飯豊/大石川西俣川鉾立沢[沢登り]

1. 山域・メンバー

山  域 大石川西俣川鉾立沢(飯豊連峰木八差岳)
山行内容 夏山合宿(沢登りA隊)
メンバー L.渡辺(K) 成海 都丸
コ ー ス 大熊小屋~鉾立沢遡行~木八差岳

2. 行動記録

日程 2004年8月14日~16日
タイム 14日 林道終点08:00~大熊小屋12:00
15日 大熊小屋初05:00~鉾立沢出合06:10~800m付近連瀑帯・高巻き開始9:00~高巻き終了11:40~稜線16:40~木八差小屋17:10
16日 木八差小屋発07:00~大石山08:30~胎内ヒュッテ11:40

報告(都丸)

アプローチ

14日は朝から雨が降り続いていた。関川村周辺を通過する際にはすさまじい豪雨に変わり、本当に沢に入れるかどうか危ぶまれた。ともかく全員が集合し、雨も小雨になったのでとりあえず林道終点まで入ることになった。場合によっては鉾立沢を中止して全員が大熊沢に入るか、最悪尾根歩きに変更することも考えられた。

林道終点からは西俣川に沿って延々と続く登山道を歩く。沢床までは相当な高度差があり、崖の上をへつっているような感覚だ。万一足を滑らせて落ちれば終わりという状況なので気が抜けない。途中で釣り人に出会い、イワナ2匹を頂いた。相変わらず小雨が降り続いていたが大振りになることもなく、大熊小屋まではおよそ4時間の行程であった。ここで大休止。

当初の予定ではA隊は鉾立沢に、B隊は大熊沢にそれぞれ入渓してビバークする予定だった。しかしいつ雨が降るか分からない天気でもあり、やはり小屋で休んだ方が体力の回復も早いだろうということで14日は一緒に小屋泊まりをすることになった。

時間が余ったので私と渡辺さんは太子さんに大熊沢でイワナ釣りの講習を受けることになった。結局あたりはなかったが、滝壷と淵の動きを見ながら竿を振るのはなかなか楽しい。この日、太子さんは4匹を釣り上げ、先の2匹と合わせて一人一匹のイワナが確保された。夕食は当然豪華にイワナの塩焼き、骨酒が振舞われ、ミズナとベーコンの炒め物など山の幸を堪能した。夜中は風も強く雨も降りつづけ、小屋泊まりの快適さを実感した。

鉾立沢の遡行


最初の15m滝


核心部の20m滝

15日は3時に起床、余裕を持って朝食を食べ、5時には出発した。本流沿いの踏み跡をたどり、6時過ぎには鉾立沢出合に着いた。鉾立沢に入ると河原状からすぐに両岸立ってくる。最初の15mナメ滝は水流伝いに快適に登れる。ただし水量が多いので押し流されないように気をつける。

序盤は適度な落差のある滝と淵が連続する。水量も十分で気持ちのいい遡行が続く。巻きも数箇所あるが困難な場所はない。9:00頃、沢が右に屈曲する場所で20m滝に出会う。正面からは支沢が滝をかけて落ちている。約20年程前の会の遡行記録が残っているが、この時は正面の支沢を登ってからトラバース気味に右岸の尾根にとりついている。今回、同じルートをとるとロープ使用が必須となる上、右岸尾根に続く斜面が急で厳しいと判断した。一つ手前の尾根を登り、斜面の緩い場所からトラバースして隣の尾根に移るルートをとった。高巻きの途中で本流を見ると20m滝の上にも深い淵を持った滝があるようで、そのまま狭いゴルジュとなって続いていると推測された。地形図上でも等高線の狭い場所であり、ここが核心なのだろう。長時間の高巻きとなり、途中で大休止をとって昼食とする。標高にして300mほど上がっただろうか。ようやく斜面が緩くなってきたのでトラバースを開始、隣の尾根に移ってそのまま下降した。沢床に降りたのが11:40頃。休止を除けば約2時間の高巻きだった。

既に核心は抜けたがその後も適度な難しさの滝が続く。15m滝はロープを出して左壁から登る。釜のある8m滝は取り付き困難と見て右岸の急斜面をロープを出して登る。過去の記録ではこの上流に雪渓が出てきて処理に苦労したとあった。しかし今回の遡行ではブロック状の塊が残る区間があっただけで、ブリッジは全て崩壊していた。この点、楽に通過できて時間短縮になった。

源流部に入ると一直線に急登が続く。チョックストーン6m滝は右壁から落ち口までトラバースするが、スタンスは泥交じりで傾斜があり滑りやすい。ホールドも草ぐらいしかなく、少々怖い思いをした。その他は特に困難な場所はない。草付きスラブに囲まれたV字谷は視界も良く、シャワークライムを交えた気持ちの良い登りが続いた。

水が枯れるとササ藪こぎを強いられる。ここからは成海さんが先頭でササをかきわけすたすたと登っていく。稜線に着くころにはすっかり疲れ果ててしまった。17:00過ぎに木八差小屋に着いた。