二王子岳~門内岳[春山合宿]

1. 山域・メンバー

山域・山名 飯豊連峰 二王子岳~門内岳
ルート 二王子神社~二王子岳~ヤンゲン峰~赤津山~二ツ峰~門内岳~梶川峰~飯豊山荘
メンバー L 成海、戸貝、伊藤(実)(峡彩山岳会)

2. 行動記録

日程 2007/4/28-30
タイム 4/28 二王子神社6:00発 避難小屋9:50~10:25 二本木山10:45 下降点11:10 雷峰13:30 桝取倉山14:50 1,140m地点(泊り)16:10
4/29 泊り場発5:50 ヤンゲン峰6:50 赤津山8:55 藤十郎山10:30 二ツ峰13:45 門内小屋(泊り)15:35
4/30 門内小屋発9:50 扇の地神10:10 滝見場10:50~12:00 湯沢峰12:35 飯豊山荘13:55

報告(成海)


下降点から先の稜線

年間行事で計画した飯豊の藪山ルートに三人で縦走して来ました。戸貝は初めてのルート,伊藤は赤津山から先を引き返した事がありそのリベンジ山行,成海も二ツ峰から下山した事はあるものの赤津からの登りは初めてのパーティでした。残雪は少ないものの天候にも恵まれルートファイディングで神経を使う事もなく存分に藪を分け,ヒヤヒヤして雪庇を歩き飯豊に抜けることが出来ました。    初日,南山さんから二王子神社に送って貰う。伊藤君は昨日0時まで酒飲みで睡眠不足。戸貝さんは連日のハードスケジュールがたたり調子が上がらない。一合目付近で先日,お花見に来てくれた鈴木さんとすれ違う。飲み過ぎて気分が悪いので引き返してきたとの事。夏道どおしに一王子小屋まで登り雪道はここから。独標の積雪は1.5m程。多くの踏み跡がありルートを迷う事はない。山頂近くで小雨と小雪となりカッパを着る。(この日は雨になったり陽が差し込んだりしてめまぐるしい天気でした) 山頂の避難小屋で先週,伊藤君達が荷揚げした酒を回収し休憩する。二本木山から続く稜線の下降は視界が悪いと躊躇する所だが視界も良くなり問題なく稜線の繋がりを確認できる。一気に高度300mを雪の斜面を利用して下降する。最低鞍部の手前から雪が割れ始め藪漕ぎが始まる。久し振りの藪漕ぎで一気に汗が噴き出してくる。雷峰を越えてから桝取倉山にかけてさらに藪がきつくなり体力を消耗しスピードが落ち始める。今日の泊り場のヤンゲン峰まで目指すものの薮の壁で伊藤君がスコップの柄を落とした事もあり時間も遅くなった為、ヤンゲン峰手前の1,140m地点の斜面を整地して幕営する。重い荷物、久し振りの薮漕ぎで三人ともヘロヘロとなり初日の山行を終える。ゴアエスパースを張り中に入ればいつもの通りで賑やかである。明日の泊りは快適な門内小屋を目指す事とする。疲れた為かPM8時には就寝。


ヤンゲン峰から赤津山

二日目、6時前に出発。今日は長い道程を歩く事になるが天気に恵まれ視界も最高。すぐ近くに二ツ峰や飯豊の稜線が真近に見えるけれど赤津山まで迂回しなければならない。出発してすぐ薮漕ぎが始まる。程なくしてようやくなだらかな頂きのヤンゲン峰に到着。ここからはしばらく薮漕ぎから解放されそうだ。赤津の登りは伊藤君が調子を戻しトップで雪の稜線を蹴り込みかけ上がる。山頂の標識を確認しこれからのルートを確認する。薮で黒く見えるのが藤十郎山だ。千石、万石平のゆるやかな雪の丘を下ると次は藤十郎の薮漕ぎだ。足が地に着かない薮漕ぎで蔦にまで絡まれ大変。その先は広い雪稜が繋がり遠い二ツ峰を目指す。目の前に見える二ツ峰の山頂付近には雪がない。トップを伊藤君に任せると積極的に薮に向かっている。稜線に引っかかっている雪提には目もくれずさすが新婚さん堅実だ。薮漕ぎで肩で息を切らせる戸貝さんに「自分に甘えるな」と叱咤しがんばって貰う。やっとの思いで薮に覆われた二ツ峰に立ち飯豊のパノラマを眺め急下降に入る。雪の斜面を少し下ると鎖が現れ薮と鎖を頼りに岩の斜面を下る。藤七の池から門内まで標高差350mをゆっくり休み休み登る。ほぼ雪稜線通しにひたすら登り続ける。山頂が近づくにつれ風が強くなり煽られ疲れた体がふらつく。やっとの思いで門内岳を越え小屋に到着。そこには先着していた平塚市から来たという中高年パーティと三条から来た単独行者がおり2階から出入りをしていたので不思議と思い1階のドアを中から強く引いてようやく出入り出来るようになる。どうやらドアが変形でもしているらしい。少ししたのち2階の隅にエスパースを張り終えた頃、戸貝さんがヘトヘトになって到着。自力でザックを背負って上がれない程でテントに入るとすぐシュラフに入り酒も飲まずに寝てしまいよほど疲れたらしい。成海も空腹に冷たいビールが効いてしまい急に何も受付けなくなり横になり元気なのは伊藤君だけになってしまった。夜は気勢が上がらないまま大風で賑やかな小屋で一晩過ごす。


二ツ峰から北股岳

三日目、早く下山してしまうと出迎えに来る南山さん達に悪いと思い遅めに出発する。10時の交信でようやく合宿中伝える事が出来なかった我々の現在地を伝える事ができ支援隊の待つ滝見場へ向かう。今日も天気が良く後は下山するだけだ。飯豊の稜線上は新雪があり純白に輝いている。梶川峰を過ぎ急斜面を下ると南山さん達4人が滝見場付近で雪上訓練をやめて出迎えて頂く。すぐに冷たいビールをたっぷりご馳走になり春の陽射しの下、飯豊の屏風絵を肴に楽しい時を過ごす。何でここで行動をやめたのと思い聞いてみると小畑君が靴を積み忘れ小国山岳会の高橋さんの軽登山靴にシュリンゲを巻き着けていたのを見て納得。ゲートを開けて車で飯豊山荘まで入っている事を聞き感謝する。あの長い林道を歩かなくて済むのは助かります。湯沢峰からの急斜面を慎重に下り無事飯豊山荘に到着。ここで自転車で出迎えに来てくれた楡井会長とも会い軒下をかりて支援隊からお昼をご馳走になる。帰りに横山さんのお風呂に入り汗を流し長い二王子~門内の合宿を終えました。

反省点

  • 個人装備のストックが結果的には薮漕ぎの邪魔になる。(ラッセルの時は有効だが)
  • 個人装備が過剰装備で重くなりすぎていないか(個人食料他は持ち過ぎていないか)
  • 縦走隊の通信計画は(携帯電話を過信して支援隊と連絡が取れなかった)
  • 入山前の体調管理は(パーティ行動に必要なスピードなど遅れることに危険が潜む)
  • 薮漕ぎはピッケルなどをザックにしまい両手で薮を分けて進む(出し入れが容易な携帯方法)
  • 二日目の夜、皆で楽しく夜を過ごせなかったのは残念(もっとトレーニングしましょう)

最後に

今回の合宿は下越の岳人には有名なコースで視界の悪い時などパーティの力量が問われる場面があるところでしたが天候に恵まれルートファイディングする事なく縦走を終えました。そんな山行でしたがGPSを持っている事でこころに余裕が生まれリーダーとして負担が少なかったと思います。(足元が見えないような視界ではダメですが)他に晴天続きの為、パーティが少しだらけ離れてしまいまとまりがなかった場面もありましたが無事予定したコースを歩き通す事が出来良かったと思います。是非、次の合宿では若い人達の参加を希望いたします。ルートファイディング、薮漕ぎの対処法、崩れかけた雪庇の見極め方など経験を積んだ者ほど力になります。春山は雪も締まり体力があれば朝から夕方まで登山道がないルートを歩くことの出来る絶好のフィールドですから。終わりに支援の皆様いろいろお世話になりありがとうございました。