東北南部/鳥海山 [山スキー]

1. 山域・メンバー

山域・山名 東北南部/鳥海山
ルート 大台野~ソロバン尾根~行者岳~大台野
地図 鳥海山・湯ノ台(1/25000)
山行内容 山スキー
メンバー (L)渡辺(峡彩山岳会)

2. 行動記録

記録 渡辺
日程 2008/4/20・晴れ(強風)
タイム 4/20 大台野6:05~林道終点8:10~行者岳11:55-12:50~大台野14:15

報告

週中は太平洋側で大雨が降った天気も日曜日には回復しそうで、各地の天気予報を検索して一番よさそうなのが鳥海山エリアだった。連休前なので林道はどこも開いていないが、大台野からだと標高600m付近まで開いているらしく、ダラダラの水平移動も少ないようである。ただ風は強い予報で、上部はクラストで滑りにならないかも知れないが、とにかく行ってみない事には始まらない。

新潟~大野台~林道終点

自宅を21:20ころ出発して大台野着が0:30、除雪終点には4~5台の車が止まっていた。今日は車中泊なので平坦地を求めて来た道を戻り、適当なところで泊りとする。周辺に雪は全く無いが、除雪終点をチラッと見た感じでは20センチほどあった様に思えた。

翌朝は快晴、風も無い。除雪終点に向かうと今年初めての鳥海山が姿を現した。何と云う秀峰、これで登高意欲が湧かない訳が無い。


大台野から鳥海山

 除雪は牧草地の終わりまでで、標高650m付近である。昨晩の車に人の気配は無く、滝の小屋にでも泊っているのだろうか。鶴間池に寄って帰りにビヤ沢を滑ろうと考えていたので、早々に出発とした。すぐにヘアピンカーブになるが雪は充分で、適当にショートカットして進む。荒木沢の橋から最初のヘアピンをそのまま進んで曲がり、そこから鶴間池に降りる筈であったが、ルートファインディングに夢中になってヘアピンをカットしてしまった。風が出てきたので気が付いたのだが、地図を出すと既に100m以上も登っている。ここから戻って降りるかと鶴間池を見ると、登り返しの対岸尾根は雪が少なくて苦労をしそうである。帰りにもチャンスがあると云う事で、そのまま詰める事にした。


鶴間池

 1000mを越して、強風となる。ザラメの雪粒が飛んできて顔が痛い、オーバー手・フードで完全装備にする。耐風で立ち止まることも増えて先が思いやられたが、鶴間池に行かなくて正解とも思った。林道の終点付近でふと左を見ると建物がある。200m離れていたが風を凌げれば何でも良い、そこで作戦を立て直そうと建物に向かった。


林道終点の建物

 雪粒から逃れてやれやれ、強風そのものはさほど苦にはならないが、粒で顔が叩かれるのには参ってしまう。予報は正午頃に風が無くなる時間帯があり、それに期待するとして気を入れ直す。滝の小屋の斜面に人がいる様子、なかなか動かないのはあそこも強風なのだろう。

林道終点~外輪山

滝の小屋には寄らず、マタフリ沢の源頭を廻り込んで右上すると滝の小屋が眼下になり、更に登ると阿原宿小屋が見えた。小尾根を越す直前で斜面が変わり、風が緩んだので1本とする。一寸した地形の加減で環境が変わるのは、スキーの滑りの場合も同じだが、現場と言うか自然の妙を改めて感じた。


滝の小屋


阿原宿小屋

 尾根状を2回も越すと、もう最後まで雪は続いている。残りは5~600m、風も幾分か緩んできた様子で、心配したクラストではなくてザラメの表面が氷化しているだけなので充分に滑れる。林道終点辺りでは中退も考えたがやっぱり来て良かった、稜線の青空が目に痛いほど真っ青であった。


稜線の青白

 最後はやや固いバーンになり、シュカブラが現れる。ソロバン尾根を登ったと思うがハッキリとは判からず、それでも視界も充分だから問題ではなかった。行者岳付近に突き上げたと思う。風がありビールで乾杯という気分でにならないのだが、どうにかビールを飲む方法は無い物だろうか?


左は新山、中央は七高山


千蛇谷

 伏拝岳方面に少し下がると、雪面に70センチくらいの穴があった。これを広げればビールに在りつけるかとスコップを出すが、氷化して全然ダメであった。だが気が付けば、ここでは既に風が弱い、10m下がるともうバッチリで今日も満足であった。外輪山から千蛇谷を覗くには、両足の踏張りが要るのを思うと、別世界である。


スキーとビール

 ウイスキーも入り、更に気分が良くなったところで千蛇谷の見納めに行く。やっぱり強い風だが、もう平気であった。千蛇谷は大斜面滑降の魅力こそ無いが、いつかはトレースしてみたい。充実した山行になる事は間違いないだろう。景色も堪能したし、さあ行くか。

外輪山~大台野

心中は酒田の満月(ラーメン店・ワンタン麺が旨い)モード、鶴間池は次回の課題と決まれば下りは速攻だ。ルートも大台野まで見えており、往復とあれば立止まる箇所も無い。


鶴間池(中央)・次回の課題

 1時間を過ごしたので、シュカブラが溶けかかっている、楽勝だ。今日は一人なのでマイペース、久しぶりの単独もこれはこれで楽しい。もう少し締まるともっと良くなるが、下部林道が担ぎになる、それも山スキーである。

林道終点小屋まで20分、朝に風を避けて退却を考えたのが随分と前の事の様だ。林道途中で2度目のランチタイム、これも至福の一時である。ヘアピンを進んで鶴間池の下降点に行き、次回こそはと確認をする。ヒールを開放して林道を漕ぎ、「また来よう」と山頂を顧みた。


また来よう

感想など

  • 林道開通前でも鳥海山に行ける、登り6時間程度でお勧めコースです。
  • 僅かな斜面の違いで、風の強さに大きな違いがあった。今日は対象が風であったが、雪崩にも同じ事が言えると思う。自然は奥深い。
  • 次回は鶴間池(一泊)に行きたいです。
  • 酒田の「満月」のワンタン麺は、鳥海山に帰りに必ず寄っています。是非一度。営業時間、16:30まで。ワンタン麺650円。