飯豊連峰・春山合宿

A 隊

日程 4月27日~29日
コース クサイグラ尾根 ⇒ 御西岳 ⇒ 大日岳 ⇒ 飯豊本山 ⇒ ダイグラ尾根下山
メンバー L成海  大江  戸貝

コースタイム

1日目 川入・梅花皮荘前P7:40~天狗平8:15~温見平8:45~クサイグラ尾根816m地点10:20~1110m地点12:50~1390m幕営地15:00
2日目 幕営地6:00~烏帽子岳直下1965m平地9:20~稜線縦走路9:40~御西小屋11:45-12:50~大日岳14:20-15:00~御西小屋16:00
3日目 御西小屋6:05~本山小屋7:25~飯豊本山7:50~ダイグラ尾根千本峰10:35~休場の峰11:25~水場12:05~吊り橋13:30-14:00~天狗平15:00~梅花皮荘前P16:00

感 想

【はじめに】

今回のコースについて、リーダーで起案者の成海さんが採ったクサイグラ尾根コースは、昨年の春合宿で私が提案していた下山コースでもあり、成海さんから電話をもらったときは、二つ返事で参加させてもらうことにしました。

【1日目】

亀田の戸貝家に朝6時に集合し、私の愛車ハイラックスで天狗平を目ざし出発。ところが、梅花皮荘前から先が、鎖が張ってあって車が入れません。天狗平まででも、悠に1時間は歩くことになるというのに、予想していた心配が的中しました。するとそこへ、地元の人たちの軽トラック3台が集まってきたではありませんか。「乗せていってもらえないかなぁ」と、3人顔を見合わせるが早いか、戸貝さんが「私頼んできてみる」と、サッとその場から姿が消えたと思えば「交渉成立」「急いで」と、プラブ-ツをバタバタ言わせて帰ってきました。何という行動力。この人に”気後れ”と言う文字はないのでしょうか。とは言え、ここで天狗平まで乗せてもらえたことで、この後の行動に大いに余裕ができました。私達は、この内の1台の軽トラックに飯豊山荘まで乗せていただき、クサイグラ尾根の取りつき、温見平までは30分という、ちょうど良いウオーミングアップで済みました。

尾根は地形図で見たとおり、所々を除いて殆ど急登はなく、標高700m付近までマタギ道がついていて、足の踏み場もないほどのイワウチワとカタクリ、そして石楠花と三つ葉ツツジの花の中を、順調に高度を稼ぐことができました。しかし、ここから先が延々と藪が続き、まさに”クラ”と呼ぶにふさわしい尾根で、両側が藪岩で切れていて雪渓が残っていないため、この日は1350m付近の左右から枝尾根が合わさるところまで、ほぼ1日藪こざきを楽しませてもらいました。ただし、この日の藪は、昨年の水晶尾根の様な、意地悪なイヌツゲや石楠花などが少なかった分、幾らか楽をさせてもらいました。途中、1000m~1130m付近の高度のあまり上がらないアップダウンの続く尾根に、2カ所岩場がありましたが、下の岩場はロープが下がっていて、峡彩のみなさんならロープに頼らずとも難なく越せる岩場で、上の岩場は全く問題ありませんでした。

3:00pm頃、1350m付近で雪渓に乗ると、成海リーダーから「場所のいい所があったら、今日はそこまでにしましょう」と、仏の一声。 1390m付近の山毛欅林の中に幕営ポイントを見つけ、ザックを降ろすと、戸貝さんが「えっ、やめるの?私まだ元気よ」と、鬼の一声。さっそくテント場をならし、テントを設営すると、成海さんが重い思いをして上げてきてくれたビールが出てきて3人で乾杯。仏のしずくでした。

夕食は、戸貝家も同じものを食べているはずの手抜きのないスペシャルカレーライスをメインディッシュに、美味しくいただきました。この夜、喋るだけ喋って、飲むだけ飲んで、いち早く眠りについたのは、未だ「お嬢さん」と呼ばれて「はい」と、元気の良い返事ができる”永遠のお嬢様”でした。

【2日目】

 朝、まだ薄暗い中、目が覚めてテントの外に出ると、稜線はもちろん、朝日連峰までスッキリ展望できます。雪面は凍っていますが、無風状態で寒さは感じられません。朝食は昨夜のカレーがまだたくさんあったので、それを3人でいただきました。食後は、ゆっくりお茶を楽しんでから、泊まり場を後にしました。

目の前に急登が控えていたのと、少し雪面が凍っていたので、私と戸貝さんは簡易アイゼンを着けることにしました。100mほど登ると、急登の手前に比較的大きめな窪地があります。そこを越えると1800m付近まで、一気に雪面を登ります。滑落しないようピッケルを突きながら、キックステップでジグザグにゆっくり登ります。振り向けば朝日連峰、見上げれば主稜線、左手には明日下るダイグラ尾根を眺めながら登ります。

右手では、時折石転び沢に落ちる、落石やブロック雪崩が雷のような音を立てて、落ちていきます。しかし、暖冬、少雪のせいでしょう、この標高に至ってまだ所々藪こざきを楽しませてくれます。藪もこの標高になってくるとダケカンバや這松になってくるので、手強くなってきます。

心地よい初夏の青空の下、烏帽子岳直下の草原帯でゆっくり展望を楽しんだ後、主稜線に乗ります。主稜線に出ると、この日のものと思しきトレールが、北俣方面へ3~4人、御西方面へ1人窺われました。亮平の池からは私達の後、B隊が行くはずの大日、烏帽子、蒜場が手に取るように展望できます。御手洗池、天狗の庭と順調に進み、御西小屋に入ります。二階の冬季用出入り口が、丁度良い位置にありました。小屋内には既に二組の荷物がある外、誰もいませんでした。

暫く、お茶を楽しんだ後、アタック装備で大日岳を目指します。所々夏道が現れていますが、明らかに昨年の同じ時期より少雪です。大日岳直下の急登は、ザレた雪面にシッカリ階段状にトレースが付いていて、何の不安もありません。柔らかな陽光と心地よい春風をうけながら、私達はささやかな祝杯で、至高の時を堪能しました。何度も立った大日岳の山頂ですが、私にはいつも何故か本山とは違う威風を感じてしまいます。

この日の夜、御西小屋は私達3人の外、会津山岳会のメンバーが2人、外1名の6人でした。会津山岳会の2人は、先月ここの下でスキーをしていて事故にあったメンバーのデボ品回収とのことで、小屋の一階に張った私達のテントに遊びに来てくれて、色々話を聞かせてくれました。

【3日目】

3日目の朝、またも快晴。ティータイムを挟んでゆっくり食事をとり、それでも6時には3人揃って小屋の外に立ちました。

この日は、無事ダイグラ尾根を下山することの前に、我々の後、B隊・C隊が本山小屋を予定通り使えるか、デボ品の安否はどうかを確認する任務があります。御西岳、駒形山、飯豊本山と、所々夏道をトレースしながら、本山小屋に着くと、昨夜の登山客が出発の準備をしていました。小屋の2階出入り口は、すっかり露出されていて問題無く、デボ品もしっかり保存されていました。

さて、本山からは長い長いダイグラ尾根の下山です。御前坂の上部は雪が無く夏道を下ります。途中から宝珠山の最低鞍部まで急な雪原の下り、滑落しないように慎重に下ります。急なところで何度かピッケルを使って滑落停止訓練をしてみましたが、呆れるほど良く止まりました。いざという時もこれほど良く止まるものなのでしょうか? 千本峰までは、所々途切れながらも雪渓に乗れ、時間短縮をはかれました。千本峰付近は既に雪はなく、岩場も露出されていました。

休場の峰(キュウバノミネ)からは、鉄砲下りです。持病の左膝をかばいながら下っていると、今度は負担を掛けていた右足が音を上げてきました。徒渉地点まで来ると期待していた吊り橋は、板はもちろん両端の止めも外れていて、全く渡れそうにありません。仕方なく、南山さんから聞いていた少し上流のスノーブリッジを渡り、事なきを得ました。長い下りで火照った体をクールダウンしようと試みた、私の徒渉案はにべもなく却下されました。吊り橋の対岸に渡り終わると、無事下山を祝って3人でまたもささやかに祝杯をあげ、お互いの協力をねぎらいました。

ところが、ここからが本当の長く辛いエピローグが控えていました。この日は、初日のように地元のトラックもありません。梅花皮荘までの辛い林道歩き、本当に堪えました。

こうして私達3人の、かくも楽しく辛い合宿はファイナルを迎え、また改めて飯豊に惚れ直すことで、幕を閉じました。

B隊

日程 5月3日~6日
コース 弥平四郎 ⇒ 松平峠 ⇒ 疣岩山 ⇒ 三国岳 ⇒ 切合小屋 ⇒ 飯豊本山 ⇒ 御西岳 ⇒ 大日岳 ⇒ 北股岳 ⇒ 門内岳 ⇒ 丸森尾根下山
メンバー L伊藤  南山  佐藤  内山  福士

5/3

戸貝さんの車で弥平四郎口から入山。快晴。松平峠まで体調不良を我慢してきた谷中さんは引き返すこととなった。とにかく暑い。疣岩山で雪に乗る。三国小屋では人が多い。七森はほとんど夏道。途中の鎖場は不安定な雪がついている。種蒔山の雪上で切合小屋を見て安堵する。切合小屋で太子さん坂井さんと合流。太子さんはその辺を滑っていた。夜すぐ寝てしまい天気図を取らなかったがちゃんと坂井さんが取っていてくれた。さすが。感謝。反省し、以後メンバー全員で毎夜気象通報の情報を書き込み学習した。

5/4

くもり。早朝出発。小降りになる。風も強くなる。8時本山小屋着。荷揚げ品を回収。(問題なし)本山で記念写真も風強くふらふら。空き缶、ゴミは太子さんにお願いし二人と別れる。御西岳へは風雨強くなり視界も利かなくなる。じっくりと現在地確認しながらの学習歩行。御西小屋はちょうど2階から入れる状態の積雪状況。リーダーはここで判断をする。現状、今後の天候、標高千mラインの残雪状況など総合的に考え予定変更。空身で大日岳往復。御西小屋泊まり。明日からは、今後考えている冬山縦走の偵察を兼ね北上することとした。びしょぬれになり大日岳に登頂。烈風、視界30m。西大日岳方向へ少し歩を進めたが無理せず引き返す。心配していた大日岳直下の下降はつぼ足、ノーザイルでやれた。体が冷え切り御西小屋着。濡れ物が乾かなかった。

5/5

小屋周辺視界2-30m。すぐにルートファインディングの練習となる。現在位置確認のための情報収集、雪堤の状況チェック、など学習には最適なコースと状況であった。特に福士くんがしつこいくらいに意欲を見せてくれた。烏帽子岳から梅花皮岳間では立っていることができないほどの風雨。息ができなかったと言っていた人がいた。中高年パーティーがコースをはずしていたのでおせっかいだが声をかけた。梅花皮小屋内はきれい。快適そうだが気が引けて、外の管理人小屋前で休んでいたら、管理人の吉田さんが招きいれてくれた。感謝。北股岳へは上半分が雪上登高。山頂で風を避けて一休みし、ギルダ原へ。風は相変わらず強いが夏道が全て出ているところなので快調に歩を進める。門内岳で手を合わせ小屋に入り込む。夕方2階でエスパースを張る。あったかい。同宿の東大理学部4人と単独(山中さん)を引き込み宴。天気図を取れば前線の進み具合がのろい。回復が遅れているが明日はだいじょうぶだろうとシュラフにもぐる。

5/6

快晴。実物大のエビノシッポがあちこちいたるところにできている。冷え込んだ様子。皆、むくんだ顔で朝食をとり出発。地神北峰下部の雪渓でアイゼン歩行練習とグリセード。さらに降りて行き急斜面の雪面にでる。下に出迎えの仲間の姿を確認。少々てこずりながら下降し合流。腹を満たす。感謝、感謝。さらに下降し雪上訓練に格好の地で歩行やピッケルワークなど雪上講習。ほとんど一気に飯豊山荘の登山口に下山。さらに3人が出迎えてくれた。感謝。駐車場でおつかれさん会になる。ほんとうにありがたい。伊藤リーダーは重要な出発前の準備から山中の判断、行動がんばりました。内山さんもがんばりました。福士くん期待しています。南山さん、年齢を感じさせないパワー脱帽です。

出迎え組になった小山、松原、都丸、戸貝夫婦、谷中、渡辺夫婦、楡井、本間文(誰か抜けていたらごめんなさい)の皆様、ありがとうございました。本部となった丸山さんありがとうございました。皆様に感謝。

コース変更の残念なことはありますが、これからの冬山合宿に向けてよい偵察山行と研修山行になりました。

大日岳~烏帽子山~蒜場山については、またチャンスをつくり、作戦を立ててをやりましょう。道程は楽ではないが、山は逃げない。前向きな気持ちに道は開ける!(なんちゃって)と自分に言い聞かせています。

記:佐藤

C隊 日程
コース
メンバー
5月2日~5日
弥平四郎 ⇒ 飯豊本山 ⇒ 弥平四郎
L太子  坂井厚
D隊 日程
コース
メンバー
5月5日~6日
石転び沢、丸森尾根、B隊出迎え
L小山  松原  都丸
E隊 日程
コース
メンバー
5月6日
丸森尾根、B隊出迎え
L渡辺(K)  渡辺裕美  戸貝  谷中