飯豊山地楢ノ木沢堂沢[沢登り]

1.山域・メンバー

山域・山名 飯豊山地楢ノ木沢堂沢
山行内容 沢登り
メンバー 新潟共済山岳会:戸貝直樹、伊藤芳浩
天候 晴れ

2.行動記録

記録 戸貝直樹
日程 2020年8月22日(土)~2020年8月23日(日)
Day1
奥胎内ヒュッテ0835-胎内川渡渉0840-アゲマイノカッチ0950-楢ノ木沢入渓1055-堂沢・鴨沢出合1220-中の二俣1750
Day2
中の二俣0750-二王子岳山頂1340-二王子岳登山口1630

3.報告

ヨシさんと「この夏、泊まりの沢に行こう!」という話になり、8月下旬に休みも合いそうなので行くことになった。行き先は、『朝日・飯豊の沢(豊野則夫、白泉社)』や「その空のしたで。。。(故ひろた氏のサイト)」等で情報収集し、一泊二日で遡行でき、登攀や焚き火を楽しめそうな「飯豊連峰楢ノ木沢~堂沢(3級)」を選定した。

1日目、ゴール地点である二王子岳登山口に集合。ヨシさんの車をデポし、戸貝車で奥胎内ヒュッテへ。奥胎内ヒュッテから胎内川へ降りて泳いで渡り、アゲマイノカッチを越えて楢ノ木沢に入渓。楢ノ木沢はしばらく穏やかな渓相で少し泳いだり、小滝を登ったりして進んだ。

アゲマイノカッチから楢ノ木沢へ降りるルンゼ
楢ノ木沢
楢ノ木沢。腰まで浸かったりはあるが、難しいところは無い。

入渓してから一時間ぐらい進むと堂沢と鴨沢の出合に到着。昨年は向かって右手の鴨沢を遡行したが今回は左手の堂沢へと入る。ここから先は未知の領域である。ゴーロ地帯をしばらく進むとゴルジュとなり、小滝が出てきた。

堂沢・鴨沢出合
堂沢へ入ると始めはゴーロが続く。
堂沢。ゴルジュっぽくなってきた。
直瀑15m。手出しできないので左岸にある2つのルンゼのうち、手前のルンゼから高巻き。

いくつか登ると直瀑15mが現れた。全く手出しできるような滝ではないので左岸にある2つのルンゼのうち、手前のルンゼから高巻きすることに。このルンゼは見るからにかなり悪そうで、ロープを出した。実際取り付いてみるとヌルヌル、ボロボロの岩で、中間支点にできそうな灌木もない。ハーケンで中間支点を確保しながら進む。20m登ってやっと灌木でビレイアンカーを確保、ピッチを切る。

15m登ってやっと取れたビレイアンカー。

次のピッチでは垂壁にぶち当たって右へ逃げ、3ピッチ目4ピッチ目と右往左往しながら、結局1時間以上かかってやっと滝を越え懸垂下降。 15mぴったりで再び沢に降り立つ。懸垂下降の支点に選んだ木に、ボロボロで白色化した残置スリングを発見。高巻きでかなり右往左往し疲れていたが、数年前に入渓したであろう先人と同じ懸垂ポイントに出たと分かり、少し安心した。

懸垂下降15m

その後いくつか小滝を登り、日暮れ寸前に幕営予定地の中の二俣に到着した。幕営に適した平地はイタドリに覆われ、今年人が入った様子は無い。急いで整地、薪集め、タープ設営を終わらせ、日没を迎えた。

小滝。流れの左のスラブから登った。
幕営地点の中の二俣 。今年人が入った形跡無し。
焚き火で地図を乾かす。
割と元気。

2日目、幕営地から向かって右俣を進む。ここから先、地形図上では等高線が密になっており、実際も連瀑帯でいくつも滝を登った。その中で現れた小滝5mは水通しの流れが強くて進めそうにない。左岸のバントに残置ハーケン3本があり、ここが登れるようだ。戸貝がリードで取り付くが、めぼしいホールドはなく、人工登攀で2mほど上がった。残置ハーケンだけでは足りずさらに打ち足す必要があったが、まともな登攀は久しぶりで早々にメンタルが死亡したため、クライムダウンしてヨシさんにバトンタッチ。残置3本+新設1本の計4本を使い人工登攀で岩棚へ上がる。続い て現れた直瀑12mは全く手が出ないので左岸のクラックから高巻き。

連瀑帯の入り口
小滝5m。左岸のバンド沿いに人工登攀で抜ける。
直瀑12mは全く手が出ないので左岸のクラックから高巻き。
2段40m。ロープ出さない。右岸のルンゼから上り、灌木を掴んでトラバースし一段上へ。上段の滝は簡単でフリーで登れる。
ワシワシと登れる。
チョックストーンがあり一見難しそうだが、チョックストーン真下まで行くと左岸側を登れる。
ヒキガエルくん
水量も減り、源頭の雰囲気になってきた。
山頂直下の草原

その後もいくつか滝を登り、やっと山頂直下の草原に出て一安心。数十メートルの藪こぎ後、二王子岳山頂へと至った。下山は二王子岳の登山道を利用。

今年に入ってから色々な環境の変化があり、荷物の軽い比較的楽な日帰り山行ばかりで重荷を背負っての山行はほとんど行ってなかったので、久しぶりにそこそこ長くて険しい山登りで疲れ果てた。しかしその分達成感も大きかった。すごい冒険であった。一緒に登ってくれたパートナーに感謝。これからもうまく時間を作りながら行ったことがない場所へ、自分にとってチャレンジングな山登りをしに行きたい。