谷川/谷川オジカ沢 [沢登り]

 

1. 山域・メンバー

山域・山名 谷川・オジカ沢ノ頭周辺
ルート 谷川温泉~オジカ沢遡行~中ゴー尾根経由で谷川温泉に下山
地図 水上・茂倉岳(1/25000)
山行内容 沢登り
メンバー (L)都丸、太子、楡井(峡彩山岳会)

2. 行動記録

記録 都丸
日程 2009/9/5 曇り時々晴れ
タイム 9/5 谷川駐車場5:00~オジカ沢出合6:15~避難小屋16:00~谷川駐車場21:00

報告

開放的な草付のV字谷に明るい岩盤のナメ滝が多く、隣のヒツゴー沢と渓相は良く似ている。ヒツゴー沢が初級者にも楽しく登れるのに対し、こちらオジカ沢は上級者向け。登攀的な要素が強く時間がかかる。登攀的なグレードは4級程度だろうが、巻きも含めてロープが欲しい場面が多い。3人での日帰りは16時間行動になってしまいなかなか厳しかった。

前日夜は降雨の後でテントを張る気にならず、湯檜曽駅で駅寝する。しかし通過列車がうるさく良く眠れなかった。当日は朝5時の薄暗いなか谷川温泉奥の駐車場を出発、谷川沿いの道を歩く。途中の橋がヌルヌルして非常に滑りやすいので注意。若干1名が滑って落ちそうになった。1時間15分ほどでオジカ沢の出合に着く。ヒツゴー沢は伏流している。

オジカ沢に入り少し遡ると10mほどの滝。右からいけそうだがロープを出したいところなので、先を考え右岸の巻きにする。2つほど滝を巻いて沢に戻った。その後はナメ状の小滝をいくつか快適に登る。


F1は右岸を巻く


谷川らしいV字谷

 先頭の楡井さんが沢床で何かを見つけた。冬物の青いシュラフだ。「中身」は入っていない。稜線上から強風で飛ばされてしまったのだろうか。致命的な事態になっていないことを願いたい。

短いゴルジュ状になり、滝が3つほど続く。ロープを出して左岸側を登った。周囲はだんだんガスに包まれ霧状の雨まで降ってきた。逃げようもない場所なので天気が持つことを祈るしかない。左岸から支沢が入り、行く手はスラブ状に広がっているようだ。景色はガスに覆い隠され陰惨な雰囲気が漂う。釜のある7m滝を登ると前方に大滝が見えてきた。前衛の滝は右岸のスラブから巻き、残置ピンとスリングを使って短く懸垂で降りる。念のため1本打ったピンをラストの私が回収しようとしたところ、岩が浮きかけているのに気づいた。回収を諦め、おそるおそる極力体重を掛けないように降りる。


ミニゴルジュの滝を登る


続けて登る


ガスガス

 10mほどの滝を越えて大滝40mの直下に着く。見上げれば凄い迫力だ。ルートは左右に取れそう。右壁の水流の中は傾斜も緩く問題なくいけそうに見える。とはいえ高さがあるので当然ロープを出し、落ち口近くのテラスまで一気に登りきる。


40m大滝と前衛の滝

 続いて2段30mのトイ状の滝がかかり、楡井さんリードで右壁を登る。取り付きの5m位が立っていてやや難しく、その上は容易い。下で待っていると見上げる空の雲が吹き払われて暑い日差しが差し込み、滝つぼには可愛らしい虹がかかった。短時間で鮮やかに表情を変える沢の風景は本当に面白い。それを眺める人の心情もまた。曇天で碇を引きずるように沈鬱だった気分が一転、羽が生えたように軽やかになっていった。2段目は太子さんがリードし、下部をトラバースしてかわし水流に近づく。最後はシャワークライムで落ち口へ抜けた。


2段30mの下段を登る


虹がかかった


上段を登る

 ここまで入渓から4時間強。悪くないペースかなと思ったが、オジカ沢は甘くはなかった。10mほどの滝2つを越え、ナメ状を過ぎると左手に幕岩の岩峰が聳えたち存在感を誇示している。明るい草付きの沢筋を進んでいくと2段80mの大滝が見えてきた。前衛のナメ滝は水流の中を登る。大滝の下段は傾斜も緩く左壁が容易に登れる。2段目は落ち口付近が立っているようなので左壁から草付に入り、低く巻いて落ち口に降りた。


蒼天の下


岩峰鋭く


80m滝の下段を登る

 8mCS滝は右岸の草付に入って落ち口付近へ飛び降りる。ナメ滝を気持ちよく登ると12mのチムニー滝が行く手をふさぐ。太子さんリードで左岸から回り込むように巻きに入るが、浮石が多く落石は避けられない。2ピッチ目は私がロープを引いて行く。沢は先で3本に分かれている。下降点が見出せずそのまま右の支沢沿いに登って懸垂で支沢に下りる。少し登ってからササ藪をトラバースして本流に復帰した。


CS滝は右岸を巻く


快適に登る


チムニー滝は左岸を高巻く

 14時を回ってそろそろ空腹がきつくなってきた。源頭近い雰囲気なので大休止とし、ラーメンを作って食べる。源頭はガレ場の下から湧水になっていた。詰めはガレと草付き、背の低いササ藪を登って俎嵓に続く緩やかな稜線に出た。ガスに包まれた幻想的な草紅葉の草原に少しの間座り込んで遡行の余韻を味わう。

中ゴー尾根を使って下山した。途中でヘッデンになり、疲れで足どりも重くペースが落ちる。車に戻ると21時を回っていた。