柴倉川支流谷地川(会越・井戸小屋山)[沢登り]

1. 山域・メンバー

山域・山名 会越国境・井戸小屋山
ルート 柴倉川支流谷地川
地図 御神楽岳・安座(1/25000)
山行内容 沢登り
メンバー 都丸(L、単独)(峡彩山岳会)

2. 行動記録

日程 2006/9/3(日)晴れ
タイム 谷地川大橋(入渓)7:50~8m滝(支沢出合)11:05~支沢源頭11:45~稜線12:30~井戸小屋山頂12:50-13:45~林道15:00~たきがしら湿原15:40~谷地川大橋16:50
その他 ルート図

報告(都丸)

谷地川は柴倉川支流・戸沢川の支流である。谷地川から井戸小屋山に上がる支流を詰め、たきがしら湿原方面に下山するルートを設定した。予定したルートはトレースしきれなかったものの、変化に富んだ山行になった。


(1)ナメ床


(2)1.5mCS滝


(3)2mCS滝


(4)2段12m滝

ナメと小滝の沢。落ち込みは深い ~本流~

谷地集落を抜けて砂利道を走り、谷地川大橋にクルマを止める。橋のすぐ下流から入渓した。水量はごく少ないが谷は深い。序盤はゴーロが多く陽当たりが悪く貧相な印象を受ける。アブが少々まとわりついてくるので、忌避効果があると言われるハッカオイルを体に吹き付ける。たしかに寄ってこなくなるような気はした。別の場所でもモニタリングしてみよう。少しのゴルジュが出てきて簡単に通過。魚影が見えたので竿を振りながら歩く。
陽射しが差す時刻になるとナメ床が光を反射して気持ちいい眺めになる(1)。次第にゴルジュ状に両岸が狭まり、トロの先の1.5m滝(2)が最初の滝らしい滝となる。水際のスタンスを探してへつって越える。続く深いトロのある2mCS滝(3)は泳いでもとりつける確信が持てなかったので、左岸のヒドから高巻いて懸垂下降する。40mロープがわずかに足りず、最後は草付きをクライムダウンした。さらに2mCS滝。今度は身長分の突っ張りで深みを越え、チョックストーン左の微妙なスタンスから乗り越えた。
2段12m滝は上下段とも釜を持ち、遠目には難しそうに見えた(4)。近づくとそれほどでもないので、釜をわずかに泳いで下段8mの右壁にとりつく。上段4mまでまとめて登る。続く2m滝は右壁から釜をジャンプして落ち口に飛び乗る。このあたりまでが核心のようだ。
上流部は再び穏やかな川原になった(5)。支沢を分けて水量はさらに減ったが、釜は意外と深い。ナメ状の美瀑もいくつかある(6)(7)。
本流にかかる8m滝(8)の手前で、詰める予定の支沢が右岸から入る。本流の8m滝は見た目に面白そうなので戯れに直登し、尾根を乗り越して目的の支沢に下降した。


(5)河原


(6)美瀑


(7)斜滝


(8)8m滝

スラブ滝が延々と続く ~支沢~

支沢に入るとすぐに高度を上げる。ゴーロ状の区間はほんの少しで、行く手には豪快なスラブ滝が見えてきた(9)(10)。落ち口は見えず、はるか上まで続いているようだ。滝下まで近づいてルートを吟味する。傾斜は強いがホールド・スタンスは豊富で登っていけそうだ。ブッシュが水際まで近づいているので危なくなったら逃げ込めばいい。水際の岩はコケで滑りやすいので乾いた岩か、逆に水が常時流れる岩を拾って快調に登る。振り返ると対岸のスラブがよく見えた(11)。開放感があって爽快そのものの登りだ。尾根を挟んだ反対側のシジミ沢とは雰囲気が違い、笹穴沢の大ナメ滝を思わせる(さすがにスケール感は落ちるが)。区切りがなく延々とスラブ滝が続くので、合計150mの多段スラブ滝としておく。一気に登りきるとすぐに源頭で、水は斜面から湧き出していた。
水が枯れた後はヤブ漕ぎとスラブ登りで40分ほどかかった。急斜面の腕力登りではピンソール・ミニ(スパイク)が効率よく足元を支えてくれる。詰め上がって稜線の踏み跡に出た。普段はピークを踏まずに下山することが多いが、今日は現在位置確認のため井戸小屋山頂を目指すことにする。尾根上の踏み跡は井戸小屋山まで続いている。山頂までは意外と距離があったので、予定よりも手前の沢を詰めてCa.844m付近に出ていたことに気づく。結果としてスラブ登りを楽しめたのだから良いか。山頂の三角点を確認して腰を下ろした。


(9)スラブ滝


(10)まだ続く


(11)対岸のスラブ


(12)たきがしら湿原

下山

タツミ沢左岸尾根の踏み跡を利用し、滝首沢右俣に下山する予定だった。しかし標高700m辺りの広い尾根で下降点を間違えたらしく、左俣のスギ植林地に入ってしまった。そのため峠からたきがしら湿原に降り、また登ってもう一つ峠を越える林道のロングコース歩きになってしまった。40~50分は余分に歩いたことになる。カップルや家族連れでにぎわう湿原の木道を、ヘルメットや金物をぶらさげガチャガチャ音を鳴らしながら歩くのは場違いにも程がある。そそくさと通り過ぎた(12)。
谷地川に下降する林道で重量級の生き物がガサゴソと樹林の中を動く。周囲を警戒しつつ下る。遠目に見つけたそれはやはりクマだった。直線距離にして70~80mほど。こちらは気休めのヘルメットを装備して唯一の武器・ハンマーを握り締めびくびくしているというのに、奴は木の上で悠然と何かにかじりついていた。

流域の状況

・たきがしら湿原内に車止めがあるので、谷地川から湿原方面へは車両は抜けられない。

・たきがしら湿原に入る2本の林道は夜間(17:30~8:30)通行止め。車止めがある。11月3日まで。

・谷地川大橋に設置された看板で、上流に「谷地沼」という湿地が紹介されていた。クルマで上がってみようとしたが、道の状況が悪く引き返した。

・戸沢川は土砂崩壊の復旧のため、数段の堰堤工事が進んでいる。入渓には注意が必要。