山岳会は、沢登りばかりでなく岩登りも盛んな会ですので、このコース設定のメニューで、会の中の幅広い方々に参加していただけたのではないかと考えております。
交歓登山当日の天候は、これ以上は望めないほどの秋晴れで、お天道様も大変粋な演出をしてくれたと感謝しております。山域や打ち上げの宴会の会場が新潟から遠方であったにも拘わらず、当会の参加者も20数名を数えました。都合で今回の山行に参加できなかった会員も、様々な形で支援をしてくれました。また、現地では、山に登らず、本部詰めで裏方に徹してくれた会員など、いつものことながら峡彩山岳会のチームワークの良さが十分発揮でき大変感謝しております。
地理的に遠く離れた二つの山岳会が、このように長い間、綿々と交歓を続けてこられたのは、両会の先達の方々の並々ならぬ熱意があったればこそであり、山岳会としての活動の舞台も歴史も全く違う山岳会の会員同士がこの交歓登山を通じて相互に貴重なものを掴み取ってきたからであろうと思います。迎える側として、自分達の活動の舞台の素晴らしさを改めて認識することも数多くありました。
長い間に、お互いの顔ぶれもずいぶん変わってきました。3年ぶりに開催できたこの度の交歓登山でお互いに初めて顔を合わせた人達も大勢おり、また新しい絆が生まれました。特に、両会の若い人達がこの固い絆を保ちながら、歴史あるこの交歓登山をお互いの会の活力の元の一つとしていつまでも繋げていってほしいと切に願っております。
会長 谷 中 隆 明
谷川岳 一ノ倉南稜 登攀
太子
日程 平成13年9月22日(土)
ルート テールリッジ~南稜~六ルンゼ下降
天侯 晴れ 少し寒い
峡彩 CL「lp太子SLlp本間(F)」奈良 「2p内炭2p中久保」「3p福本3p高平」
秋も近づき連休の土曜日ともなればクライマーが多いと予想されるので、とにかく一刻も早く南稜テラスまで行きたかった。一ノ倉駐車場には多くの人が準備に余念が無い。福本会長、内炭さんとは前回の台高山系・東の川遡行で顔見知りだ。初めての谷川岳なのに山行内容、ルート説明もせず申し訳ないと思いつつ出発する。40mの残置ロープで沢床へ下降し2mの沢のへつりがある。高卒さんが少しのバランスのずれから膝まで濡らしてしまった。「冷たそうだねネ」と笑いのヤジが飛ぶ。すでにテールリッジには数パーティーの列が見える。テールリッジは足元に細心の注意を使いながら登る。本間さんが衝立岩正面壁、烏幅子沢奥壁などの説明をしてくれる。ホントに詳しい。奈良の方はシャッターをしきりに押している。10名程追い越し南稜テラスに着けば1パーティーが登りかけている。待ち時間無く登れそうだ・・・と思いきや、リードしてるザイルが岩に挟まり前進出来なく苦労している。待ちながら食べ物を口にする。じっとしていると寒く1枚着る。福本会長のハーネスに使い慣れたナッツが3~4ヶぶら下がっていて熟練を感じてしまう。高平さん中久保さんは本チャンに慣れてないというので、登攀の注意点など確認してもらった。
先行パーティーのセカンドが登ると同時にまず、本間さんからリードしてもらう。追い越すのを半心考えてか右ルートの難しいフェースを行く、しかし先行パーティーは6メートルのチムニーで行きづまっていて、やむなく1/2ピッチでビレイを取る。私のすぐ後から内炭さんがりードで登り出し、本当のルートは左側ですと伝える。やはり私達6名が追い越すのは無理で一ノ倉岩壁をゆっくり展望する。6メートルのチムニーはブリッジで広めに攀じ上がりテラスにビレイを取る。中久保さん、福本さん、高平さんも難なくクリアーする。笹やぶをコンティニュアスで行き、全員揃って休みながら「下隆時、あの岩下は15メートルの空中懸垂ですよ」と説明する。馬の背リッジは絶好の接影場所で各自パチパチ撮り合っている。最終の20メートル登80度のフェースは私がリードしたが、岩の割れ目からしずくがたるように濡れていてイヤらしい。一手にカがはいる。一応全てランニングビレイは取り何とか登りきる。
岩陰にビレイポイントがある。セカンドで登って来る本間さんがヌンチャクを掴もうとしているので「ダメダメ!掴んじゃ」とゲキを飛ばす。皆苦戦しながらも終了点に着き、少し食べ物を口にする。時間が気になり前もって本間さんが準備してくれたザイルで下降する。3ピッチ目の下降は15メートルの空中懸垂となる所で、写真を撮るのに「ピース」とポーズをとってもらいたいが、まさかそうはいかない。(中久保さんは3回転しました)皆も空中では下に来るにつれ快感に変わっていたようです。
無線で下山時間を運絡するが少しずつ遅れている。南稜テラス下に着きトラバースしながら中央稜基部で全員記念写真を撮ってもらう。テールリッジでも危険な場所はザイルを出し安全に気を配る。終わりも近くなり最後の川原に下りる所で、今回の交歓登山の世話役である楡井さんが迎えに来ていてくれた。有り難うございます。
駐車場に着けば暗くなりはじめ6時を少し過ぎていた。今日一日本当に楽しかった。
奈良山岳会の皆さん〔魔の一ノ倉〕いかがだったでしょうか。
谷川岳一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁・南陵
高平 中久保
9月22日(土)
メンバー: <峡彩山岳会> 太子(リーダ)、本間(F)
<奈良山岳会> 福本、内炭、中久保、高平
一ノ倉沢出合(7:00)-カンテ状の岩場(7:20)-鎖のある岩場45m下降(7:30)-テールリッジ末端のスラブ(7:50)-テールリッジ上部のスラブ(8:20)-中央陵基部(8:30)-南陵テラス(9:00~10:00)-終了点(12:50)-南陵テラス-(15:00?)-テールリッジ上部のスラブ(16:00)-鎖のある岩場 (17:00)-一ノ倉沢出合(18:00)
土合でみんなと別れ、
高:『絶対に戻ってくる!』 中:『……(まだ半分寝ぼけている)』と、おのおのそれぞれの思いを胸に車で一ノ倉沢出合に向かう。
ちらほらと紅葉しはじめた木々を眺めながら車に揺られていると、突然大きな岩壁が目に飛び込んできた。本チャン経験ほとんど無しの高平、中久保は…そのスケールのあまりのデカさにしばらくお口開けっ放し、それから狂喜乱舞の大騒ぎ!一ノ倉沢出合で車から降りると眼前に一ノ倉沢の岩壁が上部に雲を従えてそびえていた。
朝日の中にたたずむ一ノ倉沢は、それはもう美しく見るだけで来てよかったと感じさせる何かをもっており、”魔の山”といったおどろおどろしさは微塵も感じられない。それでいて魂が吸い寄せられるような不思議な感覚が感じられた。
太子さんの「順番待ちを少しでも短くするため早々に出発しましょう。」という言葉に促され、そそくさと支度をし出発。しばらくは沢沿いに歩く。途中、滝横のカンテ状の岩場(II)などを乗り越え、沢登り気分でルンルンである。
他にも多数のパーティが登っており、少しでも順番待ちを少なくしようと先を急ぐ。前夜の雨のせい?でドロドロの樹林帯をぬけると、45mの岩壁上部につく。
(この時は、『うぉっ!』と思ったが、今考えると樹林帯はいわゆる高巻をしていたわけで、お約束といえばお約束だったかもしれない。けど…高巻いたはずの『ヒョングリの滝』を見た覚えが無いのは物理的に見えないところにあったのか、それとも中久保に余裕が無かったからなのか…?)フィックスされたロープを使って怖い思いをしながら慎重に沢際まで下降。
すると次は沢を渡る前に2mのヘツリだ。前を行く中久保は「手がない!」と言いながら、人の助けを借りつつスット抜けていった。お次は高平の番。取りついてみると、なるほどいやらしい。気が少し急いており、手が甘かったが足だけで何とかなるだろうと進んだのが大間違い!足がツルッと滑り、チャッポンと川にはまってしまった。
高:『さすが魔の山?タダでは登らしてくれない。』
皆:『うっ、寒そう…私は明日からでいいわ。』
…こんなことで魔の山あつかいされたら、谷川岳もたまったものではないだろう。(この一部始終をみていた太子さんは、さぞかし先を思いやられたことでしょう。すいませんでした。)
川を渡るとテールリッジの始まりだ。これがまたまたいやらしい!気分は御在所前尾根フリーソロといった感じだ。
先ほどのこともあり、気を引き締め慎重に登っていく。
テールリッジを登ってゆくと、小さく見えていた衝立岩が大きさを増し目の前に正に巨大な衝立として立ちはだかる。その基部をトラバースし南陵テラスへ。南陵テラスからは、出発地点の駐車場まで見渡せ眺めがよい。
『行こか戻ろか南稜テラス~』という歌があるが、怖い思いをしてやっとここまでたどり着いておきながら、実際に引き返すという選択肢はありえるのだろうか…
お楽しみはこれからだというのに!
途中、団体を何組か抜くことができたので我々のパーティは3番手となった。2番手のパーティは1ピッチ目の核心部チムニーでてこずっており、身につまされ、不安を感じながら靴をはきかえ、登る準備をする。
(太子、本間)ペア、(内炭、中久保)ペア、(福本、高平)ペアの順で登る。リードは基本的に太子さん、内炭、福本。
1P:チムニーまでは、たどりつけたが、チムニーの1足目がピカピカ輝いており、ツルッと滑りそうでいやらしい。が、何とか登る。
2P:フェースをのぼる。浮き石に注意すれば特に問題はない。
3P:高平リード??
おっ!と思われると思うが、何のことはない、草つきの道を歩いただけである。
4P:先行していた内炭の声が岩に阻まれて中久保に聞こえず、状況を把握するため先に福本が登り始める。確認後、高平、中久保が同時に登る。この上がテラス状になっており、とても眺望がよい。
5P:テラスから馬の背リッジまでのつなぎといった感じのピッチ。少し雲行きが怪しくなり、ヌルッと濡れた岩が出てくる。
6P:馬の背リッジ。リッジを乗り越えるとき、高度感で足がすくんだが、なんとか登る。
7P:核心(V-)のフェース。上部が濡れていていやらしいが高平は何とかフリーで登る。中久保は…A0しちゃいました(TT)目の前にぶら下がってるとつい…。
これにて終了。
懸垂下降で南陵テラスまで5ピッチ下降してゆく。
1ピッチ目、支点下の足場にある50cm角ぐらいの岩が浮いており懸垂経験の少ない2人にとってはかなり怖かった。
3ピッチ目、初の空中懸垂!!緊張しつつくるくる回りながら降りる。カメラを向けられて笑顔が戻る。
5ピッチ目では、懸垂下降にもなれはじめ、少し余裕が出てきた。
南陵テラスからは1P懸垂し、その後クライムダウン。(あれはクライムダウンといってよいのだろうか?)慣れておらず、かなり怖そうだったので中央陵基部まで、高平、中久保は太子さんにコンテで降りてもらう。本当に迷惑かけっぱなしである。テールリッジあたりになると慣れてきて(靴を信用できるようになってきて?)コンテを解除した状態で降りる。
鎖のある岩場を登ったところで靴をはきかえ、カンテ状の岩場まで下って行くと楡井さんが迎えに来て下さっていた。辺りは薄闇に包まれつつあり、峡彩の皆様に御心配をおかけしたのだと思う。そこから駐車場まで15分ぐらいの道のりを慎重に下り、
高:『なにはともあれ、魔の山より生還した。ヤッター!!!』
中:『…(河原に下りたとたん、緊張の糸が切れて涙がジワリ…生きて帰れてよかったぁ)』
内炭さん、おとうちゃん、ひよっこを連れてのリード、お疲れ様でした。
今回遅くなった理由として、ツルベができなかったこと、
懸垂や、下降の技術が不十分であったことがあげられると思う。要するに修行不足であった。
2年後には楽しんでいただける様、今後修行をつまなくては!
最後に峡彩の皆様、特に太子さん、本間さん、楡井さん
本当に有難うございました。
ヒツゴー沢
池田
9/21(金)8時に天理集合し8時30分頃出発一路群馬県土合へ約600Km さすがに遠い道のりで何回も休憩を入れながら眠い目をこすりながら、現地到着は9/22(土)4時30分頃。早速少しの仮眠を取り5時30分の峡彩の方との待つことに(駅付近でテント泊)、さすがに群馬の朝は前日の雨のせいか寒く暖を取ろうと思っても車の燃料が残り少なく我慢!我慢!集合時刻には新潟・奈良の両山岳会の自己紹介が終わり3日間の無事を誓い各グループに別れ一路目指すヒツゴー沢へ。先週沢の初体験で3級の東の川に行き、今日は2級で簡単と安心しながら6時30分頃から沢に入る。初めは川沿いを歩き、これは以外と行けるかな?と思いつつ歩みを進め、いざ本流に突入。楡井さんが休憩の時「ここから少し濡れるのでカッパを着たほうが」との言葉に、いよいよ本番かと思いつつ、少し低い滝を上ると気分が一変、そこには、20m位の滝の直登が待ちかまえており、先が思いやられる。(どこが優しい2級の沢や!東の川より上やがな)と思いつつ峡彩の方のザイルワークなどに見とれながら約10回位ザイルに身を任せいくつもの滝にトライしながら沢を登る事、約8時間の悪戦苦闘、最後の方はナメになり綺麗な沢の連続で3時頃に谷川岳山頂に到着(最後の直登がきつかった)。頂上は風もきつく、非常に寒く記念撮影もそこそこに時間が無いのでゴンドラめざし、一生懸命下山開始。5時頃にゴンドラ麓駅到着。
サー1日目の宴会の始まりです。(でも忘れていた睡魔が)はじめは沢の水は前日の雨の為、水量は少し多いとの事。また水温は少し冷たく今日で通算2回目の沢登りにはきついかと思っていましたが、天候にも恵まれ、非常に明るい沢でナメも綺麗ですごくいい沢で2回目でこんなにいい沢に入って良いのかな!と思いつつ堪能しました。また、今回は安全第一の気持ちで峡彩の方の丁寧なサポートで無事に沢を上れ、また、百名山の谷川岳のピークを踏めたことに感謝!感謝!少し長くなりましたが今回の交流登山に参加でき、無事帰ってこれたことは、峡彩の方々の暖かい献身的なもてなしと奈良山の方の団結が有った事と思います。いろいろとお世話になりました。ありがとうございました。
9/16に初めて沢登りを初めて2回目。清岡さん・吉田さん・伊藤さんのサポートのおかげで沢を始めて良かったです。最後に、沢のレベルは余り信用しない方がいいとよい教訓になりました。
谷川岳 尾根隊
菊谷
平成13年9月23日
L菊谷、坂井、高橋、阿達、玉木、与口、西田
ルート:天神尾根~山頂~巌剛新道
我等尾根隊は岩隊、沢隊をお見送りしてから谷川岳山頂目指し出発(8:20)。小山さんにロープウエイ乗り場まで送って戴き、すぐさま天神平へ舞い上がった。片道10分、料金1000円也でバスの団体さんも一緒で賑やかであったが、1320mの天神平は北西の風が強く寒かった。メンバー平均年齢58才の我隊は少し躊躇はしたものの、効率的登山を選択しすぐさま目の前の天神峠へのリフト400円へ飛び乗った。そして1500mの天神平の尾根上までは土合駅から何と40分足らずで上がってしまった。
尾根筋に付いた登山道は両脇を木々に囲まれ風の強さは少し和んできた。歩き始めたら高橋さんがナラ茸100gを見つけ、早速食材としてゲット。沢隊・岩隊と本部との無線中継をしながら11:20谷川岳山頂(トマノ耳)に到着、流れるガスの晴れ間から近くの山々は見える。しかし、寒い!尾根筋の木々の枝は霧氷と化していた。気温2.6度ではユックリくつろぐ気にもなれず、歩いていた方が暖かい状態でオキノ耳へ向かい、そこで体を低くして昼食とした。腹に詰め込んでから全員で下山路を検討したところ、x@天候は大丈夫xA全員元気だxB登山口へ16時位までに戻れる 以上の結果から、巌剛新道へ下るこことし本部の了解を得た。沢隊も1200mで食事休憩中との情報を本部へ伝え13:00肩の小屋を出発。
下るに従って暖かくなり、上を脱ぎながら大文字草の咲くラクダのコル分岐まで辿り着いた。15:00第一見晴の立杭へ来てひょいとマチガ沢を覗いたら、若いペアが我々を見つけて叫んだ「道が解らなくなったんでーす。どっちへ行けば良いのでしょうか?」。第一見晴からは沢へ下りる道が有った。すぐさまベテランの坂井・高橋さんが沢へ駆け下り二人を登山道まで導き上げた。聞けば頂上近くで道を見失い、兎に角下へ行けば良いだろうと下ってきたと言う。全く無謀な連中だ!沢は凍っているし、あのままでのビバーグは困難な状態であった。15:40小山・本望さんに途中までお出迎え戴き、駐車場へ到着した。今回の尾根隊は安全を第一としたゆっくりペースの登山であったが、若い二人の行動に遭遇して、レスキュー山行や例会研修等を通じての知識が、我々の重要な財産になっていることを真に感じた山行であった。
巻機山 米子沢
楡井
平成13年9月24日
メンバー:峡彩 CL楡井・SL成海・伊藤・川口・太子・戸貝・都丸・南山・渡辺
奈良 福本・高平・内炭・中久保・清岡・吉田・池田・伊藤・中迫
ルート :米子沢~山頂
朝の桜坂駐車場はハイカーの車でごったがえしていた。なんとおだやかな秋の日だろう。昨日のヒツゴー沢の水の冷たさはどこへいったのだろうか。前夜から待っていてくれた松原さんらから駐車スペースを確保してもらい身支度を始める。計18名の大パーティーのミーティングの中では「こんなところでロープを出してどうすんですか?」なんて笑わないでくださいとお願いすると、奈良のメンバーからは「ここで出さないでどうするんですか?と言うでしょう」と返されホッとした気持ちになりました。
いくつもの砂防ダムを越えるが左岸の工事用道路から入ればよかった。川口さん、伊藤(M)さん、太子さんから必要なところのロープセットのために先行してもらう。成海さんと渡辺さんには殿(しんがり)をお願いした。F1付近はだんだん埋まってきているようだ。ここでハーネスを締め直して、さあ、登ろう。青い空、走る水、愉快な仲間。ここはいつ来ても楽しい米子沢。スダレ状の滝上の岩の広場で休憩すると「私、こんな沢登りがしたかったの」と中久保さんが仲間に喋っている。核心部を快適に越え、上部ナメをヒタヒタと歩く。みんな楽しそうで、さすが米子沢だと思った。二又から先は木苺を頬ばりながら小屋へ到着。空身で山頂に行き、尾根隊、ヌクビ沢隊と合流した。北アルプスの山々から富士山まで、まあ今日はよく見えること見えること。交歓登山をここでやってよかったとあらためて思った。
追伸:近年下部ゴルジュ帯の捲き道がすっかり変わってしまいました。岳神14号・198ページのルート図で×印をつけておいた踏み跡が今では立派な道になっていて安心して通れます。沢身に近いところを辿っていた昔の道は草に覆われ今は使えません。(道なりに歩けば新しい捲き道を歩くことになります)
奈良山岳会・伊藤(M)
9月23日
駐車場(8:30)-F1(9:30)-核心部(10:45~12:10)-二俣(13:23)-避難小屋(14:15)-巻機山(14:38)-巻機山(15:15)-避難小屋(15:38)-駐車場(17:40)
おはよ~ おはよう~ おはよう~!
今日もナント快晴。こんな最高な気分は滅多とない。そして暖かい。またまた名渓にチャレンジできる!
昨日、ヒツゴーのグレード2級の沢に安心し油断したせいでF1でのシャワークライミングにブルブル震え半泣きになった。何回経験していても、朝一頭からかかる冷たい水には心身ともに辛い。今日も気をゆるしてはならない。気合を入れるのだ!と駐車場で一人ブツブツ繰り返した。
入渓し、ゴーロ上の水のない河原をどんどん遡る。なんでそんなに早いの。ついて行けるかな・・・と心配になってきた。
1時間後にF1に着く。明るく広い谷なので、とても落ちつきを感じた。各滝ともしっかりしたホールドがあり全員快適に登っている。が私はザイル確保がないと心細い。
いよいよ核心部に突入。峡彩の方の習熟したザイル工作に見とれ、だんだん度胸がついてきた。ところどころに咲いている小さく白い十文字草に励まされ、この度胸が続くようにと祈りながら私なりに頑張った。岩の上から流れる冷たい水をガブガブ飲んだ。2条の滝を越えると、延々と続く美しいナメ。傾斜はきつい。ナメ床はよく滑るので一歩一歩気合を入れ進む。ここまで来ると真近に稜線が見え、自分も相当余裕がでて、写真を撮り、峡彩の方に今朝いただいた笹団子を一口でパクリ!口いっぱいに広がるつぶあんの甘さ、なんておいしいの!
静かな流れに季節を感じながら草原が見えるころ二俣に着いた。後ろを振り向き、やった!登れたぞー米子沢!感激でいっぱいでした。そんな気分に浸っていたら、水かけ遊びが始まった。そろそろ別れる沢になごりを惜しみ私も仲間に入り有頂天となった。
二俣を左に行くと、先はヤブこぎのない草原と池塘の点在。とてもいい眺めの中、のんびり歩いた。巻機小屋からリュックを下ろし一気にピークへ。
真っ青な空に越後三山。すばらしい山並み。遠くに富士山まで見える。元来た道を巻機小屋まで戻ると、峡彩の方が無事を祝って赤ワインで乾杯をしてくださった。満足この言葉以上何もない。
すべての準備に時間を費やし、細やかな気配り、本当に感謝でいっぱいです。交歓登山の響きと同様に、この暖かさがいつまでも余韻に残ります。『心に残る登山』を本当に有難うございました。重ねてお礼申し上げます。
巻機山 ヌクビ沢
佐藤(Y)
平成13年9月24日
メンバー:峡彩 L佐藤・内山・菊谷・高橋
奈良 西田
ルート :ヌクビ沢~割引岳・巻機山
奈良山の西田さんが加わることになり嬉しい。車だらけの桜坂Pをぬけ、標識通りにヌクビ沢への登山道を行く。快晴の朝陽があたらない樹林の中をしばらく歩き、沢へ降りる。水量はさほどなく、ゴーロの沢をそのまま歩く。少しは「どっこいしょ!」というところはあるが皆さん慣れた歩調でゆっくり進む。吹き上げの滝を右に見てルートは取られ、その上は米子沢にも劣らぬナメ状の岩が気持ちよい。日差しも強く後頭部が熱い。30~40分に一回の休憩では日陰に入りたいくらいの暖かさになった。1578メートルの黒ツブネがまさに黒っぽく天を刺している。藍瓶の滝下はスラブ状になっていて道は右岸に付けられている。後からきた単独の人がスタスタ気持ちよくそこを歩いていて「気持ちよさそうだなあ」と思う。藍瓶の滝自体も逆層気味ではあるが登れそうなナメ状滝だ。道はすぐ左についていてけっこうな急登だ。1072メートルの落合(割引沢とヌクビ沢の出合)のすぐ手前でゆっくり休む。ヌクビ沢に入ると谷が少し狭まる。三ツ倉沢との出合手前で地図と地形のミニ学習。尾根形の急登後またさらに狭まった沢身を行くが、へつり道もかろうじて付けられている。なんともいやらしいへつり道も時々あって気を抜くことが中々できない。ポイントでは声をかけ、慎重に進む。先を歩いていた中年男女パーティー(6-7人)の休憩中に先に出させてもらう。さらに沢は狭まり崩れやすい微妙なへつりも混じる。高橋さんが「米子沢のほうが楽だなあ」などと話したが、全くそのとおりに感じる。水量も少なくなり、水を汲み、少しで水流がなくなる。ここで中年男女パーティーが追いつき我々の先に出る。尾根形への取り付きでまごついているようで、我々が道を譲られる。足場はしっかりしているが浮石が多い岩の急登だ。先のパーティーの内、2人が我々の数メートル先を登っていて、我々が握りこぶし大の落石を受ける。幸い高橋さんをかすめただけで事なきを得た。同時に私が上がりずり落ちそうなその人を落ち着かせる。中年男女パーティーが完全に登った後か、完全に先に行かせてもらえばよかったと反省。ゆっくりと稜線鞍部に到着してひとまず握手。菊谷さんと内山さんは割引岳へ駆け上がる。西田さん、高橋さんと記念撮影を撮る。のんびり木道と階段を登って行けば御機屋(巻機山)に着いた。学生さん等でごった返している。まもなく米子沢隊が空身でやってきて、尾根隊も集まり、記念撮影。それから避難小屋でおなかを満たし、下山した。
追伸:ヌクビ沢はやさしい沢登りコースであり、一般登山道ではないことを明確にした方が良いようにあらためて感じました。行程の長さ、コースの道の整備、指導標不足、危険度など考え合わせると沢歩きに慣れていない人、百名山ねらいのみの中高年の行けるコースではないようです。
本 部
小山
9/22谷中、井出、本望、川口、町屋、小山
9/23谷中、井出、坂井(A)、本望、小山
開会式のあと各隊を出発地まで送り、まず始めたことは泊まり場をどこにするかでした。CLの楡井さんより一ノ倉沢の出合が第一候補地とせよと指示を受けましたが各泊まり場を偵察した結果、白毛門沢の出合いの駐車場に設営することになりました。始めの計画では私と本望さんと二人で設営する計画でしたが、二人やっていればてんてこ舞いの状態だと思う位の仕事量でした。泊まり場の設営がすめば、食事の用意だけと思いましたが
1.泊まり場の設営
2.食事の用意各隊の送り向かえ
3.奈良山岳会の車の燃料つめ
4.各隊との通信、連絡
他にも多くの仕事あり。
反省点
各隊の送り、迎えが同じ時間帯に集中して大変である
食事の用意をなにをしていいかわからない(各隊共5時頃まで山中にあり)
思いがけない仕事がある(奈良山岳会の車の燃料詰め)
朝の撤収や後始末が大変である。
あるていど本部の要員を多くしたほうがよいと思う。
しかし両日とも気候的にもめぐまれ奈良山岳会の方々に、谷川、巻機を堪能していただいと思う。山には入れなかったけど、楽しい山行でした。
奈良山岳会さんからのおたより
異質なものとの出会い「交歓登山」
奈良山岳会 梅屋
多くの先輩が一人またひとり鬼籍に入り、共の歩みが少しずつ風化していく。
改めて先人の歩んできた道を整理しなければと、峡彩と奈良の交歓登山の歴史をひもとく、今年で35年にわたる交流の歴史があった。つながりがあった。
舞台に登場した山域を見ただけで、越後の山域の奥深さを知り、大台・大峰のみの奈良の山域が伺い知れる。
縦走があり、沢があり、岩もある。そして残雪期、積雪期があり、35年の歴史の中には台風、事故などによる中止もあるなど二つのクラブの歩みが凝縮されている。
でもなぜ、ここまで継続されてきたのだろうか。
自分本位で、妥協を好まず、自己主張に長けた我々「山や」と称する人種にとって、最も苦手とする「交流登山」なるものが実に35年も続いているのである。
自分の山行きだけで精一杯の山やにとって、他人様のお世話をする山行が心地よいはずが無く、35年も続くはずがないというのが一般的。
その答えは、今回参加した会員の感想文にあった。
「統制の取れた行動力と優れた技術……」、「素晴らしく厳しい山行慣行を垣間見た……」、「細やかな気配りと心温まるホスピタリティ」など、一緒になって行動する過程の中で、新鮮な驚きと新しい発見のあった様子が伺える。
これはひとことで言って、「異文化の交流」なるものの感動といえようか。
山という共通の志を持つ山岳会の集団でありながら、それぞれの会の持つ価値観、行動規範、知識・技術など、多くは自らの経験と体験の中で形づくられたものであり、他と余り比較をすることもなくいわば閉ざされた同質の集団を形づくってきたのである。
ところがこのたった数泊の交流登山において自分達の会にはない、形にはない異質なものとの遭遇に直面する。最初は緊張していた異質なものとの遭遇だが、触れあうことの心地よさと多様な山行のあり方に人は、驚き、共鳴し、そして感動するのである。
こんな山行きもあった、こんな生活技術があった、こんな楽しみ方があった、などなど異質なものとの交流は新しい刺激が一杯で、新しい発見の連続であった。
山にはこんな楽しみ方があり、こんな技術の凄さがあった。いったん解き放された感覚は同じ山やであるがゆえに、またたく間にうち解け、吸収のスピードを増すこととなる。
まさに交流登山とは、こうした人間の可憐さをいまなお落とさずに体験出来る場なのである。
このような新鮮な感動と感激がある限り、峡彩と奈良の交流はいつまでも継続されていくに違いない。なぜなら交流に参加した一人ひとりがその素晴らしさに感動し、交流の持つ魅力を胸の内にしっかり刻み付けて帰ってくるからである。
2年後の再開に向けて、もう準備が始まっている。
交歓登山を終えて
第27回奈良峡彩交歓登山は9月22日谷川岳で、23日巻機山で全6コースの山行を無事故で終えることができました。2回も延期したにもかかわらず、奈良山岳会からは福本会長はじめ10名もの御参加をいただき大変元気が出ました。前日午後8時に奈良を出発されたとの事でさぞお疲れだったと思います。
このコースはいずれもメジャーなコースでしたが奈良山岳会のメンバーからは必ず喜んでもらえる自信がありました。当日はまさに好天となり、特に2日目は巻機山から雪をいただいた富士山まで見渡せるという好条件のもとで山行を終えることができました。この交歓登山のためにいろいろな人の力がありました。
・下見登山をしてくれた人
・沢に入りたかったが尾根コースに廻って裏方の応援をしてくれた人
・コースの先頭を行き少しでも不安があればロープをセットしてくれた人
・回収したロープを何本も背負って先頭に渡してくれた人
・なかなか降りてこないパーティーをじっと待っていてくれた人
・久しぶりの山行で足を引きずりながらも歩いてくれた人、それをカバーしあった仲間たち
・登りたい山も割り切って本部に詰めて裏方に廻ってくれた人
・予算の制限された中で食料係を一手に引き受けてくれた人
・テント設営や後片付けに汗を流してくれた人
・色々とアドバイスをいただいた諸先輩
この方々の力があったからこそ成し遂げられた交歓登山でした。そして無理な注文を引き受けてくださり楽しい打上げの場を提供してくださった「やまご」のお父さん、お母さん、おばあちゃん大変ありがとうございました。私共も、奈良の皆さんもとても喜んでいます。
この交歓登山の勢いが夏合宿の成功とあわせて、これからの山行の充実のための着火剤となれば幸いです。
峡彩山岳会 交歓登山担当 楡井