朝日連峰(大鳥池~針生平)[尾根・縦走]

1. 山域・メンバー

山域・山名 朝日連峰
内容 尾根・縦走
メンバー L:大江(峡彩山岳会) 江口(非会員)
ルート 大鳥池から主稜線、針生平まで縦走

2. 行動記録

日程 2005年 8月 6日~ 2005年 8月 8日
タイム ※今山行は非会員との行動だったので、ガイド地図のコースタイムより時間をかけている。
6日 4:37新津駅~JR~4:51新潟駅4:57~JR~7:37鶴岡駅7:42~バス\1,240~8:45大鳥8:50~バス\1,200~9:20泡滝ダム(バス終点)9:30~12:30大鳥小屋(タキタロウ小屋)12:45~15:15三角峰15:40~ウツボ峰16:15~17:15以東小屋
7日 以東小屋6:00~8:10狐穴小屋9:10~寒河江山10:20~11:20龍門小屋12:15~13:40西朝日14:00~16:00大朝日小屋
8日 大朝日小屋6:00~大朝日岳山頂6:20~北大玉山8:40~9:25蛇引の清水9:40~大玉沢吊り橋10:40~11:20角楢小屋11:30~12:35針生平

報告:大江

当初いつも通り、車での入山しか考えていなかったが、車の回収に朝日スーパー林道が一部で壊れていて使えないことがわかり、列車とバスを検討したところ、実にタイムリーに乗り継ぎ、登山口まで行けることがわかった。従って今回はのんびり公共交通を利用しての入山となった。

鶴岡から大鳥部落までは朝日交通のバスによる。大鳥で一旦下車後、同じ場所から会員制バス(会員制バスとは運営会員により運営されていて誰でも利用できる)に乗り換え泡滝ダム登山口へ向かう。

泡滝ダムは取水口だけでダム湖はない。泡滝ダムから左手、大鳥川に沿ってなだらかに登る。大鳥池が近くなると道は勾配を増し、あちらこちらから割れ瓶の水漏れの如く水が湧き出ている。

ブナの葉に遮られていた空があけると、眼前に大鳥池が開け大鳥小屋がある。小屋の周りは歓談したり食事をする人々で賑わっていた。この一帯のブナはスゴイ。飯豊と比較はしないがとにかくスゴイ。幹周り、密度とも立派である。

小屋に顔を出して、管理人から幾つか情報を得て以東岳をめざす。小屋から少し降りたところで水門を渡る。大鳥池は天然湖のハズだが水門は何の目的で作ったのだろうか?

大鳥池からウツボ峰までは平均的な登りで、岩場や特別急な箇所もない。三角峰の手前で樹林帯を抜けて振り返ると、眼下に大鳥池が太陽の光を照り返して広がっている。ここから、人工のものは一切見えない。三角峰は主稜線上にある。水場は前冬の雪渓がまだ残っていた。花や風景を眺めながらのんびり山を楽しむ。

以東小屋は以東岳山頂の直下にあった。小屋はこぢんまりした避難小屋で20人も入れば一杯になるだろう。しかし、管理人が几帳面な人なのであろう。実に綺麗にキチンと片付いていた。

ここの水場は少し遠い。大鳥側へ10分程下ったところで、往復30分は要する。

2日目は主稜線をかっ歩する。以東岳から中先鋒手前の最低鞍部まで、320m程下ってから登り返す。昨日とは打ってかわって雲の中を歩いている。展望は全く利かない。狐穴小屋は建築してまだ数年の梅花皮小屋に似た造りの大きな小屋である。この後、龍門小屋の管理人から聞いたところ、朝日の小屋と梅花皮小屋は、以東岳を除いてここ数年毎年一つずつ建て替えてきたと言う。

狐穴小屋小屋付近は植生の剥離が進んでいて、大規模な修復工事が施されていた。

寒河江山付近の植物は種類も多く花が見頃を迎えていた。

龍門小屋には40前後の元気の良いフレンドリーな管理人がいる。昼飯に休ませてもらいながら、色々情報を分けてもらった。

西朝日と大朝日小屋の間も花が賑やかだ。写真を撮りながらのんびり大朝日小屋をめざす。大朝日小屋の手前に「金玉水」(キンギョクスイ)と言う名水がある。ここで水を補給して小屋へ向かう。

大朝日小屋に着くと40前後と「82」と言う2人の元気な管理人がいた。聞けば6月末から11月の上旬までいるという、朝日の名物管理人らしい。2人ともかなり酒好きである。この夜、多いに盛り上がったことは言うまでもない。

3日目もまた雲の中、小屋を後にする。視界は前日よりさらに悪い。大朝日岳では記念写真だけ撮り、直ちに下山にかかる。展望が利かず、祝瓶を経由しても面白味がないので北大玉山からは右に折れる。

平岩の清水は細く、コップなどで掬わないと採れないしさして旨い水でもない。

平岩山付近は一帯にヒメサユリの株が多く見られ、6月頃訪れればヒメサユリの群生でお花見を楽しめることだろう。

蛇引の清水は登山道から5分程トラバースしたところにあり、水量も豊富で旨い水である。蛇引の清水から大玉沢出合の吊り橋までは、まるで梶川尾根か丸森尾根の様な急勾配である。登るときは心してかかれ!

角楢小屋は「立派な炭焼き小屋」と言った風の味のある小屋で10人が限度か。山形大学の学生男女7人が縦走の1日目をカードゲームをしたり水鉄砲で遊んでいた。角楢小屋を発って吊り橋を渡ったところで突然スコールのような夕立が降り始めた。学生達はどうしたことだろう。

降り続く土砂降りの中、針生平で待つこと30分。迎えをお願いしていた友人の車が来てくれた。友人には申し訳なかったが、着替えが出来る状況ではなかったので、ザックをトランクに投げ込み雨具のまま乗り込み、五味沢の知人宅の軒先を借りて着替えさせていただいた。

この雨がこの夏の天候不順の始まりであった。

おわり。

PS 「役ノ行者は、白鳳八年朝日岳の頂上に天照大御神を祀り、・・・第一回の開山より二十四年後に再渡来山して、(弟子の)覚道を山麓に止め諸神に奉仕させた」とある。詳細は藤島玄著の「越後の山旅」上巻にて。