冬山合宿 飯豊連峰北股岳(梶川尾根経由)

1. 山域・メンバー

日時 2005(平成17年) 12月30日~2006(平成18年) 1月2日
山域 飯豊連峰北股岳( 2,024M)梶川尾根経由
内容 冬山合宿
メンバー L:伊藤(M)、成海、戸貝、楡井(峡彩山岳会)
ルート 梶川尾根経由

2. 行動記録

タイム
12.30
4時50分吉田発(楡井車)→成海→戸貝→南山6時50分→奥川入8時30分着 9時15分発10時45分危険箇所通過 飯豊山荘11時50分着 12時15分発 ランタン会に追いつく13時20分 泊り場15時00分着
12.31
8時10分発 13時40分行動やめ 1500メートル地点
1.1
6時40分発 9時00分扇地紙 9時30分門内小屋 9時45分発 11時00分北股岳 11時15分発テント場14時30分着
1.2
8時00分発 9時00分湯沢峰鞍部 9時10分発 9時20分湯沢峰 10時50分飯豊山荘 11時50分発 徒歩終了13時00分 奥川入14時30分着

報告:楡井

 昨年の冬合宿は丸森尾根から北股岳を狙ったが、降り積もったばかりの軟雪にラッセルは困難を極め、登頂には至らなかった。リーダーの成海は、いくら雪が柔らかいとはいえ、時間が無いとはいえ、消化不良のこの合宿を「自分ながらふがいないと思った」と言っていた。現にわらじの仲間パーティはダイグラ尾根を越えている。本年は12月中旬より降雪があり20年ぶりの大雪となっている。昨年とは積もり方が違うので何とかいけるのではないかと期待していた。ただ気温が上がった時や降雪中には林道の危険箇所の通過に万全の注意が必要だと認識して合宿当日を迎えた。

12月30日(曇り)

登頂パーティと川口、南山の計六名で民宿「奥川入」に着いたのは8時30分であった。ランタン会パーティ八名は昨夜ここに泊まって、ワカンで七時にここを出発したという。身支度をして9時15分に出発する。我々はスキー。川口、南山はスノーシューである。支援の二人は軽装でどんどんとばしていく。林道の危険箇所の終了したところでランタン会パーティに追い付き、そこから飯豊山荘までの雪を踏んでくれた。二人のおかげで面目が保てたというもんだ。みかんを一袋置いて帰って行った。ありがとうございました。飯豊山荘でゆっくり休み、先行パーティの足跡を追う。1時20分、先行するランタン会パーティにやっと追いついた。ラッセルのお礼を言い、木村操一さんからリーダーの渡辺茂さんを紹介していただく。川口さんはよく知っている方だ。湯沢峰の泊り場に3時に到着。彼らはデポ品があるという事で少し進んで鞍部にテントを設営した。消灯後の午後8時、ゴーという音がして、数秒後から一晩中風が吹き荒れた。

12月31日(風雪)

風は多少弱まったが横殴りの雪が降っている。新しいテントは風には強く快適であった。ゆっくりと準備をして8時10分に出発した。ランタン会パーティは停滞のようだ。4人のラッセルはキツイ。はかどらない。見上げるような大斜面にさしかかるととてもザックを担いだままでは足があがらない。膝が雪の上に出ない。空身でのラッセルを強いられる。自分のザックが見えなくなるまで頑張って、また取りに戻る。ルート旗は30メートル間隔で打っている。10時40分、ツェルトを覆って休憩をとる。午後少しだけ太陽が顔をのぞかせる。しかしまた雪もよう。ここは黙々とラッセルを続けよう。声も無く一歩一歩雪を踏むだけ。1時40分、先頭の伊藤が歩を止め、こっちを見下ろしていた。ここで泊ってはどうだろうと言う。「リーダーのお前が決めろ」と言うと、ここにしますと指示を出した。ルート旗をデポしたダケカンバの樹より100メートル下の見晴らしのよい小さな平地で、下から登ってくると小ピークのように見えるところだ。五郎清水より少し上になると思う。今日は6時間足らずだがよく頑張ったと思う。ここから北股岳は十分射程距離である。新潟の小山さんと奥川入に連絡をとって明日のアタックを告げる。

1月1日(晴れ)

4時30分に起きると風も無く視界もきく、まだ暗い空に山々の輪郭がはっきりとわかる。絶好のアタック日和だ。明るくなるのを待って6時40分出発する。足元にはランタン会パーティのヘッドランプも見えている。暗いうちに行動を起こした様だ。一時間も歩くと雪も締りワカンがキュウと鳴くようになる。9時30分、門内小屋到着。風上側の壁は1メートル近くもエビノシッポが発達していた。少し休んで北股岳を目指す。視界は良好だがギルダ原を抜ける風が右の頬に突き刺さる。しかしまだ目出帽とフードで対応できる程だ。伊藤は面倒がらずにゴーグルを着用している。ゆっくりと確実に北股岳にむかう。私はジカメで写真を撮りながら最後尾を行くのだが私のカメラはファインダーがなく画面を見てシャッターボタンを押すタイプである。普段は支障ないのだが、この雪の上では画面が白くなり被写体を認識できない。あまりいい写真は撮れなかった。ファインダー付でないと雪の山はうまくいかない。記念撮影をして北股岳を後にする。途中でランタン会パーティとすれ違う。ちょうど一時間で門内小屋に戻って中に入る。小屋の中はランタン会のデポ品がズラリと並んでいた。私は本来デポにあまり賛成ではない。大きな縦走なら勿論必要となるが4~5日の日程なら全部背負うべきだと思っている。デポ品を当てにしてもし届かなかったらどうなるか。そこまで行けない事を想定してパッキングするならばデポのあるなしにかかわらず担ぐ荷物は等しくなる。今回のデポは贈答用の缶、2個分であり、デポをするにしてもコノくらいが限度でないかと思っている。これで二日間くらいは頑張られるのだ。ま、基本的にはデポ品には頼らないスピーディな行動ができる方がいい。今回は、そのパターンにあてはまる。とはいえせっかく10月に荷上げした食べ物が目の前にあるのだからありがたくいただきます。ふかひれのスープが旨かった。こういう時の戸貝さんはすごい。右手でお湯をつくり、左手でメンバーにスープをふるまう。右足で記録をとり左足でパンをかじる。かのようだ。こうやって家事をこなして来たのか。体もあたたまり門内小屋をあとにする。足とり軽くテントに戻ると込山さんは奥川入からその様子を確認できたという。あそこで転んだのは誰だと言っていた。テントは肉眼でも見えていたようだ。さあここで一晩だ。濡れたものを乾かすとしよう。昨日ラッセルを頑張ったおかげで今日は稜線を満喫できた。テント内では久し振りに歌も出て愉快なひとときをすごすことができた。

1月2日(小雪)

今日は奥川入のあたたかい布団で寝られる日。テント場を8時に出て飯豊山荘に10時50分に着く。1時間休んでスキーを履いて歩き出すとランタン会の支援パーティとすれ違う。今夜は飯豊山荘で宴会するらしい。気温が上がり林道の危険箇所は雪崩れていて通過がむずかしい為、ランタン会支援パーティの踏み跡を辿って対岸に渡った。私と戸貝さんは靴を濡らしてしまった。渡りかえしは浅い川に雪崩れてて落ちた雪が浮いている格好になっていた。上を歩くとその雪が揺れて川面が波立った。再び林道に戻り快適にスキーを滑らせると丸山が梅皮花荘の橋のところで待っていてくれた。この晩は井出、松原、高橋、川口、渡辺国と来て労をねぎらっていただいた。皆さんありがとうございました。奥川入のおいしい料理とお酒とお風呂で締めくくることができて有意義な合宿でした。