谷沢川大倉沢(川内・日本平山) [沢登り]

1. 山域・メンバー

山域・山名 川内・日本平山
ルート 谷沢川大倉沢遡行~日本平山~谷沢登山口下山
地図 馬下・高石・越後豊川(1/25000)
山行内容 沢登り
メンバー (L)都丸、武者(峡彩山岳会)

2. 行動記録

記録 都丸
日程 2008/6/1-2 曇りのち晴れ
タイム 6/1 最終堰堤8:15~大清水沢出合14:40~15m滝手前BP17:30
6/2 BP7:15~大倉沢出合7:40~日本平山11:10-12:30~谷沢登山口14:40

報告

今年最初の泊まり遡行をどこにしようかと考えた。新人を連れて行くのであまり厳しくなく、手ごろな水量があり雪が融けている……ついでにまだ自分が入っていないという条件で谷沢川に行くことにした。釣り師も入っているようだし、記録を見る限りそう厳しいところはないだろう――などと舐めてかかっていたが、水量多く迫力あり、行程の長さもあって十分手ごたえのある沢だった。

深い樹林下の川を行く

谷沢川沿いにクルマを走らせながら本流を見ると、前日に多少の降雨があったせいか水量は思ったより多いと感じた。心なしか水も濁っているような……。尻羽沢橋を渡り採石場入り口を過ぎると右側にスペースがあるので駐車して支度する。林道を歩いて堰堤の上に降りる分岐があり下る。しばらくは堰堤工事用の右が川沿いに続いている。(ただし途中で崩壊しているのでクルマでは途中で行き止まりになる)。最後の堰堤の上で入渓した。

序盤は深い樹林と所々のゴルジュの中を太い流れが貫流し、淵のへつりが主になる(1)。先頭を行く武者君は歩きはスムーズでなかなかペースが速い。沢が左に曲がる地点で轟音と共に5m滝が落ちる(2)。右壁なら登れるかとも見えたが渦巻く深い釜に入る気にもならず、おとなしく右岸の踏み跡の高巻きとなる。釜のある4m滝は左壁を登り、やはり釜のある3m滝は右岸を巻く。渓に戻る際、折角なので懸垂下降をやらせてみた。何事も現場で覚えるのが一番だ。この辺りはゴルジュが断続的に続いている。2段の滝は左のルンゼを登った。先が見えないので念のためロープを出し、武者君に確保をお願いする。先週ロープワークの練習をしておいて良かった。


(1) 水量多い


(2) 最初の滝


(3) 水と光の饗宴


(4) さわやかな滝

核心部

大池沢出合から先は渓相が変わる。これまでは樹林とゴルジュと黒っぽい岩肌の薄暗い感じの沢だったが、ここから先は両岸スラブが切り立ち、岩も白色で明るい印象になった(5)。釜のある5m滝は泳がないと取りつけそうもなく、渦を巻く今日の水量には恐怖感すら覚えるのでパスして右岸を巻く。大清水沢出合あたりは両岸かなり狭まってくる。4mの滝(6)は淵を泳いで水圧に耐えながらテラスにはい上がる。ここから右壁をロープを引いて登るが難しく、外傾したスタンスで滑って釜にドボン。改めて、左壁にかかっている流木を頼りに登り、流木と左壁の隙間から抜け出るように落ち口に達した。滝上は雪渓が何箇所かあり、上に登ったり下を潜ったりしてやりすごす(7)。大倉沢出合先の2段7mの滝は快適に登れた(8)。

先頭の武者君から声が上がり、行く手にはこの沢最大の15m滝が関門のように現れた(9)。登れる滝ではなく大高巻きになる。ここまでの武者君は歩きや登攀は順調だったがヤブ漕ぎで苦戦する傾向があったので、なるべく楽なルートはどこかと探した。手前左岸から支沢が入り、支沢の左岸から取り付いてみる。しばらくトラバースするが、上には難しい滝がかかり沢床に降りても登れそうもない。結局このルートは諦め下降する。完全な判断ミスだ。今度は本流の右岸のブッシュに取り付く。しばらく登ると後続が着いてこない。何やら声がするので待つ。しばらく音沙汰ないので一旦降りてみると「握力がなくなりました」とのこと。さてどうしようか。この滝さえ越せればよいテン場があるのだが、既に17時を回り回復を待つ時間はない。やむなく懸垂下降で降ろしBP探しとなる。支沢に少し入った場所にわずかな砂地があり、土木工事をすればなんとか2人が横にはなれそうだ。今日はここでビバークすることにしよう。石をどかしてやっと寝床を作る。狭い宿だが幸い流木だけは豊富にあった。


(5) 両岸すっきりする


(6) 4m滝で手こずる


(7) 雪渓


(8) 快適に登れる


(9) 15m滝

大倉沢から日本平山へ

翌日は7時過ぎののんびりしたスタートになった。本来は毛無沢を詰める計画だったが予定変更して下降して大倉沢を詰めることにした。大倉沢は出合の4m滝は右壁を登れる。続くトイ状の5m滝は左岸を巻く。その後は小滝がいくつかあるほかはゴーロで高度を上げる単調な沢だった。日本平山に11時過ぎに着。昨日はあまり眠れなかったので、穏やかな日差しの山頂で30分ほど昼寝を楽しんだ。帰りは谷沢登山口まで2時間強で下る。足元には注意しながら歩いたものの、クルマに戻ると2箇所ヒルに食われていた。

■参考資料

  • 白山書房編: 日本の渓谷’97, 白山書房, 1998.
  • 新潟県渓流協議会編: 新新潟の渓流と釣り, 新潟日報事業社, 2003.